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    IEC60529規格とは何か?|保護性能試験の種類と試験方法

    「IEC60529規格」とは、電気機械器具の筐体・キャビネットに対する保護性能評価についての国際規格です。この規格にしたがって行われる保護性能試験は、製品の安全性と信頼性を保証するために欠かせません。
    本記事では、IEC60529規格の詳細や、保護性能試験の種類と試験方法について解説します。また、同じく電気機械器具の評価に関する国際規格「IEC62208」にも触れるとともに、2つの規格の相違点や関係性についてご紹介します。

    IEC60529規格とは

    IEC60529とは、国際電気標準会議(IEC)によって策定された規格です。電気機械器具の筐体・キャビネットに対する防塵や防水といった保護性能の評価について定められています。

    IEC60529に準拠した性能試験によって評価された結果は、「IPコード」と呼ばれる保護等級で表示されます。IPコードは「IP」に続く2桁の数字で表記され、1つ目の数字が固形物に対する保護レベル、2つ目の数字が液体に対する保護レベルを表しています。

    IEC60529およびIPコードは、「EN60529」や「JIS C 0920」など、独自の規格番号によって世界中で使用されており、ユーザーに電気製品の耐久性を正しく伝える基準として広く認知されています。

    なお、筐体・キャビネットの保護に関する規格にはIEC60529のほかにも、アメリカ国内で使用される「NEMA250」があります。両者は企業が電気製品を設計・製造する際に、性能を適切に評価するための指標として非常に重要な規格です。


    ▼関連記事
    キャビネットの保護等級規格 IPやNEMAについて

    電気機械器具の保護性能試験を行う理由

    電気機械器具を設計・製造する際には、その製品が安全かつ信頼性に優れているかどうかを確認するため、保護性能試験が不可欠です。また、IEC60529などの国際規格に準拠することで、製品のグローバル展開や企業のブランドイメージ向上といった新たな価値を生み出すことにも繋がります。

    保護性能試験には以下のようなものがあり、なかでもIP試験は、ほこりなどの固形物や水の侵入などによる感電事故を防ぐうえで非常に重要な試験です。

    IP試験(保護等級試験)

    製品の防塵・防水性能を確認するために行う試験で、保護内容や試験結果をIPコードとして表示します。

    絶縁耐圧試験

    使用されている絶縁材料が適切であるかを確認するための試験です。製品に高電圧をかけても耐圧が問題ないか、絶縁材料が機能しているかどうかを確認します。

    機械的安全性試験

    製品の構造上、意図しない箇所に手や指が挟まることがないかなど、機械的な設計内容を確認します。


    なお、規格については下記資料でも詳しく説明していますので、興味ある方は下記をご覧ください。
    海外向け制御盤製作に役立つ 『IEC 61439』 と 『UL』 の基礎知識

    IEC60529規格の試験方法

    IEC60529の評価試験は「IP試験」と呼ばれ、「防塵試験」と「防水試験」の2種類に分かれています。それぞれの試験結果がIPコードによる保護等級に紐付けられ、製品の安全性や耐久性を表す指標になっています。

    防塵試験

    IPコードの1つ目の数字に対応した試験で、防塵性を0〜6の7段階で示しています。
    IP0X〜IP4Xでは、手や指、工具、ワイヤーなどの侵入を想定したプローブによる評価試験を行います。IP5X以上では製品を塵埃にさらしたうえで、内部に侵入した塵の量によって防塵性を評価します。

    防塵試験は、電気機械器具以外にも防護服やマスクなどさまざまな製品の評価に用いられており、自動車のエンジンルームなど、厳しい環境下で使用される製品にとっては不可欠な試験です。

    防水試験

    製品を水にさらしたり、水圧をかけたりすることで電気機械器具の動作が正常に保たれるかどうかを評価する試験です。
    IPコードの2つ目の数字に対応した試験で、防水性を0〜8の9段階で示しています。

    主に屋外で使用される機器やスマートフォン用防水ケースなど、液体に対する耐性が求められる製品の評価に用いられます。

    IEC60529とIEC62208との関係性について

    電気機械器具の筐体評価に関する国際規格には、IEC60529のほかにも「IEC62208」などが存在します。

    IEC60529は前述のとおり、電気機械器具に対する固形物や液体の侵入を防ぐために、筐体の防塵性能・防水性能をIPコードとして定めている規格です。
    一方、IEC62208は、低圧開閉装置と制御装置における部品組み込み前の空筐体に関する規格であり、定格電圧が1000Vの交流または1500Vの直流を超えない開閉装置の一部として使用されるものが対象になります。

    IEC60529とIEC62208はどちらも電気機械器具の筐体に関係する規格ですが、用いられる目的によって使用される場面が異なります。IEC60529は筐体の保護等級を定めることが目的ですが、IEC62208は筐体の動作や保護についての設計要件が定義されています。

    このように両者は基本的には異なるものですが、相互に参照されるなど、筐体の評価における規格として関連性を持つ場合もあります。

    IEC60529規格に対応した筐体ならリタールへ

    本記事では、IEC60529規格の概要を解説するとともに、電気機械器具にとって保護性能試験が重要である理由や、試験方法についても詳しくご紹介しました。

    IEC60529は電気機械器具の筐体・キャビネットに関する防塵や防水といった保護性能評価のための国際規格です。IEC60529に準拠した製品開発を行うことで、ユーザーに対して安全性や信頼性を提供できるほか、製品のグローバル展開や企業のブランディングといったさまざまなメリットにも繋がります。

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    「規格に適合したスイッチギア及びコントロールギアの製作IEC 61439適用」
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