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    マグネットスイッチ(電磁開閉器)の役割とは?機能・構造・選定方法を紹介

    マグネットスイッチまたは電磁開閉器と呼ばれる機器は、モーターを稼働させる制御では必ずと言っていいほど使われています。マグネットスイッチは制御のなかでどういった役割を持っているのでしょうか。マグネットスイッチの機能や役割、構造、選定方法などをご紹介します。

    マグネットスイッチとは

    マグネットスイッチは電気制御においてどういった働きをするために使われているのか、その特徴と役割を見てみましょう。

    電気の制御に不可欠な機器

    マグネットスイッチは、電気回路において電気が導通する接点を開閉するためのスイッチ。その先に接続されている負荷装置の保護機能も兼ねており、それらの役割から、日本語では電磁開閉器と呼ばれています。

    回路の開閉には、内蔵の電磁石を電気によって動作させることにより、接点を動かして接触させる仕組みが使われています。

    三相電源に対応するよう3つの主接点があるのが、マグネットスイッチの基本的な構造。このほかにいくつかの補助接点を持っているものが多く、補助接点にはa接点とb接点のものがあります。補助接点は定格電流が主接点より小さく、通電状態を知らせるランプや異常停止発生時のブザー、自己保持機能などに使われます。

    マグネットスイッチとマグネットコンタクタの違い

    マグネットスイッチと混同されやすい用語に、マグネットコンタクタがあります。どちらも制御に使われる機器でもあり、明確な違いを把握していない人も多いかもしれません。

    日本語表記では、マグネットスイッチは電磁開閉器、マグネットコンタクタは電磁接触器となります。マグネットコンタクタは信号入力により接点を開閉するだけのものです。

    では、マグネットスイッチとマグネットコンタクタはまったくの別物かというと、そうではありません。マグネットコンタクタはマグネットスイッチの一部を構成する部品で、マグネットコンタクタとサーマルリレー(熱動形過負荷継電器)を物理的に組み合わせたものがマグネットスイッチといった関係になります。

    サーマルリレーは過負荷による過電流を検知して信号を出力するための部品で、それ自体には回路を遮断する機能を持ちません。そのため、その接点を開閉して回路を遮断する過負荷保護機能を持つマグネットスイッチにするには、回路遮断機能を持つマグネットコンタクタと組み合わせることが必要になるのです。

     

    海外向け制御盤製作に役立つ 『IEC 61439』 と 『UL』 の基礎知識

    マグネットスイッチと安全ブレーカの違い

    では次に、同じような役割を持つ印象を受けるマグネットスイッチと安全ブレーカの違いを考えてみましょう。

    安全ブレーカは回路全体の過電流を防ぐためのもので、接続された負荷装置の過負荷を保護するためのマグネットスイッチとは役割が異なります。

    また、安全ブレーカは短絡電流のような大電流でも遮断できますが、マグネットスイッチは定格の10数倍程度までしか遮断できません。ただし、頻繁な開閉に耐えられるように作られています。

    それぞれ役割や機能が異なるため、負荷装置を使う電気回路ではどちらも併用する必要があります。

     

    マグネットスイッチの用途と目的

    マグネットスイッチは次のような場面で使われます。

    安全で確実な回路の開閉

    マグネットスイッチは電磁石の強い力によって接点を瞬時に接触させるため、アークが最小限に抑えられた安全な開閉ができます。そのため、すべての主接点を同時に開閉することができ、確実な導通と遮断が可能です。こういった機能から、複数の接点を同時に開閉したい場合に使われます。

    負荷装置の保護

    マグネットスイッチは、サーマルリレーによって過負荷を検知しマグネットコンタクタによって回路を遮断するため機器が焼損するのを自動的に防ぎます。この機能が、マグネットスイッチを使う最も大きな理由です。もし、マグネットスイッチがない状態でモーターを連続運転した場合、モーターの回転に対する抵抗が大きくなりすぎると過負荷状態になります。この状態のまま動かし続けると、モーター内の電路が過熱しベアリングの焼付き、ステータの破損、コイルの焼損、モーターからの発火などにつながる恐れがあります。

    自動化や遠隔操作

    マグネットスイッチは、物理的ではなく電気的な動作によって回路の開閉ができるため、離れている機器のオンオフを操作することができます。そのとき、離れた操作場所からマグネットスイッチまでは微小な電流を流せる信号線だけですみ、途中を無線信号にすることも可能です。このように電気信号によって他の機器を作動させることができるマグネットスイッチは、制御による自動化に欠かすことができない重要な装置となっています。

    マグネットスイッチの構造

    前述のように、マグネットスイッチはマグネットコンタクタとサーマルリレーからなります。

    マグネットコンタクタの内部では、コイルが巻かれ電磁石になる固定鉄心と、スライド移動する可動鉄心が向かい合っています。コイルに電流が流れると固定鉄心が励磁され、可動鉄心を引き寄せます。同時に、可動鉄心と連結された可動接点を固定接点に接触させます。

    コイルの電流がなくなるとバネの力によって可動鉄心は固定鉄心から離れ、可動接点と固定接点も離れるという仕組みです。

    サーマルリレーの内部では、入力側と出力側はヒーター線によってつながっています。このヒーター線がバイメタルに巻かれていて、過電流により高熱になると変形し接点を動かす仕組みです。

    このように、マグネットコンタクタは電磁石の力で、サーマルリレーは熱の力で接点を動かしています。

    マグネットスイッチの選定方法

    マグネットスイッチは以下の7つの基準で選定します。

    • 定格容量(kW)
      モーターの定格電力に合わせる
    • 定格電流(A)  
      流したい電流以上の容量のものを選ぶ
    • 主回路電圧
      接続する負荷装置は100Vか200Vか(モーターの電圧)
    • コイル作動電圧
      コイルを作動させる電圧は何Vか(マグネットスイッチの電圧)
    • 大きさ
      盤内の配置に収まるか
    • 補助接点数
      いくつの補助接点が必要で、必要なのはa接点かb接点か
    • サーマルリレーのダイヤル
      設定できる電流値の幅は何アンペア(A)から何アンペア(A)までか

    以上の点を見て、使用目的に適したマグネットスイッチを選びます。

     

    マグネットスイッチは自動化に欠かせない重要部品

    マグネットスイッチの概要や用途、選定方法などについてご紹介しました。

    マグネットスイッチは電気的な動作によって安全かつ確実に電路を開閉し、さらに接続された負荷装置を保護します。接点に直接触れてしまう感電事故を防ぎ、遠隔からの操作を可能にし、過負荷を検知すると自動で遮断するという、3つの機能を満たすのです。また、電気的な動作をするため制御回路において他の機器との連動を容易にする働きもあります。マグネットスイッチは制御による自動化において、不可欠な重要部品の1つと言えます。

    参考:

    リタールの技術ライブラリ
    「規格に適合したスイッチギア及びコントロールギアの製作IEC 61439適用」
    本冊子は、新規格IEC 61439 準拠に必要な様々な対策を講じる上でのお手伝いをするために作成しました。リタール製規格適合システム製品の利用に関するご相談から貴社機器の要求設計や日常検査のご提案まで、幅広くご利用ください。
    ※新規格IEC 61439における変更点の他、「設計検証報告書」の作成方法などについて、85ページにわたって解説しています。

    Dl ダウンロード

    電線の基礎知識・規格と欧州の制御盤製造動向