
クラウドコンピューティングの普及により、製造業におけるワークフローシステムのデジタル化が進んでいます。ワークフローシステムをデジタル化することによって得られるメリットとは、いったいどのようなものなのでしょうか。
ワークフローとは
ワークフローとは、仕事のパターンや流れを意味します。また、その流れをフローチャートによって明確に定義したものも指します。
ワークフローの実例
カメラを生産するラインを例にとってみましょう。生産ラインを流れる部品に次々と他の部品が組み付けられて、徐々にカメラの形になっていきます。一部の部品は別のラインで組み立てられ、それがメインの生産ラインに運ばれてきて組み付けられることもあるでしょう。組み立てられたカメラは、検査工程を経て、電池パックや電源コード、ストラップなどのアクセサリーを同梱されて出荷されていきます。このような一連の生産の流れにおいて、その製品にはどの部品を使うのか、生産ラインのどこで何の部品が組み付けられるのか、どの作業者が検査工程でチェックを行うかなど、マニュアルとして図などにより明確に定義することができます。このようにマニュアル化される一連のパターンがワークフローです。
ワークフロー作成のメリット
ワークフローを作成することは、さまざまなメリットがあります。
最もわかりやすいのは、ミスの防止です。ワークフローによって一連の流れが明確に定義されるため、いつ、誰が、どこで、何を、どうやって必要な作業をするかが、誰にでもわかるようになります。また、迷ったり手戻りを起こしたりせずに進めることができるため、業務効率の改善にもつながります。
業務がどこまで進んでいるかもわかりやすくなりますので、業務の進捗管理や状況の共有がしやすくなります。
ワークフローのデジタル化
通信技術の発展や、クラウドコンピューティングなどの普及を受け、現在では製造業を中心に多くの業界でワークフローのデジタル化が進んでいます。
デジタル化するワークフロー
ワークフローがデジタル化すると、どのようなことが起こるのでしょうか。カメラの生産を例にとってみましょう。
生産ラインの最初でバーコードなどにより製品の情報を紐づけることにより、ライン上に設けられたカメラがその情報を読み取ります。すると製品を作るために必要な部品が自動的に作業者の手元にポップアップしてきたり、必要な部品が入っている棚が自動で光ったりして、作業者に必要な部品を自動で指示してくれます。
デジタル化されていない場合、作業者が自分で製品につけられたタグなどを読み取り、そこからマニュアルを参照しながら必要な部品を判断し、自分で部品を選択しなくてはいけません。ワークフローをデジタル化することで、作業者の負担を減らし、ミスをなくすことができるのです。
製造業でワークフローのデジタル化が進む背景
特に製造業でワークフローのデジタル化が進む背景には、大きく分けて3つの理由があります。1つはものづくりの工程では大量の情報を管理しなければならないこと。もう1つは、製造業の現場においてはワークフローを守ることが大切であるということ。そして最後は、業務の効率化です。
例えば、カメラの製造ラインの例にもあったように、製造業において製品のバリエーションや出荷する地域などによって、必要な部品や付属品が変化するケースは一般的です。それらの全てにおいて、図面や品番、仕入れコードなどの情報がつきそいます。また、仕入れの状況や製品のバージョンアップなどにより、製品に紐づく情報はリアルタイムで変化していきます。それらの膨大なデータを管理したり、関連する部署で共有したり、作業者に指示を出すためにはデジタル化の動きは避けて通ることができません。
また品質を管理するという観点からも、生産の現場におけるワークフローの順守はとても大切な要因です。例に挙げたようなカメラの生産ラインの場合、従来のように作業者が手作業で確認を行っていたのでは、本来使うべき部品とは違う部品を誤って使ってしまうようなヒューマンエラーが発生する可能性があります。このようなエラーを防ぐためにはワークフローを守ることが大切であり、その手段の一つとしてデジタル化による自動化への関心が高まっています。
品質の管理の部分にも重なるところはありますが、ワークフローのデジタル化によって業務の効率を改善することも可能です。例えば、工作機械の制御盤を設計・製作する作業者がマニュアルを参照しながら部品を選択していたところを、ワークフローのデジタル化により、自動で部品が指示されるようになることで、作業者がマニュアルを確認する時間が短縮されます。また、部品の取り付けや配線状況といったワークフローもデジタル化することによって、さらにミスや手戻りも少なくなりますので、その分、効率も向上すると期待されています。
デジタル化によって得られるメリット
ワークフローのデジタル化には多くのメリットがあります。
製造業におけるワークフローのデジタル化でご紹介したように、ワークフローに付随する図面や顧客などの膨大なデータを一元管理し、検索や紐づけが容易になるのもひとつの例です。
また、品質向上や業務の効率化など、さまざまなメリットを見込むことができるでしょう。
まとめ
ワークフローのデジタル化には、自社内だけでなく、取引先も含めさまざまなメリットがあります。検討してみてはいかがでしょうか。
参考:
- 第一回 そもそもワークフローとは何?|RICOH Communication Club
- 楽々WorkflowII|住友電工情報システム
- EPLAN Data Portal
- EPLAN Smart Wiring
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