空気も絶縁体の一つ 考慮すべき空間距離と沿面距離とは?

電気設計をする際、導電部同士が短絡を起こさないよう絶縁の設計は欠かすことができません。絶縁の方法として導電部を絶縁体で保護する方法がありますが、その他に絶縁距離を設けることで絶縁する方法もあります。本稿では絶縁距離とは何か、また絶縁距離を決定する空間距離と沿面距離についてご紹介します

絶縁距離とは?

まずは絶縁距離についてご説明しましょう。

空気も絶縁体の一つ

「絶縁体」というとゴムやプラスチックなどの材料がよく知られていますが、空気も絶縁体の一つと考えることができます。鉄塔における高圧電線や電車の架線など、導線がむき出しの状態になっていることがあります。これは空気によって絶縁されていることから、ゴムやプラスチックなどの絶縁体で覆う必要がないためです。

空気を絶縁体と考えたときに大事な絶縁距離

空気を絶縁体と考えたとき、考慮しなくてはいけないものがあります。それが「絶縁距離」です。絶縁距離とは導電部同士が短絡を起こさないために確保しなくてはいけない最短距離のことです。絶縁距離が保たれていなければ、電気は空気による絶縁を破り空間を通電することになってしまうため、必ず一定の距離を確保しなければなりません。

絶縁距離を考えるときには汚染度の考慮も必要

絶縁距離を考えるときに注意しなくてはいけない要素の一つに、「汚染度」があります。汚染度とは電気機器周りの空気にどれだけほこりや結露などの汚染物が含まれているかを表す指標です。4段階で分類されており、数字が大きいほど汚染物が含まれていることを意味します。電気機器への汚染物付着は絶縁性能の低下につながります。そのため、汚染度が高くなれば、その分絶縁距離を長くしなくてはいけません。

絶縁距離が確保されないときに生じる問題

先にもご紹介したとおり、絶縁距離が確保されていなければ短絡を起こすことになります。日常生活で経験するセーターやドアノブで発生する静電気も、絶縁距離不足による短絡発生の一つのケースです。私たちの体に起きる静電気は些細なことですが、電気製品に同じようなことが起きることは大問題。それらで短絡が起きれば、過剰な電圧による機器の損傷や火花に伴う火災の発生など大きな事故につながりかねません。それだけ、絶縁距離を保つことは大切なことなのです。

空間距離と沿面距離とは

絶縁距離には代表的なものとして空間距離と沿面距離があります。その意味と違いについてご紹介しましょう。

空間距離

空間距離は導電部間の空間的な最短距離のことです。例えば導電部間に溝が複数ある場合を考えます。空間距離では溝を無視して空間的な距離を測ることになるので、溝の有無で絶縁距離に影響はありません。しかし、突起部がある場合は別です。突起がある場合、空間的な最短距離は突起の上端を飛び越える形になります。空間距離ではこの空間的な最短距離を測る必要があるので、絶縁距離が広くなるのです。

沿面距離

沿面距離は製品の外径に沿って測ったときの導電部の最短距離を指します。導電間に突起があるときも、溝があるときもそれぞれ外径に沿う形で距離を測るので、ともに絶縁距離に影響を与えます。したがって、空間距離との違いは、突起がある場合だけでなく溝がある場合も等しく絶縁距離が広くなるということです。ただし、溝の幅が1mm以下である場合は無視することができます。

 

まとめ

絶縁を確保するためには絶縁の強度や動作電圧など多くの要因を考慮する必要があり、絶縁距離はその中の一つです。絶縁距離はIEC/EN 60950や61010などさまざまな規格で要求が規定されてはいますが、統一されていないのが現状です。しかし、電気機器の安全を考えれば、空間距離や沿面距離を含む絶縁性の算定方法についてしっかり理解して対応する必要があります。

 

参考:


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