PLC(シーケンサ)についての基本情報、制御盤に組み込むときの注意点および安全な配線方法を紹介します。また、PLCが別名でシーケンサと呼ばれる由来についても振り返ってみましょう。
三菱シーケンサに代表されるPLC
PLCとは、プログラマブルロジックコントローラ(Programmable Logic Controller)の略称です。もともとは、リレーの組み合わせによってつくられていた制御回路(シーケンス回路)を、内部にプログラムすることでモジュール化した制御装置がPLCです。
PLCの開発はアメリカの自動車業界が発端といわれています。日本国内では三菱電機が最初に発売し、普及が進みました。その商品名が「シーケンサ」であったことから、国内ではPLC全般がシーケンサと呼ばれる場合もあります。三菱電機以外では、IDEC、日立産機システム、オムロン、キーエンスなどがPLCを販売しています。一方海外では、シーメンス、ロックウェル、シュナイダーエレクトリックなどの世界的企業はもちろんのこと、各国の電気電子メーカーからPLCが発売されています。
PLCを制御盤に組み込むときの注意点
今やシーケンサ、つまりPLCは制御の代名詞といえる存在となり、大部分の制御盤にはPLCが組み込まれています。PLCを制御盤内に収めるときには、次のような点について再確認しましょう。
- サイズとレイアウト
PLCは年々小型化が進んでいます。その一方で、制御盤に求められる仕様が複雑化しているのも現状です。PLCは入出力点数が多いものほど物理的なサイズも大きくなる傾向にあります。制御盤の複雑化に伴いPLCの入出力点数も必要数が増えるため、盤内に設置する際のサイズに注意しましょう。
盤内の設置場所としては、保守作業時や操作時の安全面から高圧機器・動力機器から離れた場所に配置します。また、マグネットコンダクタやリレーなどノイズを発生機器からも一定の距離をとり、I/O(入出力)ユニットのようなノイズ発生の少ないものを隣接させることが望ましいとされています。 - 熱対策
PLCの使用温度は、内部の素子部品の使用温度の関係から5℃~40℃程度が適しているとされています。ただし近年の小型化が進む制御盤では、盤外に対し10℃以上の温度上昇が見られることがあります。このとき、外気温が30℃に近ければすでに許容範囲の限界に達していることになります。
そこで、PLCは盤内の熱気がたまりやすい盤の上部や発熱量の大きい機器の上には設置しないようにしましょう。
また、ファンやルーバー、制御盤クーラーを使うことで盤内の温度をコントロールし、PLCを含めた機器の温度マージンを大きく保ち、安定運用することができます。 - 耐久性
PLCにはメーカーの想定する有寿命部品が複数使われています。PLCはこれらを定期的に交換しながら、使い続けていくことになります。しかしPLCも機械である以上故障は発生し、機器そのものの寿命も必ずやってきます。できる限り寿命を伸ばすため、しっかりとしたメンテナンス計画を立て実行しましょう。
また、PLCは、振動や衝撃に対しJISに定められた試験を合格後に出荷されていますが、それを上回るような振動や衝撃がある環境に対しては軽減するための措置を講じる必要があります。振動の原因に応じて、振動源とPLCを分離するなどの対策を施しましょう。
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安全対策
PLCは制御をつかさどる部分であるため、そこにエラーが発生すると大きな損害につながる可能性も持っています。PLCの管理部門または管理者を定め、PLCにかかわる人員には安全教育を行いましょう。
また、非常停止配線を設け機械的・電気的な方向からの安全対策も立てましょう。
PLCの配線で気をつけたいポイント
制御の心臓部でもあるPLCにエラーや故障が発生すると、生産ラインの停止や機械の誤作動、さらには事故につながるおそれもあります。このような事態を防ぐため、PLCの配線をするときには次のような点に注意しましょう。
適した電線選び
PLCへの配線は、電源・コモン・入力・出力の4つがあります。
電源の電線は、仕様に合わせた色を選ぶようにしましょう。保守担当者がDCなのかACなのかをひと目でわかるようにしておくのが望ましいでしょう。
コモンの電線は、PLC各社の仕様に合わせた太さの線を使う必要があります。一般的には1.25sq以上であれば問題ないとされています。
入出力の電線は、接続するリレーやセンサーによって適切なものを選びます。
近年では制御盤の小型化・省スペース化が進む一方で、配線作業は狭い場所での作業となり大変さを増しています。コネクタをうまく利用して省スペース化と作業性向上を図りましょう。
非常停止用の配線
PLCも機械である以上、絶対に安全とはいえません。非常停止機能が必要となります。このとき、使用する設備の種類にもよりますが、PLCのプログラムに非常停止用の信号を与えるより、電源そのものを遮断する方法が確実です。
通常AC100Vからブレーカー、ブレーカーからPLCやDC電源供給のためのパワーサプライといった接続をします。このとき、PLCからパワーサプライへと並列に接続し、それらとブレーカーの間に非常停止ボタンを挟むように配線すると簡単です。
制御の心臓PLC
PLC、シーケンサについて、制御盤に組み込むときの注意点と配線時のポイントを紹介しました。PLCはシーケンス制御の心臓部です。今回紹介した点に注意し、安全に使用してください。
参考:
- シーケンス制御講座「PLCへの配線方法」|ものづくりニュース
- 配線について|シーケンサーメンテナンス.com
- プログラマブルコントローラ(PLC) - 34社の製品とランキング|indexPro
- PLCの世界シェアはどのようになっていますか?|海外仕様 制御設計.COM
- テクニカルガイド PLC制御盤の設置について(PDF)|オムロン
- プログラマブルコントローラシステムの導入・運用指針(PDF)|社団法人 日本電気工業会
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