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    インバータ とコンバータ で実現するスムーズな制御

    コンバータとインバータは、制御においてどのように使われているのでしょうか。それぞれの役割を考えながら、コンバータとインバータの組み合わせによるインバータ盤がどのような働きをするのか、どのような場面で活躍しているのかを紹介します。

    コンバータとインバータ

    コンバータとインバータ、それぞれどのような働きをするもので、どのような違いがあるのでしょうか。

    電気には、直流と交流があり、それぞれの特性により使い分けられています。

    交流から直流に変換する装置をコンバータといいます。変換の流れをわかりやすく表し、AC-DCコンバータと呼ばれることもあります。

    一方、直流から交流に変換する装置がインバータです。同様にDC-ACインバータとも呼ばれます。

    インバータとコンバータは、どちらも半導体スイッチによって実現されている装置です。

    海外向け制御盤製作に役立つ 『IEC 61439』 と 『UL』 の基礎知識

    インバータ盤とは

    インバータとコンバータの役割がわかったところで、インバータ盤と呼ばれる制御盤について考えてみましょう。

    インバータ盤は、電圧や周波数を自由に変えることを可能にする目的を持った制御盤です。コンバータ・コンデンサ・インバータを組み合わせ、それぞれの特性を応用することで電圧と周波数のコントロールを可能にしているのです。

    整流器とも呼ばれるコンバータで交流から直流に変え、コンデンサにより電流を平滑化し、インバータで再び直流から交流へと変換します。

    電圧や周波数の制御が最大の目的となり、この制御の主役となるのがインバータであるため、インバータ盤と呼ばれています。

    インバータ盤によってできること

    インバータ盤はいろいろな場面で活躍していますが、その例をいくつか紹介します。

    ポンプでの流量調整と省電力化

    水をくみ上げるためのポンプを考えてみましょう。

    インバータ盤を使わない場合は、水の流量を調整するためにダンパ(開閉弁)やバルブなど、水の流れを制限する装置が必要となります。このとき、ポンプのモーターは常に全力で回っているため、流量を減らしても消費電力は減りません。

    しかし、インバータ盤を使うとモーターの回転数を調整することができるため、回転数を抑えて流量を減らすことができます。つまり、流量を減らし、消費電力も抑えることが可能なのです。このようにインバータ盤によって省エネが実現できます。

    コンベヤでの製品搬送

    ロボットにより製品がコンベヤに載せられ、作業者のもとに届くという場面です。

    インバータ盤を使わない場合、コンベヤが急激に動き出すため、ベルト上のワーク(荷)が崩れやすくなります。

    しかしインバータ盤を使うと、スムーズで緩やかなスタート・ストップが実現します。そのためワークへの影響も少なく、荷崩れのような本来必要のない負荷を作業者にかけることもありません。

    アクチュエータ式昇降装置の上下運動

    生産ラインにおける、アクチュエータを使った昇降装置の例です。アクチュエータは、モーターの正転・逆転の切り替えによって伸縮します。

    インバータ盤を使わない場合、逆相回路を組む必要があり、部品点数も増えます。さらに上昇・下降のスタート・ストップ時にショックが発生します。しかし、インバータ盤を使えば回転方向の切り替えが簡単にできるため、滑らかな運転が可能です。

    50Hzでも60Hzでも

    モーターを使用する設備や装置は、50ヘルツの地域(東日本)と60ヘルツの地域(西日本)で実際の回転数が変わってしまいます。そこで回転数を合わせるために、周波数帯域が変わった場合にはプーリー(滑車)の変更で対応しなければなりませんでした。

    しかし、インバータ盤を使うことで回転数を自由に変更できるようになります。これにより、部品交換のような手間をかけることなく、東日本と西日本で設備の共用化を図ることが可能です。

    コンバータとインバータが産業を発展させた

    コンバータとインバータの役割、インバータ盤とはどのようなもので、どのような場面で活躍しているのかを紹介しました。

    インバータ盤は、コンバータとインバータの組み合わせでできています。インバータ盤によりさまざまな調整が可能となり、多分野において産業の発展を助けてきたといえます。また、インバータ盤の活躍は省エネの面でも大きく、環境負荷の低減にも貢献しているのです。

     

    参考:

    リタールの技術ライブラリ
    「規格に適合したスイッチギア及びコントロールギアの製作IEC 61439適用」
    本冊子は、新規格IEC 61439 準拠に必要な様々な対策を講じる上でのお手伝いをするために作成しました。リタール製規格適合システム製品の利用に関するご相談から貴社機器の要求設計や日常検査のご提案まで、幅広くご利用ください。
    ※新規格IEC 61439における変更点の他、「設計検証報告書」の作成方法などについて、85ページにわたって解説しています。
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