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    サーバーラックとネットワークラックの違い― 19インチラック選びの6つのポイント

    サーバーラックとネットワークラックの違いをご存じでしょうか。ここではサーバーラックとネットワークラックの違いについて解説します。また、ラックの選び方について、重要な6つのポイントをご紹介します。

    サーバーラックとは

    サーバーラックとは、ラックマウント型サーバーやストレージを収納し、機能的に使えるように設計されたラックのことです。主にサーバーを収納することから、この呼び方が定着しています。

    EIA(米国電子工業会)によって規格された、「19インチラック」が一般的です。JIS規格もありますが、ここではEIA規格で説明します。この規格では、機器の幅は19インチ(約482.6mm)、1段の高さが1.75インチ(約44.45mm)と定められています。

    それを収めるラックの横幅は、機器を取り付けるための構造を収めるスペースが必要となるため、ラックの外寸横幅は600mm前後になります。

    高さについては、一般的に1段の高さを1U(1Unit:1ユニット)と表記します。この大きさのサーバーを1Uサーバーと呼ぶこともあります。また大型のものには3Uサーバーのように、複数段分のサイズのものもあります。ラック自体の高さは1U単位で増設できるようになっており、大きいラックでは42Uや47Uのものもあります。

    奥行きに関しては、規格では定められていません。取り付ける機器が収まることが大前提ですが、サーバーラックの設置環境によっては制限されることもありますので、総合的に考慮して選定する必要があります。また、機器の背面は配線と排熱のうえで重要なスペースとなります。ここが狭くなると排熱効率が落ちるため、できれば十分に配線スペースを取りつつ、さらに空間に余裕を持っておきたい場所でもあります。

    ネットワークラックとは

    サーバーラックに比べ、ネットワークラックとはどのようなものをいうのでしょうか。

    主にコンピューターを収めるものがサーバーラックと呼ばれるのに対して、ルーターやスイッチングハブ、パッチパネルなどを収めることを目的として設計されているものがネットワークラックです。

    ネットワークラックには大量のケーブルを接続する通信機器を収めるため、ラックの機器取り付け部の両サイドに配線スペースを大きく確保した設計となっているのが特徴です。配線を容易にし、作業性と収納性を確保するため、700mm~800mmの幅を持つものが一般的で、このことから「ワイドラック」と呼ばれることもあります。サーバーラックに比べて、前面側のスペースを作るために、機器取り付け部品はより内側(深い位置)に設置して使用します。

    ラック選びの6つのポイント

    それではラックを選ぶ際に、気をつけたいポイントを6つご紹介します。

    • 設置スペース
      設置する場所や面積との兼ね合いを考慮する必要があります。ラック自体のサイズに加え、周囲のメンテナンススペースも考慮します。前面側は、機器の設置・交換時に引き出せるだけのスペースが必要となります。背面側は、少なくとも作業者がスムーズに出入りできる広さが必要ですが、観音開きの二枚ドア仕様にするなどにより省スペース化を図ることも可能です。運用時を考慮したラックを選びましょう。
    • 収納量
      必要な種類と台数の機器を収められるかどうか確認しましょう。また、機器を収めきったうえで、ケーブルの収納も考慮する必要があります。さらに、余裕を持たせた分のケーブルを収める場所として、1Uかそれ以上を余分に確保してあるのが理想です。
    • 熱対策
      ラックの熱対策は、非常に重要です。どのような冷却ソリューションがあるかも確認しましょう。発熱量の少ない機器を収める場合は、閉鎖型のドア仕様で天井ファンにより排熱することも可能です。ただし、近年では1ラック当たりの発熱量が増大しており、部屋の空調を最大限有効活用できるよう考慮された通気型ドア仕様のラックが主流となっています。この場合、機器が未搭載の部分や機器取り付けレールの外側のすき間は、排熱の回り込む原因となり、冷却効率の低下に繋がります。それを防ぐアクセサリとして、ブランクパネルやヒートシャッター、エアバッフルプレートが各メーカーで用意されています。特に、大規模なサーバルームやデータセンターでCold Isle/Hot Isleレイアウトを採用する場合は、このようなアクセサリが有効です。また、高密度実装向けにラックに隣接設置して冷却する熱交換器やクーラーなども登場しています。
    • 作業性
      機器のマウント・増設・入れ替え、ケーブリングのし易さなど、作業性のいいものを選びましょう。ラックに収納する機器が機械装置である以上、メンテナンスが必ず必要です。その際にラックの作業性が低ければ、運用効率が低下することになります。
    • 堅牢性
      サーバーラック、ネットワークラックに収納するものは、とても大切なデータの入ったサーバーであったり、ネットワークの主要部分であったりします。ラックは、これらをしっかりと守れるものでなければなりません。長期使用に耐えられる十分な耐荷重を持ち、耐震性能が優れたものを選定しましょう。

    拡張性
    増設したくなったとき対応できるかどうかも重要な選定基準です。拡張性が無い場合、別々のラックを並べて置くことになり、デッドスペースが生まれたり、余計な出費が増えてしまったりします。

    ITシステムソリューション

    自社の運用に合ったラック選びを

    サーバーラックとネットワークラックについて、それぞれの違いと特徴、使い道、そして選定のポイントを解説しました。サーバーラック、ネットワークラックは、企業のITシステムを収める非常に重要なものです。自社の運用に合うもの、長期の使用で不具合や不満点が発生しないものを選定し、大切な情報とシステムを守りましょう。

    参考: