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    目立たないけど温度調整に不可欠な存在「冷媒」とは?

    私たちは室温や機器の温度調整をするために、クーラーを使用します。そのクーラーには「冷媒」というものが使われていることをご存じでしょうか。私たちが直接目にすることはありませんが、冷媒はクーラーの中で温度調整の重要な役割を担っているのです。冷媒について、その役割や種類などを紹介します。

    冷媒とは?

    クーラーのように温度を調節する機器には、ヒートポンプ技術が採用されています。ヒートポンプ技術とは、空気中の熱をくみ上げることにより冷却や加熱を行う技術であり、くみ上げるときに活躍するのが冷媒です。
    わかりやすく、身近なエアコンで説明しましょう。エアコンの室内機と室外機の間では冷媒が循環しています。冷房時には、室内機内で冷媒が液体から気体へと変化する際の気化熱を利用することで室内の熱を吸収し、室外機へ移動した後、液体に戻って熱を部屋の外に放出します。その後また室内機内で液体から気体に変化して……を繰り返すことで、室内を涼しくしているのです。暖房時は、冷房時と逆の動きをすることになります。
    冷媒には、以前は特定フロン(CFC)が使用されていました。しかし、特定フロンはオゾン層に与える影響が大きいことから規制され、その代替として代替フロン(HFC)が開発されました。
    代替フロンを開発してまでフロンが使われる理由は、その揮発性にあります。物質は温度により固体、液体、気体とその状態を変化させます。エアコンの説明でふれたように、液体から気体に変わるときに周囲から熱を吸収し、逆に気体から液体になるときに周囲に熱を放出するのです。この原理を利用して冷媒は熱をくみ上げます。フロンは常温時に気体であり、圧力の制御により液体にも気体にも変化させることができることから、冷媒に利用しやすいのです。
    しかし、代替フロンも温室効果ガスであることから規制があり、現在HFOやCO2、NH3などのノンフロンも利用されています。ただし、ノンフロンには安全面やコスト面の問題もあり、大きくは進んでいません。

    冷媒の種類とその用途

    では冷媒にはどのような種類があり、どのように使われているのでしょうか。現在の主流である代替フロンの代表例をふたつ挙げます。
    物質が環境に与える影響を表した数値として、オゾン層破壊係数ODPや地球温暖化係数GWPがあります。ODPは特定フロンCFC-11の数値を1とした場合の相対値、GWPは二酸化炭素を1とした場合の相対値となります。それらの数値もあわせて紹介しましょう。

    R134a

    エアコンや自動販売機、発泡剤や冷蔵庫などさまざまなところで使われています。ODPは0ですが、GWPは高く、1,430です。毒性が低く不燃性であり、アメリカ暖房冷凍空調学会のASHRAE34規格ではA1に属しています。現在広く使われている代替フロン冷媒ですが、GWPの高さが問題視されることも多く、将来的には規制が進み使用できなくなる可能性もあります。

    R1234yf

    カーエアコンや自動販売機などに多く使用されています。ODPはR134aと同じ0で、GWPも二酸化炭素と同等の1と非常に低い数値です。微燃性であることからASHRAE34規格ではA2Lに属しています。GWPの低さがとても魅力的なノンフロン冷媒ですが、分解産物のTFA(トリフルオロ酢酸)による環境への影響が懸念され始めており、また現段階では、燃焼性、及び価格の高さがデメリットといえます。

    盤用クーラーシリーズ

    製造業における冷媒

    冷媒が使われているのは、家庭用エアコンや自動販売機など、私たちの暮らしと関係する機器だけではありません。
    製造業においても、工場用エアコン、レーザー加工機やプラズマ溶接機などの工作機械、金型や電気炉の冷却に使われるチラーなど、さまざまなところで使われています。チラーとは、冷媒を循環させることで装置内の冷却が必要な箇所を冷却する温度制御装置です。また、制御盤内に備えられている制御盤用クーラーにも冷媒は利用されています。
    冷媒がなければ製造業が成り立たないくらい、多く使用されているのです。

    冷媒はクーラーなどの性能を決める重要な存在

    冷媒はクーラーなどの性能を大きく左右する重要な存在です。ここでは紹介していない冷媒も多くあり、これまでの欠点を補うような新たな冷媒の開発も進められています。冷媒についての知識は機械や電気を設計するうえで、必ず役に立つはずです。実際に目にすることはない存在ですが、ぜひ関連知識を習得して、今後の業務に活用してください。

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    参考:

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