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    等電位化とは?その目的から方法や記号までを徹底解説

    等電位化とはどういった目的のために行われるもので、どういった方法の処理を意味しているのでしょうか。さまざまな事故やトラブルを引き起こす雷サージから人や建物、機器を保護し、さらには医療分野においても使われる等電位化について解説します。 

    等電位化とは

    等電位化の意味と目的から解説します。

    等電位化の意味

    等電位化をその言葉の本来の意味からとらえると、単純に「電位を等しくする(2点以上の箇所で同じ電圧にする)こと」となります。

    しかし実際の現場においては、接地の施工に関連して使われる用語で、「『接地を行う箇所の』電位差をなくすこと」を指すのが一般的です。近い場所や同じ建物で使われている接地線同士の電位差をなくしたり、接地点となる地面で電位差が生じないようにしたりする処置のことを等電位化と言います。

    接地の等電位化をする目的

    では、なぜ接地の等電位化をする必要があるのでしょうか。

    それは、電流が想定外の回り込みをするのを防ぐためです。電流は電位の高いところから低いところへと流れるため、接地の電位差が生じた場合に本来流れるべきでない場所に向かって流れる恐れがあります。

    例えば、雷が避雷針に落ちたとき、避雷針から接地へと雷の強大な電流が流れます。このとき、小さな電流であれば地中に吸収されて消えますが、雷のような非常に大きな電流は地電位上昇を起こして周囲にある別の接地点の電位も上げてしまいます。

    このように接地の電位が上昇すると、その接地線に接続している機器へと電流が流れる恐れがあります。そうなると絶縁破壊を起こす原因となり、機器の故障だけでなく漏電による周囲への影響も引き起こす可能性があり、危険です。

    また、通信機器に接続されている接地の近くに高電位の接地がある場合は、ノイズの発生原因ともなるため、ノイズ防止の目的で行われる等電位化もあります。

    医療分野においては、心臓部へのミクロショックを防ぐため検査や治療の際に使用するベッドや金属部品、医療機器は等電位化されます。

    以上のように、接地の電位差が生じることによって起こる事故を防ぐため、各設置の電位を等しくするような処理をするのが等電位化の目的です。

    等電位化の方法

    等電位化の方法としては、すべての接地および建物の金属製部材を共通に接続して設置するのが基本です。しかし、電源線や通信線は直接設置すると短絡(ショート)してしまうため、SPD(避雷器)を用いて接続する方法がとられます。

    等電位化のために行う処置として、次のような方法があります。

    接地間を直接導体で接続する方法

    各機器から接地点へと向かう接地線を並列接続する方法です。シンプルな方法ですが接続された接地は確実に等電位化されます。

    接続するための電線は、その各接地で使われる接地線の中で最も太いものよりさらに太いものを使います。

    この方法は、ノイズの発生や電流の回り込みなど問題が発生した場合は使うことができません。

    各機器にSPD(避雷器)を使う方法

    電気機器や通信機器などそれぞれの機器の接地線にSPD(避雷器)を取り付けて接地する方法です。

    SPDはサージ保護の役割を持ち、サージ進入時のみ短絡(ショート)するよう動作します。直接接続することのできない機器の間も等電位化が可能です。

    接続方法としては、SPD経由後の部分で接地線同士を接続することにより等電位化します。

    接地間用SPD(アースバランサー)を使う方法

    各機器の接地極同士を接地間用SPD(アースバランサー)で接続する方法です。

    接地線同士は直接接続されないため、想定外のノイズや回り込みといったトラブルを回避できます。

    等電位化に関する規格と記号

    等電位化はJISでも規格化されています。等電位化の規格と使われている記号をご紹介します。

    等電位化に関するJIS

    JISでは建築電気設備の項目において等電位化の規格があります。

    ただしJISでは、等電位化ではなく「等電位ボンディング」という用語を使います。ボンディングとは「結合・接着・接合」といった意味の言葉です。

    具体的には、JIS A42012003にて建物内部の火災・爆発・感電など内部雷保護を目的とした、等電位ボンディングの施工や安全隔離の確保が規定されています。JIS C0367-12003では、電子システムの保護を目的として等電位ボンディングの方法が規定されています。

    これらの規格は、いずれもIECの規格をJIS化して導入されたものです。そのため、国際規格にも準拠していることになります。

    等電位化された接地を表す記号

    JIS C 9335-2-47では、等電位ボンディング端子に関する記号も定められています。

    こちらもIECの規格と統一した記号を用いるよう規定されているため、国際規格に準拠しています。

    等電位化を表す記号は以下の資料で説明されています。

    JIS C 9335-2-47 における「等電位導体」と「等電位ボンディング端子」に関する対比表(PDF)|経済産業省

    保護接地と等電位化とで記号を適切に使い分けること、外部の等電位導体を接続するための端子は有効な電気的接触をすることなどが規定されています。

    等電位化は建物・機器・人体を守る重要な処理

    等電位化の意味と目的、等電位化の方法とその種類、規格と記号について解説しました。

    建物における等電位化は雷サージによる事故や故障、感電を防止するために行われます。また、医療分野においてもME(医用工学)機器には等電位接地が必須となっているものが多く、医療の安全を守るうえでも重要な役割を持っています。等電位化の意味をしっかりと理解し、等電位化または等電位ボンディング、保護ボンディングなどと記載のある場合には、適切な等電位化の処理を必ず施工しましょう。

    参考:

    等電位ボンディング|株式会社サンコーシヤ
    雷被害と雷対策の必要性 等電位化による雷サージ対策 | 音羽電機工業
    電気設備学会誌 第28回定時総会特別講演 接地の世界(PDF)|J-Stage


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