太陽光発電の安全を守る地絡過電圧継電器―OVGR

地絡過電圧継電器は自然エネルギーの注目度が上がると同時に、その役割がますます重要となっている機器です。今回は地絡過電圧継電器の役割や活躍している分野、間違った接続例などをご紹介します。

地絡過電圧継電器(OVGR)とは?

「地絡」「過電圧」「継電器」と三つの言葉から、地絡により過電圧が発生したときに働く継電器であることは想像できるでしょう。ここでは、詳しい作動条件や用途などを見ていきます。

地絡事故が起こった場合に回路を保護する継電器

継電器とは、電流や電圧が急激な変化をしたときに電路を遮断して電気回路を保護する働きをするもので、そのなかでも地絡過電圧継電器とは「地面に電気が流れてしまい電圧に大きな変化があったことを検出して作動する継電器」を言います。

よくOVGRとも表記されますが、これはOver Voltage Ground Relaysの略で、地絡過電圧継電器と意味は変わりません。

地絡過電圧継電器の用途・目的

実は地絡過電圧継電器はある分野の専用部品と言えるほど、ほぼ一つの分野で限定的に使用されています。それは太陽光発電です。

太陽光発電については、さまざまな規定やガイドラインがありますが、経済産業省が作成する「電気設備の技術基準の解釈」、資源エネルギー庁が定める「電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドライン」、日本電気技術規格委員会が策定する「系統連系規定(JEAC9701)」において、太陽光発電設備を高圧配電線に系統連携する場合には、地絡過電圧継電器の設置が必要と定められています。

地絡過電圧継電器がないとどうなる?

では、地絡過電圧継電器を設置していなければどのようなことが起こるのでしょうか。

地絡事故が起きたとき、地絡過電圧継電器がなければ回線に過電流が流れ、電気系統の損傷、送電線の損傷・断線などを引き起こす可能性があります。一方、これらの損傷を防ぐために変電所の遮断器が動作するよう設計されており、この遮断器が作動すると周辺一帯が停電となり、広い範囲を巻き込んだ障害へと発展します。

こういった事故・障害の発生を防ぐのが地絡過電圧継電器の役割です。
 

地絡過電圧継電器とともに使われる機器

地絡過電圧継電器が単体で使われることはほとんどなく、次のような機器とセットで使われます。

地絡方向継電器(DGR)

地絡過電圧継電器は過電圧のみを検出して作動します。このとき、過電圧が発生しているのが電源側なのか負荷側なのかは判別しません。そのため、対象の太陽光発電設備内だけでなく、他の場所で発生した過電圧、いわゆる「もらい事故」により作動してしまう可能性もあります。

そこで、地絡方向継電器(DGR)も併用されるのが一般的です。地絡方向継電器は地絡電流だけでなく電圧の位相も同時に検出するため、事故電流の方向が違う場合には作動しません。

地絡方向継電器を負荷側に設置することにより、他の場所からの過電圧はシャットアウトします。これによりもらい事故を防いだうえで、地絡過電圧継電器で対象設備内の過電圧を検出して電路を遮断、誤作動することなく回線を保護することが可能になるのです。

パワーコンディショナー(PCS)

パワーコンディショナーは、パワコン、またはPVインバータとも呼ばれます。

太陽光パネルで発電した電力を家庭で使用可能な電力になるように、直流から交流へと変換する装置です。同時に系統連系保護機能も有しており、異常検出時に出力を遮断する役割も持っています。

パワーコンディショナーも太陽光発電設備には欠かせない機器であり、地絡過電圧継電器とともに使われています。

地絡過電圧継電器の接続間違いに注意

前述のように太陽光発電設備では地絡過電圧継電器とともにいくつかの機器が併用されていますが、それらの機器と地絡過電圧継電器との接続間違いによる作動不良が起きた例がいくつか報告されています。二つご紹介します。

  • 地絡過電圧継電器とパワーコンディショナーの接続間違い

地絡過電圧継電器には出力接点としてa接点とb接点があります。一方、パワーコンディショナーはa接点タイプとb接点タイプがあり、入力接点が選択できるものもあります。この例では、a接点タイプのパワーコンディショナーが地絡過電圧継電器のb接点に接続されていました。連携したところパワーコンディショナーが故障し、取扱説明書を再確認して接続間違いに気付いたと報告されています。

  • 複数のパワーコンディショナーを使用している場合の地絡過電圧継電器との接続間違い

パワーコンディショナーが3台設置され、それらが渡り配線によって接続された後、地絡過電圧継電器と接続されていました。この状態で連携させたところエラーが表示されて停止、地絡過電圧継電器も作動しません。

取扱説明書を確認したところ、渡り配線では誤作動の可能性があるためエラーで停止する設計になっており、パワーコンディショナーには個別の入力信号端子と接続しなければならないことが判明しました。地絡過電圧継電器の出力端子とパワーコンディショナーの入力端子の間に補助リレーを設置し、パワーコンディショナーの入力端子を個別配線したところ解決しました。

このように、地絡過電圧継電器は接続間違いがあると本来の機能が作動せず、事故を防げない状態になってしまいます。重要な役割を持っているがゆえに接続間違いは重大なエラーとなりますので、十分に注意しなければなりません。

 

地絡過電圧継電器は太陽光発電の安全を守る

地絡過電圧継電器(OVGR)の役割と同時に使われる機器との関係、接続時の注意点などをご紹介しました。

2011年以降さらに注目されるようになり、国のエネルギー政策としても重要な位置付けになっているのが太陽光発電です。地絡過電圧継電器は、その太陽光発電の安全を守る重要な役割を担っています。

参考:


 

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