全世界で自動車の電動化が進み、普及が促進されつつありますが、まだまだ課題も多く見られます。その課題のひとつが、世界でのEV急速充電器の規格統一化。日本ではどのように進められているのでしょうか? 早速見ていきましょう。
EV急速充電器とは? ―それ以外の充電器もあわせて解説
そもそもEV急速充電器とはどのようなものでしょうか?
EV急速充電器とは?
EVとはElectric Vehicleの略で、電気自動車を意味します。EVはエネルギー源として充電が必要であり、そのための機器がEV急速充電器です。現在EV急速充電器の普及は着実に進んでおり、公共の場所や自動車ディーラーなど設置が増えてきています。
EV急速充電器以外の充電器
EVの充電方法はEV急速充電器以外に、充電ケーブルとケーブル付き普通充電器があります。充電ケーブルは100Vや200Vのコンセントからの充電が可能。小型で、いつでも利用できるよう車に積んで持ち運ぶのが一般的です。一方、ケーブル付き普通充電器はEV急速充電器と同様公共の場所に多く設置されています。
日本と海外におけるEV急速充電器の動き
世界にはさまざまな急速充電器の規格があり、そのなかでも日本はチャデモ規格、ヨーロッパやアメリカはCCS、中国ではGB/T規格が広く採用されています。
現在日本国内と海外では、EV急速充電器についてどのような動きを見せているのでしょうか?
日本国内における動き
一般社団法人 CHAdeMO協議会によると、日本国内には2017年時点でチャデモ規格の急速充電器は7,200基設置されています。日本で利用されている電気自動車の多くがチャデモ方式を採用していることを考えると、国内の充電インフラは確実に進んでいるといえるでしょう。ただし「1ヶ所における基数が少ない」、「同じチャデモ規格でも出力が異なる。出力が小さいEV急速充電器では充電に想定以上の時間がかかる可能性がある」など、解決すべき課題はまだまだあります。
海外における動き
世界的には規格の標準化が課題となっており、そんななか日本が中国に技術支援を行いEV急速充電規格に関して日中が連携していくことが2018年に発表されました。一方、欧米で広く採用されているCCSはこの日中との連携に動く気配は見られません。CCSはドイツ大手3社のダイムラー、BMW、VWと、アメリカ大手3社GM、フォード、FCAが推奨している規格です。日中で規格が統一されたとしても、CCSが動かなければ日中統一規格のヨーロッパやアメリカへの普及は困難と考えられます。
日中統一規格の次世代超高出力充電規格チャオジ
日中共同で規格制定を進めている新規格はチャオジと呼ばれます。その開発状況について、前出のCHAdeMO協議会にて、2020年に日中合同発表会が開かれました。そこでは、2022年ごろからチャオジ対応の充電器や電気自動車が登場する予定であることが明らかにされました。
技術的にはほぼ整っており、今後は各メーカーのチャデモ会員に対して内容の展開や意見の反映、提言の採用、中国とのすり合わせなどをしていきます。2020年内には最終規格として発行したい意向のようです。
全世界でEV急速充電規格が乱立する現在において、チャオジは各規格からの互換性を重視して開発されており、チャデモやGB/T以外の規格も含めた高出力EV充電規格として世界統一を目指します。
今後世界的な統一化が期待されるEV急速充電規格
今回ご紹介したとおり、EV急速充電規格について、日中での統一化は確実に進められていますが、2国以外の国が連携に動く気配はまだありません。規格の統一化は関係各所との交渉や政治的な駆け引きも必要であり、容易には進まない課題です。しかし、規格の統一化が進めばインフラ整備のコスト削減が可能となり、大きなメリットが得られることは間違いなく、電気自動車のさらなる普及のためには必須ともいえます。今後の動きに注目していく必要がありそうです。
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