サーバーラックの種類と規格｜適切な選定ポイント

熱や衝撃に弱いサーバー機器類を安全に保護するためには、サーバーラックの適切な選定が不可欠です。また、サーバーラックは収納するサーバーや用途によっていくつかの種類に大別され、それぞれに特徴やメリットがあります。

本記事では、サーバーラックの種類やEIA規格・JIS規格による寸法の違い、サーバーラックを選ぶ際のポイントについて詳しく解説します。

サーバーラックとは 

サーバーラックとは、文字通り「サーバーを格納するためのラック」のことです。
サーバー以外にも、ストレージ・ネットワーク機器など、あらゆるコンピュータ機器を安全かつ効率的に保管するために使用されます。

サーバーは衝撃に弱く24時間稼働する必要があるため、コンピュータ機器のなかでも特に安全性が求められます。企業内のデータ共有など、あらゆる業務やサービスを障害から守るためにも、サーバーラックは不可欠な存在です。

代表的なサーバーラックは、EIA（米国電子工業会）規格による「19インチラック」で、搭載される機器は幅が19インチ（約482.6mm）、高さの基準単位が1.75インチ（約44.45mm）と定められています。

サーバーラック導入のメリット

企業にとって重要なデータや機器類を保護するサーバーラックですが、使用するメリットとしては次のような内容が挙げられます。

・スペースの有効活用
サーバーラックを活用することで、サーバーを縦に並べて収納できるため、縦方向のスペースを有効活用することができます。また、サーバーを床に直接置くこともないため、コンパクトな空間設計が可能です。

・セキュリティー対策
鍵付きのサーバーラックを使用することで、物理的なアクセスを制限し、個人情報など重要なデータを安全に保管することができます。

・メンテナンス性の向上
サーバーや関連するコンピュータ機器類を一箇所にまとめることができるため、サーバーの保守作業やトラブル対応など、作業効率が飛躍的に向上します。

・ほこり防止
常に稼働し続けるサーバーをむき出しにしていると、ほこりがファンに詰まり故障の原因となります。また清掃時にはその都度電源を抜く必要があるため、清掃の頻度が多いと作業効率が落ちてしまいます。サーバーラックに収納することでほこりから守り、故障リスクを抑えることが可能です。

サーバーラックとネットワークラックの違い

サーバーラックの選び方

ここではサーバーラックを選定する際のポイントについて解説します。「サイズ」「熱対策」「堅牢性」などの視点から適切なものを選択することが大切です。

サイズ

サーバーにはさまざまな種類・形状があります。特に規格上は幅と高さにしか規定がなく奥行きは自由なため、それぞれに対応した多種多様なサーバーラックが存在します。そのため、まずはサーバーのサイズを確認したうえでサーバーラックの選定を開始することが重要です。

設置スペースについては、サーバーラック自体のサイズに加えて、メンテナンススペースの確保など総合的に検討する必要があります。多くのサーバーはスライドレールで取り付けられるようになっていますが、全て引き出せるだけのスペースが前面には必要です。また、背面側もケーブリング作業時に作業者が出入りするための十分な広さが求められますが、両開きドアの採用などにより、省スペース化を実現することも可能です。

熱対策

サーバーラック選定にとって非常に重要な要素が、熱対策です。サーバーやネットワーク機器は熱が発生しやすく、過剰な熱による負荷は故障の原因となります。

特にボックス型のサーバーラックはラック内に熱がこもりやすく、放熱ファンなどで熱対策が施されたサーバーラックを選ぶことが重要です。専用のサーバールームを設け、ほこりなどを防止できる環境であれば、サーバーラックのドアはパンチングメタルなど通気仕様のものを採用し、部屋を空調して冷却する場合があります。逆に、サーバールームが設けられない場合は、密閉型のラックにラック用クーリングユニットを使用するなどして冷却を行います。

堅牢性

サーバーラックに格納するサーバーなどのコンピュータ機器は、社内の重要データやネットワークを支えるキーデバイスです。24時間稼働し続けるため、長期にわたる負荷にも耐えられるスペックが必要です。

また、突然の地震に備えるうえで耐震性も重要です。サーバーラックは転倒や落下などの危険から機器を守ることは可能ですが、地震によって大きな揺れが生じると、内部の機器にも衝撃が加わってしまいます。したがって、サーバーラックの堅牢性はもちろん、耐震性においても優れたものを選択することが重要です。

メンテナンス性・作業性

サーバーラックは一度設置して終わりではなく、機器の増設や入れ替えなど、運用するなかでさまざまなカスタマイズに対応しなくてはなりません。したがって、配線の引き回しなどメンテナンス性・作業性を考慮してサーバーラックを選ぶことが重要であり、運用効率にも直結します。

サーバーラックの種類

サーバーラックは設置場所やサーバーの形状など、用途によって次の3種類に分けられます。

タワー型

機器の設置や導入がしやすい組立式のラックです。デスクトップPCの本体のような形状で、据え置きタイプのサーバーを水平な場所にそのまま設置することができます。また、放熱対策が施されていて、中〜大型サーバーへの対応も可能です。サーバーには奥行きのある製品も多いため、サーバーラックのサイズ感を確認したうえで使用する必要があります。

小型

データセンターのように大量の機器を管理する場所ではなく、小規模オフィスにおけるサーバーや周辺機器の収納に使用されます。高さ440mm〜700mm程度のサイズで、サーバーやハブなどを1台収納する際には小型サイズが最適といえるでしょう。高さによってはデスク下へ収納することも可能なことから、「コンパクトラック」「ミニラック」とも呼ばれています。

ラック型

カスタマイズが容易なラック型は作業性が良く、メンテナンス性に優れています。パソコンラックと同様に、ディスプレイとあわせて設置することができるほか、据え置きタイプのサーバーにも対応可能です。棚板ピッチを細かく調整することで、あらゆる機器をまとめて収納することができます。

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サーバーラックの規格

多数のサーバーを効率よく収納するために、サーバーラックはEIA規格やJIS規格によって寸法が決められています。規格が存在することで、メーカーや仕様を問わずにサーバーを収納することが可能であり、サーバーラックを語るうえでは欠かせません。
EIA規格とJIS規格では、サーバーラックのユニットシャーシと呼ばれる骨組み寸法に違いがあり、それぞれ次のように決められています。

EIA規格

ユニットシャーシの横幅が19インチ（約482.6mm）、1段の高さが1.75インチ（約44.45mm）と定められた、「1Uサーバー」を収納するサーバーラックが最も一般的です。2Uサーバー、3Uサーバーなど、高さが複数段分のサイズのものもあり、この19インチのサーバーを縦に積み重ねて収納する「19インチラック」がサーバーラックとして広く普及しています。

JIS規格

JIS規格によるサーバーラックでは、ユニットシャーシの横幅が480mm、高さが50mmピッチと定められています。3J、5Jなど、50mmピッチの数によってサイズが決められ、「メトリックラック」とも呼ばれています。EIA規格とは異なり、メートル法基準の寸法によってサイズ分けされているため、選定には注意が必要です。

サーバーラックの企画については以下の記事もご参照ください。
サーバーラックの規格（EIA・JIS）についてとその違い

サーバーラックのまとめ

本記事ではサーバーラックの種類や選定する際のポイントについて解説しました。

サーバーラックは収納するサーバーの特性によって「サイズ」「熱対策」「堅牢性」などあらゆる視点から適切なものを選定する必要があります。また、選定するサーバーラックはシステム規模や設置スペースによっても選択肢はさまざまです。

リタールでは、あらゆるサーバーや周辺機器の収納に適したサーバーラックを豊富なラインナップで取り揃えております。ここでの内容を参考に、ぜひ自社に適したサーバーラックをお選びください。

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