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    JEMAが発足させた「スマートマニュファクチャリング特別委員会」とは

    ドイツがめざすインダストリー4.0。IoTの広がりやAIの発達をうけ、日本電機工業会(JEMA)は「スマートマニュファクチャリング特別委員会」を発足させました。スマートマニュファクチャリングの意味と、特別委員会の概要について解説します。

    スマートマニュファクチャリングとは

    スマートマニュファクチャリングとは、IoTやビッグデータ、AIなどを利用し、製造のパフォーマンスの向上をめざすことを意味します。具体的な例としては、倉庫のラックやパレット、搬送のためのフォークリフトやトラックにセンサーを取り付けることで、モノの流れを可視化。より効率的な生産計画の立案や、問題点をすばやく把握して対策を講じるなどが挙げられます。またIoTだけでなく、AIやビッグデータの活用も注目を集めています。これまでは作業熟練者の勘に頼っていたデータをセンサーなどによりデジタル化。同様のデータを多くの工場から集めてビッグデータを作成し、さらにAIを用いて分析します。従来は暗黙知とされていた作業を可視化して、その結果をマニュアル化し共有する、自動化の手がかりにするなどの取り組みが行われています。他にも生産設備の管理やメンテナンス、品質管理、生産性の向上など、スマートマニュファクチャリングを推進することで、さまざまな効果が期待されています。

    スマートマニュファクチャリングは、IoTの先のプロセスとして存在するものです。製造業でIoTを導入する際は、その先にあるスマートマニュファクチャリングの実現を想定することが必要になります。

    「スマートマニュファクチャリング特別委員会」とは

    スマートマニュファクチャリング特別委員会とは、日本電機工業会(JEMA)がインダストリー4.0に対応するために発足した委員会です。同委員会が、インダストリー4.0を経た2030年の製造業の姿をまとめた提言書を公表しました(「製造業2030」)。

    「製造業2030」では、2030年におけるエネルギー、人口、経済などの状況が製造業に対してどのような影響をおよぼすかについて言及されています。そこで述べられていることのひとつが、現在日本の産業界を支えている作業熟練者の退職、後継者不足です。また2030年には個人の価値観の多様化、3Dプリンターなどによる試作プロセスの短縮化、シミュレーション技術の高度化などが起こることが予測されています。

    インダストリー4.0とともにより激しくなっていくグローバルレベルでの競争。この状況に個々の企業だけで対応するには限界があります。そこで日本電機工業会が加盟企業や学識経験者、他連携組織のメンバーなどを巻き込んで発足したのが「スマートマニュファクチャリング特別委員会」なのです。同委員会では現状や将来の分析のほか、セミナーや講演などの活動が行われています。

    スマートマニュファクチャリングとスマートファクトリー

    「スマートマニュファクチャリング」とよく似ている言葉に「スマートファクトリー」があります。どちらもIoTに関連していますが、つながる相手や目的とするものに違いがあります。スマートファクトリーが対象とするつながりは、工場と工場。たとえばA社には存在しないカラーバリエーションの製品を消費者が望んだ場合、望む色の塗装が可能なC社に部品が自動的に送られ、塗装後にC社から戻された部品を組み立てて、A社の製品として消費者に販売するといった、バリエーションに富んだ動きが挙げられます。

    一方のスマートマニュファクチャリングが対象とするつながりは、主に工場内や日ごろから取引のある業者同士。新しい拠点とつながるというよりは、現在あるつながりのなかでデータをやりとりし、生産性や品質を高めようとするものです。

    また、混同しやすい言葉としては「コネクテッドインダストリーズ」があります。経済産業省がインダストリー4.0などの流れを受けて打ち出した戦略を指す言葉です。これらの言葉の違いを以下にまとめてみましょう。

    • スマートマニュファクチャリング:IoTやAIを活用し、現状の生産体制における、生産性や品質の向上を図るもの。日本電機工業会が提唱。
    • スマートファクトリー:IoTにより工場と工場がつながること。メーカー同士でのモノのやりとりが盛んになる。

    コネクテッドインダストリーズ:インダストリー4.0などの流れを受けて経済産業省が発表した戦略。

    制御盤製造4.0

    まとめ

    日本電機工業会(JEMA)が発足させたスマートマニュファクチャリング特別委員会とは、IoTやビッグデータ、AIなどを活用し、製造のパフォーマンスの向上させることを推進する委員会です。IoTやインダストリー4.0に対応する団体や活動はいくつか存在するなかで、日本電機工業会が主導していることが大きな特徴となっています。

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