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    産業用蓄電池の必要性とその理由-導入事例も紹介

    東日本大震災以降、産業用蓄電池の設置が広まってきています。なぜでしょうか? その理由とともに、そもそも産業用蓄電池とはどのようなものか、メリット・デメリットは何か、またいくつかの導入事例を紹介します

    なぜ産業用蓄電池が必要とされているのか?

    産業用蓄電池の概要と、それが必要とされている背景についてご紹介します。

    産業用蓄電池とは?

    産業用蓄電池とは、工場や公共施設、オフィスビル、ショッピングモールといった商業施設などに設置する蓄電システムのことです。用途は、自然災害などにより広域停電が起こったとしても、安定して電力を供給し続けるためのバックアップ電源です。加えて、平常時には蓄えた電気を利用してエネルギー消費量を調整し、電気料金の削減を可能にする働きも持ちます。蓄電池には小規模な家庭用や、大規模な系統用もありますが、産業用には産業用ならではの、特徴(容量や電池の種類)や設置の際の注意点があります。

    産業用蓄電池のシステム

    産業用蓄電池は、太陽光発電などの再生可能エネルギー発電のための機器や、その施設内にあるその他の機器を制御システムによって連携させることで、省エネ効果を高めることができます。

    平常時には太陽光発電などで得た電力余剰分を充電し、電力の有効活用につなげます。電力使用量が少ない休日や夜間に蓄電池へ充電し、電力使用量が多い時間に使うことで、電気のピークシフト(電力需要のピークを平準化させること)を可能にします。また、停電時には特定の負荷機器に絞って電力を供給することができる仕組みもあります。

    産業用蓄電池が必要とされる理由

    日本は自然災害の多い国であり、その際停電することも決して珍しいことではありません。また、東日本大震災後には長期にわたる計画停電が実施され、不便な生活を強いられました。そのため家庭用の蓄電池が広まった経緯がありますが、長期に電力が供給されない対象が家庭ではなく企業であれば、不便ではとどまらずに企業の死活問題になってきます。非常時でも企業の業務を中断させないため、また中断しても短い時間で復旧するため、産業用蓄電池が必要とされるのです。

    産業用蓄電池のメリット・デメリット

    産業用蓄電池のメリットとデメリットを確認しましょう。

    メリット

    バックアップ電源として、災害時に非常用電源の確保が見込め、BCP(事業継続計画)対策となります。そのため、産業用蓄電池を導入した施設は、災害時における地域の避難拠点にできる場合もあります。また、災害時以外でも電力のピークカットやピークシフトによる電気基本料金の削減が期待できます。さらに、導入した施設の規模によっては、電気の自給自足も可能とし、脱炭素社会への取り組みがESG(環境・社会・企業統治)投資の対象先企業となることでビジネスチャンスにも繋がります。

    デメリット

    産業用蓄電池設置に対して投資効果が期待できる一方、どうしても導入コストが大きくなるのがデメリットです。

    ただし、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル:年間の一次エネルギー消費量をゼロにすることを目指した建物)を建てる際に産業用蓄電池を導入した場合は、補助金制度の対象になります。

    産業用蓄電池の導入事例

    最後に産業用蓄電池の導入事例を3つご紹介します。

    柏の葉スマートシティ

    一つの街全体で、環境のためにさまざまな取り組みを行っている「環境共生都市」です。オフィスビル、商業施設ともに蓄電池システムを導入。電力使用量や太陽光発電、蓄電量を1ヶ所で管理して相互間の電力融通を可能にしています。さらに住宅エネルギー管理システムとも連携し、オフィスビル、商業施設、住宅、すべての建物における電力需要ピークの制御を可能にしています。

    積水ハウス東北工場

    製造業は多くのエネルギーを消費する業種であり、工場での省エネ化が課題とされています。積水ハウス東北工場では、蓄電池とガスエンジンの統合利用で、約700kWの契約電力削減を実現。また、災害時に250名に1週間電力を供給できる体制を整えており、避難所としての活用も可能です。

    パナソニック

    事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーにすることを目指す国際的イニシアチブRE100に加盟しています。今年5月には「RE100ソリューション」への取り組みとして、滋賀県草津拠点に純水素型燃料電池と太陽電池を組み合わせた自家発電設備、余剰電力を蓄えるリチウムイオン蓄電池を備えた大規模な実証施設を設置することを発表しました。実証は2022年春に開始されます。

    これからも広まっていくことが予想される産業用蓄電池

    日本は台風や地震、さらには雷や津波などさまざまな自然災害のリスクがある国です。不測の事態に備え、産業用蓄電池は今後もますます需要が高まっていくでしょう。     

    屋外向け筐体ラインナップ

    参考: