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    日本と世界各国におけるエネルギーミックス

    オイルショックを機に一つのエネルギー源に依存することの危険性が意識されるようになりました。特に日本という国は多くのエネルギーを消費する一方、極端にエネルギーの自給率が低いエネルギー資源輸入国です。そんな日本にとって「エネルギーミックス」は重要な課題に位置付けられ、将来を見据えて最適となるよう取り組まれています。本稿ではエネルギーミックスとは何かを確認した後、日本と世界のエネルギーミックスの実情をご紹介します。

    エネルギーミックスとは

    いくつかあるエネルギーの中から一つのみに頼るのではなく、各エネルギーの長所と短所をうまく組み合わせて、効率良くエネルギーを生み出す電源構成のことをエネルギーミックスと言います。

    石油に依存していた日本はオイルショックにより大打撃を受けました。その経験から一つのエネルギーに依存する従来の在り方から脱却することを意識するようになりました。

    エネルギーには「安定供給(Energy security)」「経済性(Economy)」、「環境保全(Environment conservation)」、そして「安全(Safety)」の、「S+3E」が必要とされています。この「S+3E」の概念をベースに最適なエネルギーミックスの実現に向け、検討が進められています。

    日本のエネルギーミックス

    日本では2030年および2050年を区切りとし、「S+3E」の概念をベースとしたエネルギー基本計画に基づく、エネルギー政策を進めています。

    まずは2030年までにさまざまな目標が設定されていますが、主に次のようなものがあります。

    • 再生可能エネルギーの最大限の導入。再生可能エネルギーを主力電源とするために、コストの低減化や新たな電力ネットワークの構築などの案が出されています。
    • 原子力発電に関わる技術力の向上。原子力発電への依存度を減らす方向で進める一方、安全性の向上や使用済み燃料の処理方法などの検討が進められています。
    • 省エネルギーの徹底。企業単位でも家庭単位でも省エネ化が進むよう、さまざまな施策が検討されています。

    2050年に向けては、まだ具体的な案がまとまっているわけではなく、各分野の専門家からのさまざまな提言により、少しずつブラッシュアップされている段階です。いずれにしろ、一層高度な「S+3E」、さらには「脱炭素化」を前提にした、日本に最適な「エネルギーミックス」の実現が期待できるものとなるはずです。

    海外のエネルギーミックス

    日本におけるエネルギーミックスについて説明しましたが、海外ではどのような状況なのでしょうか。一部ご紹介します。

    アメリカ

    アメリカは化石資源が多いことから、電源構成も石炭や石油、天然ガスが大部分を占めています。原子力や水力、再生可能エネルギー等は20%にも満たない程度です。

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    中国

    中国も化石資源が多いため、アメリカと似たような電源構成をしています。しかし、アメリカと比較すると石炭の割合が多く、半分以上を占めています。

    フランス

    フランスは世界で最も原子力発電が盛んに行われている国で、電源構成の半分以上を原子力が占めています。日本と同様オイルショックで大きな打撃を受けたフランスは、エネルギー自給に焦点を絞るようになりました。エネルギー資源には恵まれていませんが、優秀な核科学者を多く輩出してきたこともあり原子力に力を入れるようになった経緯があります。

     

    安定したエネルギーミックスの実現の先に、住みよい未来がある

    日本でもエネルギーミックスの実現が着実に進められてはいますが、改善すべき点がまだまだ山積みです。2030年、2050年と先を見据えた話ではありますが、その実現は決して簡単なものではないでしょう。住みよい未来のため、「S+3E」の概念に即した適切なエネルギーミックスの実現を、私たちも関心を持って見守っていく必要があるでしょう。

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    参考:


     

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