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    半導体について知ろう!-我々の生活に欠かすことができない物質

    パソコンやテレビ、スマートフォンなどの電化製品、交通や通信の管理運営や自動車の安全性向上、先端医療に使われる機器……。私たちの身の回りでは、さまざまなところで半導体が使われています。そんな身近な存在である半導体ですが、どのようなものか?と聞かれると、案外答えられない人が多いのではないでしょうか。そこで今回は、半導体の材料や製造工程など基本的な知識を紹介します。

    半導体とは?

    半導体とは何かを知るために、まずは導体と絶縁体について確認しておきましょう。

    導体とは電気を通しやすい物質のことで、例えば金属がそれにあたります。一方、絶縁体は電気をほとんど通さない物質。例えばゴムが絶縁体です。

    半導体とは、そんな導体と絶縁体の中間的な性質を持つ物質で、温度変化や光の照射量、不純物の有無など、一定の条件下でのみ電気を通す性質があります。

    半導体のそのような性質を利用することで電気抵抗を調整し、さまざまな電子部品が作られます。電流を一方向にのみ流すダイオードや、電気信号の増幅や電気信号のON/OFFを高速化するトランジスタなどの半導体素子がその例です。

    半導体の材料

    半導体に用いられるのは、電気伝導率が金属と絶縁体の中間の10^(-5)~10^(-10)S/m の値をもつ材料です。

    代表的な半導体材料としては以下があります。

    ・Si(シリコン)

    トランジスタやIC、太陽電池などに広く用いられる材料で、地球上に多く存在するケイ石から製造されます。製造には多くの電力が必要とされ、主な生産国は中国、アメリカ、ノルウェー、オーストラリア、南アフリカ、ブラジルなどです。

    ・Ge(ゲルマニウム)

    トランジスタやフォトダイオードに用いられる材料です。石炭などの鉱物中に含まれます。最大の資源国はアメリカですが、日本における最大輸入元は中国です。

    ・GaAs(ヒ化ガリウム)

    半導体レーザーやICに用いられる材料です。

    ・CdS(硫化カドミウム)

    発光ダイオード、光センサ、太陽電池、など光⇔エネルギーの変換をおこなう半導体デバイスに用いられる材料です。

    ・人工ダイヤモンド

    近年、人工ダイヤモンドの半導体デバイスへの適用が注目されています。上述のような鉱物系半導体は生成するのに天然資源の消費や大量のエネルギーが必要になります。そのため、日本においては海外からの輸入に頼らざるを得ません。一方で人工ダイヤモンドであれば、資源的制約が少なく、電気的特性も鉱物由来の半導体と比べても安定していることから、研究機関や民間企業などで実用化に向けた研究が盛んにおこなわれています。

    半導体の種類

    半導体は、大きく次の2種類に分けられます。

    • 元素半導体

    シリコンやゲルマニウムなど単元素を材料にしている半導体。純粋な結晶では絶縁体に近いため(真性半導体)、リンやヒ素などの不純物を添加し、電気抵抗を低下させて導体に変化させる必要があります。

    • 化合物半導体

    複数の元素を材料にした半導体で、高周波デバイスや光半導体として多く使われています。

    化合物半導体にはセラミックス半導体や硫化物(硫化カドミウムや硫化鉛、硫化カドミウムなど)半導体、酸化物(酸化亜鉛や酸化鉛、酸化銅など)半導体、テルル化合物(テルル化カドミウムやテルル化鉛など)半導体など、さまざまなものがあります。構成する元素の組み合わせにより、族単位で分類します。

    また、元素半導体や化合物半導体のほかに、アントラセンやルブレンなど半導体の特性を示す有機材料である、有機半導体と呼ばれるものがあります。

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    「パワー半導体」とは?

    パワー半導体とは半導体による電力変換デバイスのことを指します。代表的なものとして、ダイオード、トランジスタが挙げられます。

    ダイオード

    電気回路に整流作用を持たせるための半導体素子です。整流作用とは、電流が一方向にしか流れないよう制限する機能です。この特性を利用して交流電源から直流を取り出す回路や直流回路の安全装置に用いられます。材料としてはシリコン系が主流です。

    トランジスタ

    電気回路の中で回路の導通/非導通や小さな駆動電源で大きな電力を制御する半導体素子です。すなわち、スイッチやリレー、増幅機の役割を果たします。デジタル信号の0⇔1を切り替えるCPU、微弱電流を大きな音に変換するスピーカーやイヤホンなど、ありとあらゆる電子部品に使用されています。ベースの材料はシリコンですが、リンやホウ素を添加し特性を作り出しています。

     ダイオードやトランジスタといった電気回路を制御する素子を高密度に集積したものがICやLSIと呼ばれるデバイスになります。これにより、四則演算や記憶といった機能が実現され、電子機器の根幹と言えます。

     

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    半導体の製造工程

    続いて半導体の製造工程について紹介します。

    洗浄

    半導体は、高純度単結晶シリコン基板であるウェーハ上に、複数回微細加工を施すことで製作します。この際、ウェーハに少しでも汚れがあれば回路に欠陥が生じるため、専用の薬液であらゆる汚れを除去します。

    成膜と成膜後の洗浄

    洗浄したウェーハ上に回路の素材となる薄膜を形成します。その後、成膜時についた微細なごみを改めて洗浄します。

    レジストコーティング

    レジストと呼ばれる保護膜をウェーハ表面に塗布します。

    露光と現像

    短い波長の遠紫外線を、ウェーハ表面に塗布したレジストに照射することで、レジスト膜を変質させて回路パターンを転写する「露光」を行います。そしてこの露光した部分に現像液を吐出し、溶かして薄膜の表面を露出させます。

    エッチング

    露出した薄膜を薬液で除去し、回路パターンを形成します。

    不純物注入と活性化

    ここまで処置したシリコン基板に半導体としての特性を持たせるため、ウェーハ上に不純物を注入します。熱処理を施し、注入した不純物を活性化させます。

    レジスト剥離

    不要となったレジストをウェーハ表面から剥離します。

    組み立て

    製造したシリコン基板を1つずつチップに切り分け、リードフレームという金属製の枠に接続し、プラスチック製樹脂に封入することで完成です。

    露光工程で注目される「EUV」

    EUVとは、Extreme Ultravioletの略称です。Ultravioletとは可視光より波長の短い領域の光(紫外線)ことですが、それより極端に波長の短い13ナノメートル波長光をEUVと呼びます。さらに短波長になると放射線と呼ばれる領域になります。

    光や音(波動)の特性として、小さな開口を通過する際の回折現象と干渉現象があり、半導体製造の露光工程ではこの2つの現象を利用して任意の回路を描画します。波長が長いと「回折しやすい=拡散しやすい」、波長が短いほど「回折しづらい=直進性が高い」となります。光が広がってしまうと細い線の描画ができません。そのため、モバイルデバイスやウェアラブルデバイスでの5G、XRといったニーズの高まりによる小型化、高集積化の著しい半導体では、ナノメートル単位の微細な回路が必要とされ、その製造にはより波長が短い光線が必要とされるため、EUVが注目を集めいています。

    また、光源装置の緻密さもさることながら、パターンをトレースするための位置決め駆動機構や、検査装置などにも同様に緻密さや正確さが求められます。光源装置に関してはオランダのASML社がシェアを独占している状態ですが、その周辺装置に関しては日本国内企業含め、国際的な技術競争が繰り広げられています。

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    半導体はこれからの設計にも欠かすことができない部品

    半導体は今や私たちの周りにあるさまざまな機器に使われています。今回は半導体の材料や製造工程について基本的なことを紹介しました。半導体は、私たちがこれから何かを設計をする際も、多く関わることになるでしょう。今回紹介した内容を、ぜひ今後にお役立てください。

     

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    参考:

    リタールの技術ライブラリ
    「規格に適合したスイッチギア及びコントロールギアの製作IEC 61439適用」
    本冊子は、新規格IEC 61439 準拠に必要な様々な対策を講じる上でのお手伝いをするために作成しました。リタール製規格適合システム製品の利用に関するご相談から貴社機器の要求設計や日常検査のご提案まで、幅広くご利用ください。
    ※新規格IEC 61439における変更点の他、「設計検証報告書」の作成方法などについて、85ページにわたって解説しています。

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