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    バスバー(ブスバー)の使い方―バスバーを基準にシステム化した制御盤も登場

    バスバーという電気部品は、大型の分電盤や制御盤で使われる電源の関係部品です。このバスバーとはどのような用途で使われるものなのでしょうか? バスバーの特徴とメリット、種類や選定方法、海外で進むバスバーを標準とした分電システムについてご紹介します。

    バスバーとは

    バスバーという言葉は、電気や制御に関わる人のなかでも聞いたことがある人は限定されるでしょうか。しかし、聞いたことはなくても、現物には見覚えがある人は少なくないはずです。日本では違う呼び方をされることも多い「バスバー」とはどのようなものなのでしょうか。

    バスバーの特徴

    バスバーは、分電盤や制御盤で電源の接続・分配に使われる棒状または板状の導体のことです。現場では銅バーや銅帯、銅棒、渡りバー、主幹バー、分岐バーなどさまざまな呼び方をされています。

    バスバーは英語で「bus bar」と表記され、「bus」は乗り物のバスのほかに母線という意味を持ちます。乗り物のバスは大人数を乗せて各バス停で降ろしていきますが、そういった点で電気を運ぶバーであるバスバーは、確かに母線の役割と共通します。

    「bus bar」の表記から日本ではバスバー・ブスバーの2つの呼び方がありますが、古くから業界に携わっている人の間ではブスバーの呼び方が浸透しているかもしれません。近年は英語の発音に近いバスバーという呼び方が広がりつつあります。

    バスバーは電源設計にも深く関わる、パワーエレクトロニクスにおいて重要な部品です。再生可能エネルギーへの注目が高まっていることもあり、近年では特に、太陽光発電システムで活躍する場面が増えています。

    なお、乾電池をまとめて使用する組電池における連結タブもバスバーと呼ばれることがありますが、制御盤で使われるバスバーと意味は同じです。

    バスバーの製造方法

    バスバーの材質としては、導電性が重要であることから一般的に銅で作られることが多いバスバーですが、真鍮やアルミ製のものもあります。

    バスバーは制御盤や分電盤の設計に合わせて、平面的なものや直線的なものだけでなく、3次元の複雑な形状が求められることもあります。

    材料となる銅・アルミ・真鍮などの丸棒や板材を、プレス加工で切断・曲げ・つぶし・穴あけなどの加工を施して用途や使用箇所に合わせて製造します。このとき、穴位置やピッチなどが正確であることが重要で、制御盤や分電盤制作時の作業効率を左右します。


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    バスバーの使い方

    では、バスバーを使うことでどのような効果があるのでしょうか。

    バスバーを使うメリット

    バスバーを使うことにより、次のようなメリットがあります。

    • 断面積が大きいため大電流を流せる
      バスバーは導電性の高い金属を厚みのある板状にして製造されます。導線に比べて大きな断面積が得られるため容量が多きく、大電流を流すことができます。
    • 絶縁皮膜がないため放熱性が高い
      バスバーは絶縁被膜によって覆われていないため、導線に比べて高い放熱性があります。
    • 端末処理が不要で取り付け容易
      専用設計のバスバーであればそのまま取り付け可能です。汎用のバスバーの場合でも、Y字型や丸型の端子が最初からあるため、端末処理をすることなく取り付け可能です。
    • ビス・ボルト固定なので分岐も効率的
      ビスやボルトによって固定するため端子での重ね・渡りも可能なだけでなく、バスバーの途中にネジ穴を設けることで分岐が可能です。
    • 表面積を大きくすることで高周波の影響を軽減
      スイッチングによって発生する高周波電流はノイズや誤作動などの影響を及ぼします。表面積が大きなバスバーは高周波の影響を軽減します。
    • 製造コストの低減
      材料費も低コストであり、専用設計による容易な取り付けや端末処理の不要化などから、制御盤や分電盤の製造コストを低減します。

    海外で進化したバスバーシステム

    日本では、電源の主幹から分電するために用いられるのがバスバーの主な用途となっています。そのため、主幹バーが通称となっている現場もあります。

    しかし、欧州ではバスバーを用いた制御盤製造のシステム化が発展し、制御盤の根幹となる部品となっているものもあります。これは、バスバーを並列配置し、バスバー自体の強度を活かして構造体とし、そこに機器を取り付けていくことで立体的に電気接続された制御盤を作る方式です。取り付けレール自体が電気を伝え、分岐回路などの設置場所としての役割も兼ねているシステムです。

    日本配電制御システム工業会のレポートにもあるように、これからの制御盤制作の合理化において取り入れるべきシステムとして注目されています。

    バスバーの種類

    バスバーは、使う目的や環境によっていくつか種類があります。

    用途の違い

    制御盤や分電盤の母線として使われているのが主幹バーです。無数の穴が空いていることで容易な分岐が可能になっているものもあります。

    アースバーはその名のとおり接地用で、接地されたアースバーに対し各箇所から配線することで接地作業を容易にするものです。

    分岐バーは、主幹バーと主幹バーを連結したり、主幹バーとブレーカーを接続したりする場合に使用されます。

    特殊加工を施したバスバー

    被覆付きバスバー・インサートモールドバスバー・フレキシブルバスバー・粉体塗装バスバー・積層バスバー・T型バスバーなど、特殊加工を施したバスバーもあります。

    例えば被覆付きバスバーは、安全性を高め使用箇所の幅が広がります。フレキシブルバスバーは帯状の銅導体を重ね合わせて一体化することで柔軟性を持たせたものです。また、積層バスバーのなかには2枚の銅導体の間に誘導体を挟み込んで作ったものがあり、キャパシタンス増大によるインビーダンス減少を可能にしています。

    バスバーの選定方法

    バスバーは断面積によって電流容量が決まります。次の式により必要な容量を求めることができます。

    電流容量(A)=電流密度(A/mm2)×バスバー断面積(mm2)

    例えば、断面積40mm2以下で電流密度2.5以下であれば100Aまでに使える、というように計算できます。このようにして求められた電流容量から必要な断面積を持つバスバーを選定します。

    バスバーが持つ制御盤内接続の効率化の可能性

    バスバーの特徴やメリット、用途に応じた種類や選定方法についてご紹介しました。

    バスバーは大電流に対応できて伝導効率も良く、高い取り付け作業性も持つため、制御盤制作の短期間化・低コスト化が進むなかで、その特性に期待が寄せられています。欧州ではバスバーシステムを基本とした制御盤が既に普及しています。コンパクトに制御盤を制作できるだけでなく、その後の仕様変更のしやすさや保守性の高さから、日本でも今後ますます取り入れられていく可能性が高いシステムです。

    参考:


    リタールの技術ライブラリ
    「規格に適合したスイッチギア及びコントロールギアの製作IEC 61439適用」

    本冊子は、新規格IEC 61439 準拠に必要な様々な対策を講じる上でのお手伝いをするために作成しました。リタール製規格適合システム製品の利用に関するご相談から貴社機器の要求設計や日常検査のご提案まで、幅広くご利用ください。
    ※新規格IEC 61439における変更点の他、「設計検証報告書」の作成方法などについて、85ページにわたって解説しています。

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