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    スプライスボックスの接続方法と種類|用途にあわせた適切な選定

    ネットワーク構築において、光ファイバーケーブルの分岐や接続をはじめ、ケーブル保護の観点からも不可欠なのが「スプライスボックス」です。オフィスなどの小規模ネットワークはもちろん、データセンターや通信インフラといった大規模ネットワークにとっても、スプライスボックスは非常に重要なデバイスであり、今後もその需要は拡大していくことが予想されます。
    本記事では、スプライスボックスの基本的な概要、光ファイバーケーブルの接続方法、スプライスボックスの種類などについて詳しく解説します。

    スプライスボックスとは

    スプライスボックスとは、光ファイバーケーブルの接続や接続部分の保護を目的とした箱型の装置です。「光接続箱」「光成端箱」「PD盤」とも呼ばれています。スプライスボックスは、光ファイバーケーブルを安全かつ確実に接続したうえで、さまざまな外的要因から保護する役割を担っています。曲げや引っ張り、防水、耐熱といった効果が期待できるほか、光ファイバーケーブルの長さ調整を行うこともできるため、配線管理を効率化することが可能です。

    用途にあわせて「ユニット型」「自立型」「ラックマウント型」などさまざまな種類があり、小規模ネットワークから大規模なデータセンターにいたるまで、あらゆる場面において欠かせない存在です。

    スプライスボックスと混同しやすい装置の例として「メディアコンバータ」があります。光ファイバーケーブルを接続するための装置という点で、両者はよく似ていますが、スプライスボックスは光ファイバーケーブルの接続や保護といった目的の「中継装置」であるのに対して、メディアコンバータは光ファイバーケーブルとLANケーブル、光ファイバーケーブルとHDMIケーブルなど、異なる種類の通信メディアを相互接続するための「変換装置」です。

    スプライスボックスの接続方法

    スプライスボックスによる光ファイバーケーブルの接続には、いくつかの接続方法があります。

    融着接続

    融着接続は、光ファイバーケーブルをはじめとする電気通信やケーブル配線の分野で使用される接続方法の一つです。放電加工などによって光ファイバーケーブルの端面を溶かし、光ファイバー同士を接続します。
    接続損失が小さく、信頼性が高いことが特徴です。

    融着接続は品質が高い反面、切替ができないことや専用の接続工具が必要なこと、段取りを含めた作業時間がある程度必要なことなどがデメリットとしてあげられます。

    融着接続は、光ファイバーケーブルの接続方法としては最も一般的な方法です。信頼性と作業性のバランスがよく、光通信ネットワークやデータセンターなど、正確で安定した接続が必要となる分野において重要な技術といえるでしょう。

    コネクタ接続

    コネクタ接続は、光ファイバーケーブルの先端に取り付けたコネクタ同士をアダプタを介して接続する方法です。コネクタにはいくつかの種類がありますが、一般的なものとしてはSTコネクタやSCコネクタがあります。

    接続工具が不要なうえ、切替が可能など、多くのメリットを持っていますが、融着接続に比べると接続損失が大きく、品質面ではやや劣ります。

    コネクタ接続は、切替が必要な接続や、融着接続が難しい環境で使用される方法ですが、一般的なネットワーク要件には十分に対応可能な性能であり、昨今のネットワーク需要においては欠かせない存在です。

    融着+コネクタ接続

    融着+コネクタ接続は、融着接続とコネクタ接続を組みあわせた接続方法です。通常の光ファイバーケーブルとコネクタ付きの光ファイバーケーブル(光ファイバーコード)を融着接続したうえで、コネクタとアダプタを接続します。

    融着接続のメリットである「接続損失の抑制」といった品質面と、コネクタ接続のメリットである「接続の変更」「一時的な接続」といった拡張面を組みあわせることで、使用する環境や用途に応じてより効率的な伝送が実現可能です。

    融着+コネクタ+融着接続

    前述の「融着+コネクタ接続」は、いわゆる一次側ケーブルと呼ばれる片側のみを融着によって接続する方法ですが、「融着+コネクタ+融着接続」では二次側ケーブルも融着によって接続します。

    信頼性と簡便性をあわせ持つことで、信号の伝送効率を向上させ、より信頼性の高い通信が可能です。

    スプライスボックスの種類

    スプライスボックスは用途や環境、形状などによってさまざまなタイプが存在します。

    ユニット型

    ユニット型は、おもにキャビネット内の光ファイバーケーブル収納を目的に使用されるスプライスボックスです。小型・軽量で取り扱いが容易であり、安価でコストパフォーマンスにも優れているため、オフィスなどの小規模ネットワークでの使用に適しています。

    一方で、1つの筐体に対する接続点数が少ないため、大規模な施設・ネットワークには不向きです。

    ユニット型のスプライスボックスのなかには、メディアコンバータなどの小型機器を搭載するためのスペースが設けられたタイプもあり、キャビネットの小型化や、設置面積の省スペース化を実現するうえで非常に役立っています。

    壁掛け型

    壁掛け型は、施工性・汎用性に優れた壁面固定用のスプライスボックスです。設置場所に応じて防水構造を備えた屋外用もあり、雨風にさらされても問題なく使用することができます。

    壁掛け型のスプライスボックスは、ねじ止めなどの方法で直接壁に取り付けることが多く、設置が簡単で壁面の限られたスペースを有効に活用することが可能です。

    一般的な壁掛け型のスプライスボックスは、接続点数が比較的少ないコンパクトなものが主流ですが、なかには接続点数100心程度の高密度タイプも存在します。

    自立型

    自立型は、独立して設置することができる大型のスプライスボックスです。堅牢性の高いキャビネット型のものが多く、外的な衝撃や環境から配線を保護するための信頼性にも優れています。

    自立型は、100心を越える多数の光ファイバーケーブルを接続することで高密度・高容量の伝送が可能です。中規模〜大規模ネットワークに適しており、通信インフラやデータセンター、工業用ネットワークなどさまざまな環境で使用されています。

    1台にあらゆる機能を集約し、自立させて設置することが可能ですが、ほかの種類のスプライスボックスと比較すると価格面では高価な傾向にあります。

    ラックマウント型

    ラックマウント型は「19インチマウント型」とも呼ばれ、19インチのラックに取り付けられるように設計されたスプライスボックスです。

    「1Uサイズ」「2Uサイズ」などマウント先の使用ユニット数に応じていくつかのサイズがあり、ラック内に格納することで、ネットワーク機器や関連機器と同様に、光ファイバーケーブルを一元的に管理することができます。

    ラック内の整理やスペースの効率化、作業性の向上など、多くのメリットが期待できるほか、盗難や破損といったリスクから配線を保護することも可能です。

    ラックマウント型のスプライスボックスはおもにデータセンターや通信インフラなど、大規模ネットワークに使用されています。

    スプライスボックスのまとめ

    スプライスボックスは、光ファイバーケーブルの安全かつ確実な接続や、あらゆるトラブルから配線を保護する目的で使用されます。接続方法には「融着接続」や「コネクタ接続」といったいくつかの方法があり、接続の信頼性や簡便性など、目的に応じてスプライスボックスの適切な使い分けが必要です。
     また、スプライスボックスには設置環境や、用途となるネットワーク規模によって「ユニット型」、「自立型」などいくつかの種類があり、サイズや価格もさまざまです。正しい知識を身につけたうえで、自社の目的に合った適切なスプライスボックスをお選びください。

    産業用システムソリューション
    日本のお客様によくお使い頂いている製品と、特長のある製品を抜粋して掲載しています。

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