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    私たちの食生活を陰で支える大事な存在、食品機械とは?

    食品工場の設備である食品機械は日常生活では目にする機会が少ないですが、テレビ番組などで紹介される食品製造の工程でその存在を知った方も多いと思います。食品機械はさまざまな種類があり、私たちに安全な食生活を提供してくれる存在です。そんな食品機械とは何かを紹介します。

    食品機械とは

    食品機械とは、原料素材を加工処理、調理生成する際に使用される器具や装置のことです。

    原料素材とは農産物、畜産物や水産物のことです。調理用に使われる機器は幅広く食品機械と呼ばれています。
    食品機械の市場規模(販売額)は、2021年度で約5731億円。2014年から27%増加しています。
    (出典:一般社団法人日本食品機械工業会「2021年食品機械調査統計資料」)

    数多くある食品機械の種類

    食品機械の種類はとても豊富です。日本標準産業分類によると、精米機械や製粉機械など10種以上に分類されています。食品は私たちの食卓にのぼるまでに、主に原料処置、食品製造・加工、分量・計量、包装・充填の4つの生産工程を経てきます。各工程での食材や加工内容にしたがい、業者の要望に合わせ、さまざまな種類の食品機械が使用されているのです。

    ここでは数多くある食品機械のなかから一部を紹介します。

    ホモジナイザー

    液体中の粒子を均一に加工する機械です。牛乳やチーズなどの乳製品における乳化や均質、コーヒーやジュースなどの飲料の分散粉を加工する際に使います。ホモジナイザーには、超音波式、攪拌(かくはん)式および高圧式の3種類があります。

    フライヤー

    揚げ物をする際に使う食品機械です。飲食店に置いてあることも多く、知っている人も多いでしょう。

    食品乾燥機

    乾燥させた食品、ドライフルーツやジャーキーなどをつくる食品機械です。自宅でもドライフルーツやジャーキーなどの食品をつくることがあるため、家庭用の食品乾燥機も販売されています。

    急速冷凍機

    食材の温度を短期間で急激に下げることにより冷凍する食品機械です。買い物に行った際よく見る冷凍食品は、この急速冷凍機により食材を冷凍したものです。

     

    守るべき食品機械のルール ―食の安全のために

    食品機械を製作する際には、当然守らなければならない規定があります。これらの基準は手順や管理方法のほか、食品機械の材質にいたるまで、細かく規定されています。ルールを守っているからこそ、食品機械の安全性が確保でき、安全な食品を口にすることができるのです。

    守るべき規格(ルール)  その内容は?

    ・JIS(日本工業規格)

    日本における食品機械のルールはJISで規定されています。
    JIS B 9650-2の「4.2 構成材料から生じる危険源」の「意図した用途に対し不適切である材質」「食料品を汚染するおそれがある材質」など、衛生面に関する危険源の除去、リスク低減を規定しています。

    ・HACCP(ハサップ)

    HACCPは食中毒菌による汚染や異物混入などの危害要因(ハザード)を把握して管理するための手法です。アメリカ航空宇宙局(NASA)によって考案され、国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同食品規格(コーデックス)委員会にも記載された衛生管理の国際基準です。日本では2021年6月13日に食品衛生法が改正され、HACCPに沿った衛生管理が制度化されました。

    ・EHEDG(イーヘッジ)

    欧州に拠点を置く非政府組織が制定した衛生的な機器の作り方に関するガイドラインのことです。日本ではJIS B 9650-2にそのガイドラインが織り込まれました。HACCPが原料や製造工程の管理について規定されたものに対してEHEDGは製造機器・プラントの設計管理について規定されたものです。EHEDGは各国の衛生基準や設備製造基準を網羅するように作成しているため、EHEDGのガイドラインに従うことで世界中の衛生基準に適合できることを意味しています。


    衛生環境デザイン技術資料
    「欧州の観点から見る食品加工ラインの稼働を安定化し、衛生環境を維持する盤筐体」

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    食品機械の特徴や注意点

    食品機械の製造時には、材質や製造工程、衛生管理など守るべき様々なルールがあり、それらのルールを満たす必要があります。

    ・ハイジェニック製品の採用

    「衛生的な」という意味を示すハイジェニック製品は汚れが溜まりにくく、洗浄がしやすい製品を指します。食品工場だけではなく医療分野の機器にも採用されています。凹みや隙間をなくしたり、洗浄しやすいように勾配を付けたりしています。食品工場や医療分野をはじめ、衛生面で気を使わないといけない箇所でハイジェニック製品が採用されています。

    衛生環境を維持しやすくするハイジェニック製品とは

    食品業界やケミカル、さまざまな分野で最適 衛生環境デザイン(HD)ボックス 


    ・材質と表面処理

    食品機械では耐食性のあるステンレス鋼が推奨されています。ステンレスは含有するクロムが酸化して表面に被膜を貼ることで鉄の酸化を防いでいます。赤錆が発生しないため、錆が食品に混合される恐れがありません。また、鉄に比べて、塩素系やアルコールに対して耐性がある材質です。EHEDGでは食品機械において食品と接触する面の表面粗さはRa=0.8㎛以下が求められています。

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    ・溶接構造

    食品機械では部品同士の接合のために溶接を行う箇所が存在します。溶接は代表的なもので隅肉溶接がありますが、溶接部に段差ができると食品材料が留まりやすくなり、衛生面で良くないため、接合部は段差や隙間ができない構造にするようEHEDGで規定されています。

    食品機械の将来性-求められることとは

    食品機械は衛生面で気を付けなければならないことはもちろん、自動化やメンテナンス性の向上、グローバル化への対応などさまざまな視点から機能向上が求められています。

    ・自動化

    工場の大規模化および高機能化により、食の安全と安心に加え、省エネ化や自動化のニーズが高まっています。特に少子高齢化による人手不足に対応するため、自動化に対するニーズが高く、IoTを活用し管理や分析を行うスマート化が各社で積極的に進められています。例えば材料の仕分け用ロボットや荷積み用ロボットや協動ロボットなどの採用が挙げられます。

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    ・洗浄とメンテナンス性の向上

    EHEDGではCIP(定置洗浄)による洗浄性の評価に関するガイドラインを設けています。評価には微生物が用いられ指示薬を使った変色が見られなければ認定証が発行されます。今後はEHEDGに適合した洗浄性とメンテナンス性の良さが求められます。

    ・グローバル規格への対応

    日本食品機械工業会によると、2021年度の食品機械の輸出比率は7.4%に留まります。
    (出典:一般社団法人日本食品機械工業会「2021年食品機械調査統計資料」)

    グローバル化に対応するためには各国それぞれの規制を満たす必要がありますが、EHEDGやHACCPに対応することで各国の規制に対するハードルは低くなるでしょう。

    食の安全のため進化し続ける食品機械

    食が多様化した昨今、食品機械のニーズはより高まり、それに応えるため性能は進化し続けています。一般には目にする機会が少ない食品機械ですが、多くの技術者が取り組み、より良い食品機械を製造することで、私たちの食の安全を守っているのです。


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