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    電気自動車などの環境意識の高まりと自動車の軽量化と低燃費化

    CO2排出量規制の強まりを受け、自動車業界では燃費向上を狙う動きがますます大きくなっています。自動車の燃費向上には、大きく2つの流れがあり、ひとつはハイブリッド車や電気自動車などの次世代自動車の開発。もうひとつは自動車そのものを軽くする軽量化の試みです。特に自動車の軽量化は、新たに開発される次世代自動車でも、従来の自動車でも盛んに研究開発が行われています。ここでは自動車の軽量化によるメリットや、注目を集めている素材などについてご紹介します。

    自動車軽量化によるメリット

    自動車軽量化のメリットは、自動車の燃費がよくなることにあります。重いものを動かすためには、より多くのエネルギーが必要になりますから、少ない燃料でより長く移動するためには動かすものを軽くしなければなりません。自動車の重さは車種や大きさによって幅がありますが、小さめのものでも1,000kgほどにもなります。中に乗る人の重さが4人で220kg程度と考えると、ガソリンによるエネルギーがいかに自動車そのものを動かすことに費やされているかが分かります。つまり自動車を軽量化することは、それだけ燃費の向上に効果があるということです。概算では100kgの軽量化はガソリン1Lあたり1kmの燃費改善につながるといわれ、同時に自動車が1km走るごとに15gのCO2排出量を削減できるといわれています。

    また特に高級車においては、軽量化をすすめることで「環境にやさしい」という付加価値をつけ、ほかと差別化するという意図もあります。

    自動車軽量化に伴う材料の動向

    かつては自動車の材料は鋼鉄がメインでした。プレスや溶接などの加工に向いているため、大量生産がしやすいことに加え、強度があるのが特長です。一方で鋼鉄には素材そのものが非常に重いという性質もあります。自動車軽量化を進めるためには、重い材料を軽いものへと変えていかなければなりません。そのため従来の鋼鉄の部品を減らし、どのようにほかの材質に置き換えていくかがひとつのポイントになります。

    鋼鉄に代わって使う量が増えている材料は、アルミニウム、マグネシウム、CFRP(カーボン樹脂)などです。アルミニウムはサイドフレームやバンパービームなどの骨組み系の部品での使用頻度が増えています。アルミニウムよりもさらに軽いマグネシウムは、従来はアルミニウムが使われていたシートフレームやトランスミッションケースなどに使われていますが、高価なため一部用途の車種等に限定されます。またCFRPは内装部品やプロペラシャフトなどでの使用が進められています。

    自動車部品には、強度の必要な骨格部位だけでなく、衝突時に破損することで衝撃を吸収するバンパーのように、場所によってさまざまな機能を持つ必要があります。そのため部位に応じて、求められる機能に適した軽量化素材が使われるのが一般的です。

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    自動車軽量化に伴う開発の動向

    今まで使ってきた部品を新しい素材にしようと考えたとき、今までと同じ加工方法ではうまくいかないことや、強度やコスト面で問題が発生することも少なくありません。特に自動車産業はすでに開発の成熟期を迎えている分野ですから、今まで使われてこなかった素材には、何らかの「使えない」理由があると考えてもいいでしょう。つまり新しい素材を使って部品を作るときには、これまでに課題とされていた問題を解決する必要があります。例えば新しい加工技術の開発や従来の方法の改善、新たな加工機の開発も同時に行わなければなりません。

    そのうえで一助となるのが、シミュレーション技術の向上です。バーチャル上に作り上げた3Dモデルを活用し、部品の熱特性や破損の特性など、さまざまな分野でシミュレーションを活用することが可能です。これにより実機試作に入る前の段階で問題を発見することができ、より開発のスピードを上げることが可能になります。

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    まとめ

    環境への意識は今後もさらに高まっていくと見られ、それに伴い自動車軽量化の動きもより大きくなっていくと予想されます。従来は使われてこなかった新しい素材が使われる機会も増えていくでしょう。シミュレーションを活用し、新たな素材の導入をスムーズに行っていきましょう。


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