1. HOME
    2. /
    3. 工場・製造業
    4. /
    5. 太陽電池エネルギーの仕組みと種類―光電変換|光を電気に変える方法

    太陽電池エネルギーの仕組みと種類―光電変換|光を電気に変える方法

    太陽電池はどのような仕組みで電気をつくり出しているのでしょうか。普及が進み、いまや太陽電池は学校、病院、一般家屋などいたるところで活用されています。太陽電池について、仕組みと種類をご紹介します。

    太陽電池エネルギーの仕組み

    光を電気に

    「太陽電池」は電池と呼ばれますが、実際は蓄電する機能のことではなく、発電する機能を指します。通常、物質に太陽光が当たると熱が発生します。太陽光に当たることで電気的なエネルギーへと変換するのが太陽電池です。この変換の仕組みには、半導体が使われています。

    ひと言で言うと太陽電池とは、半導体を利用して光のエネルギーを電気エネルギー(電力)に変えるのことです。

    アウトドアシステムソリューション

    光電効果とエネルギー放出

    では、もう少し具体的に太陽光から電気がつくられる仕組みを見てみましょう。

    ふだん私達の周りにあるすべての物質には、大量の電子が含まれています。この電子は光をエネルギーとして吸収または反射する性質を持ちます。物質が光を受けると、物質中の電子が一度光のエネルギーを吸収します(光電効果)が、再び元の状態に戻ろうとします。このとき、電子は吸収したエネルギーを周囲に放出します。ランダムに放出されたエネルギーは熱となり物質の温度を上げることになります。これが、太陽の光が当たることによって物質が温められる仕組みです。

    太陽電池も、電子と光の関係を利用しています。光が太陽電池に当たると、太陽電池中の電子が光をエネルギーとして吸収します。ここまでは通常の物質と同様ですが、太陽電池には、太陽光を電気エネルギーへ変換するための特別な仕組みがふたつあるのです。ひとつは、半導体により光を吸収した電子を選別する仕組み、もうひとつは、選別された電子を外部に送り出す仕組みです。このふたつの仕組みにより、太陽電池は光を熱ではなく電気エネルギーへと変換し、外に送り出しているのです。

    太陽電池種類

    太陽電池は多くの可能性を秘めた発電方法として注目が集まり、研究が進められてきました。その結果、さまざまな特性を持った太陽電池が開発されています。太陽電池の種類を何点かご紹介します。

    • 単結晶シリコン太陽電池
      初期に発明された太陽電池で、最も長い歴史を持ちます。エネルギーの変換効率が最も高く、耐久性・信頼性も優れ最も実用的な太陽電池です。高い変換効率を実現しているのが、規則正しく並んだシリコン原子によって形成されたシリコン結晶です。ひとつのセルにつきひとつのシリコン結晶が使われていることから、単結晶シリコン太陽電池と呼ばれています。原料の単結晶シリコンウェハは高価なため、太陽電池に使う場合は、純度を下げたソーラーグレードと呼ばれる比較的安価な種類が使われます。
    • 多結晶シリコン太陽電池
      単結晶シリコンの持つ、高コストという難点を解決するために生まれたのが、多結晶シリコン太陽電池です。ひとつの結晶からなる単結晶シリコンに対し、多結晶シリコンは単結晶シリコンを集成しインゴット(加工に適した大きさ・形に鋳造した金属の塊)をつくります。変換効率という点で見ると単結晶シリコン太陽電池にかないませんが、コストと性能のバランスという点で多結晶シリコンは優れています。このことから、最も多く生産・使用されている太陽電池となっています。
    • 薄膜シリコン太陽電池(アモルファスシリコン太陽電池)
      電子が光をエネルギーとして吸収するとき、表面のごく一部しか働いていないという点を克服するために開発されたのが、薄膜シリコン太陽電池です。使うシリコンを極限まで薄くすることで、低コストを実現しています。原子の配列が結晶シリコンと異なり、アモルファスと呼ばれる不規則な並びになっていることから、アモルファスシリコン太陽電池とも呼ばれています。
    • HIT太陽電池
      変換効率の面で、常温で効率性の高い単結晶シリコン太陽電池は熱の変化に弱く、高温になるほど効率が落ちてしまいます。一方で、薄膜シリコン太陽電池は、変換効率は単結晶シリコン太陽電池より劣るものの、高温になってもあまり効率が落ちません。この2つのメリットをあわせたのがHIT太陽電池です。単結晶シリコン、極薄アモルファス、透明導電膜、銀電極の層構造になっています。
    • 化合物系太陽電池
      シリコンは特定の電磁波によって特性が変化してしまう性質があります。そのような環境での活躍が期待されるのが化合物系太陽電池です。シリコン以外の物質を混ぜ合わせて化合物をつくり、半導体としての特性をもたせることで、エネルギー変換を行います。実験レベルではシリコン系太陽電池を超える効率を確認できており、今後の研究開発が期待される太陽電池です。
    • 有機薄膜太陽電池
      シリコンに変わり、プラスチック原料の有機物に導電性を持たせたものを半導体として使う太陽電池です。実用化されれば大幅なコスト引き下げが期待できるため、研究開発が進んでいます。
    • 色素増感太陽電池
      色素に光を吸収させることによって電子が発生するという性質を利用した太陽電池です。有機色素を使うことで、赤や青、黄、緑など、さまざまな色の太陽電池をつくることができるのも特徴です。このことから、デザイン性が重視されるインテリアやノートパソコンなどへの利用に向け、実用化が期待されています。

    期待される再生可能エネルギー

    太陽電池の仕組みを簡単に説明し、実用化されているもの、これから実用化が期待されるものなど、太陽電池の種類をご紹介しました。太陽電池を含め、自然エネルギーから電力を生み出す再生可能エネルギーは非常に注目を集める分野です。今後もさらに研究が進み、より効率のいい太陽電池が生み出され、エネルギー供給の柱となっていくかもしれません。

    AX
    らゆる気候に耐える屋外用筐体『AX プラスチックボックス』

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    関連ブログ:エネルギーミックスとは何か?日本と世界のエネルギー問題

     

     

    参考:

    総合カタログ35
    総合カタログ35は、IT業界・製造業で使用される当社製品をすべて網羅し、設計者、開閉装置(スイッチギア)メーカー、データセンター事業者のニーズを満たします。世界中で幅広く使用されている産業用キャビネット・ボックス、分電・配電システム、温度管理システム、ITインフラストラクチャ製品ラインアップの詳細情報を、936ページにわたってご紹介しています。

    CT総合カタログ35 ダウンロード