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    エネルギー自給率が低い日本を救うメタンハイドレート

    石油に代わる次世代のエネルギーとして注目されている「メタンハイドレート」。日本の周辺海域に多く存在しているとされており、日本は世界のなかでもその研究が進んでいます。実用化されれば、エネルギー自給率が低い日本にとって、極めて大切な存在になることは間違いないでしょう。今回は、メタンハイドレートの基礎知識をご紹介します。

    メタンハイドレートとは?

    メタンハイドレートとは、天然ガスの主成分であるメタンガスが水分子と結びついた氷状の物質です。火をつけると燃えることから、燃える氷とも言われています。メタンハイドレート1立方メートルから取り出せるメタンガスは約160立方メートル。少量で大量のエネルギーを生み出せることが期待されています。

    水深500メートルよりも深い海底面下の地層に多く存在すると言われ、存在条件は低温かつ高圧力の環境です。深海やシベリア永久凍土内から発見されており、日本周辺の海域にも多く眠ると考えられています。

    メタンハイドレートは次の2種類に分けられます。

    • 「砂層型」……海底面下の深い層で砂粒子の間を埋めるように存在するもの。日本周辺では太平洋側に多く見られる。

    • 「表層型」……海底面下の比較的浅い層に塊状で存在するもの。日本周辺では日本海側に多く見られる。

    メタンハイドレートとその他のエネルギーとの比較

    メタンハイドレートには、他のエネルギーと比較して次のようなメリットがあります。

    • 従来の化石燃料と比較した場合
      石炭や石油など従来の化石燃料は燃焼時に多くの二酸化炭素を排出します。それと比較するとメタンハイドレートの二酸化炭素排出量は少なく、そういった意味ではクリーンなエネルギーと言えます。
    • 再生可能エネルギーと比較した場合
      水力や風力、太陽光といった再生可能エネルギーは、二酸化炭素をほとんど排出しないクリーンなエネルギーで、枯渇することがないなどメリットが豊富です。一方で供給が環境や天候に左右されやすいというデメリットがあります。その点、技術が進歩すればメタンハイドレートは安定供給が期待できます。
    • 原子力と比較した場合
      二酸化炭素排出量が少なく、安定供給が可能なエネルギーとして原子力があります。しかし、放射能汚染や核燃料廃棄物の処理といった、二酸化炭素排出とは異なる点で環境面への課題があります。メタンハイドレートにはそういった問題がありません。

    ご紹介したように、今使われているエネルギーと比較して、メタンハイドレートはさまざまな面で優れています。加えて国内での生産が可能であり、エネルギー自給率の向上にも期待が寄せられています。

    しかし、実際にはなかなか実用化にはたどり着きません。実用化が進まない背景には次のような課題があります。

    メタンハイドレートが抱える課題

    メタンハイドレートには、次のように解決すべき課題があります。

    コスト

    前述のとおりメタンハイドレートは深海にあるため、石炭や石油などと比較して採掘コストの高さが大きな課題となっています。実用化には、コスト低減を可能にするさらなる技術開発が求められます。

    環境

    二酸化炭素排出量の少ないメタンハイドレートですが、その主成分であるメタンガスの温室効果は二酸化炭素の約20倍です。もし採掘により大量のメタンガスが大気中に放出されれば、さらなる地球温暖化を招くリスクがあります。また海底の地層中にあることから、採掘によって地盤沈下を起こすのではないかといった懸念が示されることもあります。

    メタンハイドレートの開発には、周辺環境におよぼす影響についても十分な調査が必要です。

    メタンハイドレートは日本の将来を左右する

    メタンハイドレートの開発は未だ完成しておらず、解決すべき課題も少なくありません。しかし、エネルギー自給率の低い日本にとって、自国で生産できるエネルギーとなるメタンハイドレートは重要な存在になるはずです。さらなる研究・開発が期待されます。

     

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    参考: