私たちのまわりには、温度が必要以上に上昇しすぎるとトラブルが生じる機器が多くあります。そこで、温度センサーを機器内の回路に取り付けることにより温度管理をし、機器に異常が起きないよう対処しています。この温度センサーとしてサーミスタが使われているのです。目にすることは少ないですが、実は私たちのまわりで多用されているサーミスタについて、特性や原理、使い方などを紹介します。
普段目にすることは少ないサーミスタ。その特性と原理とは?
一般的に金属の電気抵抗は温度上昇に伴い増大し、温度が高くなるほど電気が流れにくくなります。サーミスタは温度上昇に伴う抵抗値の上昇下降にかかわらず、電気抵抗の変化の割合が大きい抵抗体のことを指します。この特性を利用すると、サーミスタに流れる電気を見ることで温度を計測することができるのです。そのためサーミスタは温度センサーとして頻繁に利用され、小型でかつ衝撃や振動に強く、安価であることからさまざまな製品に採用されています。
私たちのまわりで多く使われるサーミスタ。その使い方とは?
サーミスタは前述のとおり、さまざまな製品で採用されています。主にサーミスタは温度センサーとして製品に組み込まれ、製品における温度管理のために使われています。では各製品でどのように使われているのでしょうか?その一部を紹介します。
エアコン
エアコンは、室内機と室外機の間を行き来する冷媒を凝縮/気化させることにより熱交換を実施し、室内を適温に保ちます。この室内機と室外機の温度センサーとして、サーミスタが使われているのです。サーミスタにより温度を計測することで温度を管理し、適切な温度の維持を可能としています。
自動車
自動車には多くのサーミスタが使われています。エンジン内温度、吸排気温度、油温、冷却水温等の確認用としてサーミスタは設置されており、エンジン内の燃焼が適切に行われているか管理できるようになっているのです。
コーヒーメーカー
家庭でよく見かけるコーヒーメーカーにもサーミスタは使われています。湯を入れる際、湯が熱すぎる、または冷たすぎるとおいしいコーヒーを入れることができません。サーミスタにより水の温度を計測することで、常に適切な温度となるよう管理し、おいしいコーヒーを入れることができるようになっています。
スマートフォン
スマートフォンでは多くの演算処理が行われることから、温度が上昇しやすい機器となっています。一部の機器では発火が起き、問題となることもあるほどです。そこでスマートフォンの必要以上の過熱を防止するため、内部温度を適切に管理する必要があります。そこでサーミスタが使われているのです。
サーミスタと同様に安価で入手しやすい温度センサーの熱電対。サーミスタとの違いとは?
安価で入手しやすい温度センサーとして、サーミスタのほかに熱電対があります。熱電対はサーミスタよりも高温度帯で広く使われています。低コストで十分な強度を持つ点はサーミスタと同じですが、使用できる温度帯に大きな違いがあるのです。サーミスタの使用温度は高くても数100℃程度ですが、熱電対は1,700℃でも耐えられるものもあります。また、耐食性が高くガスにさらされたとしても問題なく使うことができ、十分な寿命を維持することができます。
しかし、基本的に室温レベルで使われる一般機器に対してはオーバースペックであり、一般的にサーミスタより高価であることから、サーミスタのほうが広く使われています。
これから回路設計をする際にはサーミスタの知識は必要不可欠
サーミスタは私たちのまわりにある機器にとって重要な存在です。そのため、機器の回路設計に従事するならば、サーミスタの知識は必要となるでしょう。サーミスタについて学習すべきことは多くあります。この機会に基礎から勉強してみてはいかがでしょうか。
参考:
総合カタログ35 総合カタログ35は、IT業界・製造業で使用される当社製品をすべて網羅し、設計者、開閉装置(スイッチギア)メーカー、データセンター事業者のニーズを満たします。世界中で幅広く使用されている産業用キャビネット・ボックス、分電・配電システム、温度管理システム、ITインフラストラクチャ製品ラインアップの詳細情報を、936ページにわたってご紹介しています。