工場内配電盤におけるメインブレーカーの電流容量と分岐数の選定

工場では日々多くの電気が使われています。火災や漏電などの電気による事故を防止する必要があるため、工場内の電気は配電盤で管理されます。しかし、配電盤におけるメインブレーカーの電流容量と分岐数の選定を誤ってしまうと、電気の供給が正しく行われません。製造工程に影響を与えないようにするためには、どのような点に注意すればいいのでしょうか。

配電盤とメインブレーカー

配電盤は、電力会社から送電される電気を受けるために設置する装置です。多くはビルや工場といった一定規模以上の施設で使用されます。電気の性質として高圧なほど送電による損失が少なくなることから、大量の電気が必要となる大規模施設においては6.6kVから77kVの高圧の電気が電力会社より送電されます。この高圧の電気を直接工場内に引き入れ、各設備に送電してしまうと機器の破損につながるため、配電盤により適切な電圧へ変換しているのです。使用できる電圧に変換された電気は分電盤へ分岐され、施設内の各設備へ供給されます。

メインブレーカーは配電盤に設置され、工場内に使われる電流容量に異常を検知した際に回線を遮断し、配線や機器への損傷を防ぐ働きをします。工場内で漏電が発生した場合、または配電盤から分岐後の各回線の電流容量の和が設定値を超えた場合には、配線や機器が損傷し火事につながります。そのような事態を避ける役割を担うのが、メインブレーカーです。

 

工場で電気を必要とする機器の把握

配電盤におけるメインブレーカーの電流容量と分岐数を正しく選定するためには、工場内で電気を要する機器をすべて把握し、必要な電気容量を計算しなくてはいけません。ここでは機器の代表例を紹介します。

 

工作機械

工場では旋盤やボール盤、フライス盤などさまざまな工作機械が常に稼働しています。同時に複数の工作機械を動かすことも多く、大量の電気が必要です。工場の稼働プランや広さ、設備状況をふまえて電気容量を設定しなくてはいけません。

 

冷暖房設備

夏や冬はもちろん、環境によっては一年中冷暖房設備の稼働を欠かすことはできません。工場内は広い空間となっていることから、冷暖房設備には一般的な建物よりも多くの電気が必要になります。

 

照明

工場は窓が少なく、日中でも暗いのが一般的です。そのため、夜間だけでなく1日中照明をつけておくこともめずらしくありません。広い工場内を明るくするには相当数の照明が必要となり、かなりの電力を要します。作業を行っていないエリアでは照明を消すなど節電対策に力を入れる工場もありますが、電気容量の設定の段階では、工場全体の照明をつけたと仮定して考えるべきです。

配電盤メインブレーカーの電流容量と分岐数の選定

工場内で使う機器を把握したら、メインブレーカーの電流容量と分岐数の選定に取り組みます。

各分岐先でどのような機器を使うかに応じて分岐数や分岐先の電流容量を決め、その分岐先の電流容量の合計を基準にメインブレーカーの電気容量を設定しましょう。将来の設計変更による電気容量の増加やトラブルにも対応できるよう、現時点で必要となる合計電流より大きい電流容量を設定することが原則です。

現時点での合計電流と電流容量を一致させることも可能です。ただしその場合には、工場の仕様を十分考慮し、より精確に電流容量を把握したうえで設定をする必要があります。

 

メインブレーカーの電流容量と分岐数の選定は設計者の腕の見せ所

メインブレーカーの電流容量と分岐数を選定する際には、工場内の施設や利用状況を十分考慮したうえで決める必要があります。明確な基準があるわけではなく、その選定は設計者の知識と技術にゆだねられます。今後の工場運営を左右することにもなりかねないため責任は重大ですが、工場設計という仕事の大きな醍醐味のひとつとなるでしょう。
参考:

 

 

リタールの技術ライブラリ 「規格に適合したスイッチギア及びコントロールギアの製作IEC 61439適用」

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