制御盤とは、PLCやリレーなどの機器を収め、設備全体の動作を制御するための盤です。一方、操作盤は、設備や機械を動かす際に作業者が直接操作する盤を指します。両者は役割が近いため混同されがちですが、目的や構成には違いがあります。この記事では、制御盤の基礎知識、操作盤や配電盤、分電盤との違い、設計時の注意点、制御盤の設計効率を高める方法を解説します。
制御盤とは?操作盤・配電盤・分電盤との違いは?
設備や機械を安全かつ安定して動かすために、制御盤や操作盤、配電盤、分電盤といった、用途に応じたさまざまな盤が使われます。その中でも制御盤と操作盤は一体で構成される場合もありますが、それぞれの目的や構成は異なるため、違いを整理して理解することが重要です。
制御盤とは?
制御盤とは、機械や生産設備を制御し、安全かつ安定して運転するための電気機器や制御機器を収めた盤です。一般的には、PLC、電磁開閉器、保護装置、遮断器、リレーなどを収納し、設備の起動、停止、順序制御、異常時の保護などを担います。工場の生産ラインやポンプ、空調設備など、安定した運転が求められるさまざまな設備で用いられます。
制御盤用筐体(エンクロージャー)製品ページ
https://www.rittal.com/jp-ja/products/PG20231215SCH101
制御盤と操作盤の違い
操作盤は、機械や設備を操作するためのボタンやレバーなどの入力装置と、ランプ、メーター、ディスプレイといった表示装置を集約した盤です。作業者が設備の状態を確認しながら直接操作する役割を持ち、視認性や操作性が重視されます。近年は、スイッチや表示灯を集約できるタッチパネル式の操作盤も普及しており、盤面の省スペース化やレイアウト変更がしやすくなっています。
操作盤と制御盤の大きな違いは、何を目的としているかです。操作盤はサポートアーム/ペンダントアームやスタンドの先、あるいは工作機械などに取り付けられることが多く、作業者が直接操作することを主な目的としています。一方で、制御盤は機械設備を制御することを目的とした盤です。ただし、PLCやリレーなどの制御機器を収めるだけでなく、ボタンやレバーなどの操作部が付いていることもあり、その場合は制御盤が操作機能もあわせ持つ構成といえます。
操作盤用コマンドパネル製品ページ
https://www.rittal.com/jp-ja/products/PG20231215SCH101/PG20240213SCH002
リタールでは、操作盤を取り付ける際に最適なサポートアームシステムをご用意しております。[MF1.1]アームの水平長さや操作盤の重量にあわせ、標準化されたモジュールを組み合わせることで、簡単に構造選択が可能です。
配電盤・分電盤との違い
制御盤や操作盤以外にも、施設・設備に必要な盤として配電盤と分電盤があります。
配電盤は文字どおり電気を配るための盤です。受電した電気を施設内の設備で使用できる形にして、各場所の分電盤などへ配電する役割を担います。これに対して分電盤は、各設備に電気を分ける働きをする盤です。一般家庭では外部から引き込んだ電気を各階や各部屋へ分配し、ビルや工場では配電盤から送られてきた電気を、各フロアの照明設備や生産設備などに分配します。つまり、制御盤が設備を制御するための盤、操作盤が設備を操作するための盤であるのに対し、配電盤と分電盤は電力を各所へ安全に配るための盤という点が異なります。
配電盤と分電盤の詳しい違いについては、以下の記事をご覧ください。
配電盤と分電盤の違い(役割・構造)|リタール
制御盤の表示装置および操作機器における設計の基本 JEM 1135・JEM-TR 136・JIS C 0448
制御盤の設計では、内部機器の構成だけでなく、表示灯や押しボタンなどの表示部・操作部を作業者が安全かつ確実に扱えるよう設計することも重要です。特に、表示部や操作部の色彩設計や視認性・操作性の確保においては、JEM 1135やJEM-TR 136、JIS C 0448の考え方を踏まえて設計することが求められます。
JEM 1135は配電盤・制御盤及びその取付器具の色彩に関する規格であり、JEM-TR 136は監視・制御・操作用装置の設計に必要な人体寸法計測値や視野角を示した技術資料です。JIS C 0448は、表示装置(表示部)および操作機器(操作部)に用いる色と補助手段に関する一般的事項を定めた規格で、1991年版のIEC 60073を翻訳し、技術的内容を変更せずに作成されています。
これらの規格・技術資料は、制御盤における表示・操作設計の基準や参考情報を示すものであり、安全性の向上や視認性・操作性の確保を考えるうえで押さえておきたいものです。
制御盤を設計するときに注意しておく点
制御盤の設計では、必要な機能を配置するだけでなく、作業者が迷わず操作できること、安全に停止や確認ができること、さらに保守しやすいことまで見据える必要があります。人間中心の設計思想や人間工学の考え方に基づくと、使いやすいインターフェイスは過誤の低減や生産性の向上につながるとされており、HMIの分野でも安全性、操作性、効率性を踏まえた設計が重視されています。制御盤に表示部や操作部を設ける場合は、こうした観点を盤面レイアウトや機器選定、設置環境への配慮に具体化することが望ましいです。
表示部・操作部の操作性の確保
制御盤に表示部や操作部を設ける場合は、人間工学(エルゴノミクス)に基づき、作業者が効率的かつ正確に操作できる環境を整えることが必要です。よく使う操作部は手が届きやすい位置に配置し、関係の深い操作はまとめて配置すると作業中の迷いを減らし、疲労やストレスの軽減、ミスの防止につながります。
また、視覚で感知する表示だけでなく、必要に応じて音や触覚も組み合わせることで、状態変化や操作結果を直感的に伝えやすくなります。長時間使う設備では、姿勢や腕の動き、操作力まで含めて身体的負担を減らすことが、作業効率と疲労軽減の両面で重要です。
各機器における表示色の選定
制御盤の表示装置(表示部)および操作機器(操作部)に設けるランプやボタンなどは、JIS C 0448に基づいた表示色で設計する必要があります。
例えば、非常停止のような緊急性があり危険な動作を意味するものは「赤色」になります。非常停止スイッチも全世界共通で赤色が使われます。警報停止のように注意を促すためのものは「黄色」、運転準備入りのような特に危険でもなく注意を促す必要がない動作では「緑色」になります。状態を表す方法としてランプでは、色のほかに「点灯」と「点滅」で表すこともできます。点滅はより強く注意を喚起している場合であり、即応が求められます。
サポートアームシステム製品ページ
https://www.rittal.com/jp-ja/products/PG20231215SCH101/PG20240415SCH101
装置の操作盤やモニター設置に最適な『高さ調節式サポートアーム』
操作部の配置
制御盤における操作部の配置は、作業者が迷わず操作できるかどうかを左右する重要なポイントです。頻繁に使うボタンやスイッチは自然に手が届く範囲に配置し、関連する操作は近くにまとめることで、判断と動作の流れが分かりやすくなります。また、表示部との対応関係が直感的に理解できるように配置すると、操作ミスの防止にもつながります。盤面のレイアウトを検討する際は、見た目の整然さだけでなく、実際の作業動線や使用姿勢を踏まえて、扱いやすい配置にすることが大切です。
安全性と誤操作防止
制御盤を扱う際、誤った操作が設備停止や事故につながるおそれがあるため、高い安全性を前提に設計しなければなりません。安全に関わる操作部は、色や照光によって識別しやすくし、他の操作部と十分に区別することが重要です。
特に非常停止ボタンは、ISO 13850に基づき、緊急時にいつでも確実に操作できることを最優先とします。ただし、意図せず非常停止ボタンが押されないように、設置位置の工夫や、ボタン形状・サイズの選定、盤面のくぼんだ位置への取り付けなどの検討が必要です。保護カバーやガード(保護シュラウド)は、これらの手段で対応できない場合の最終手段として位置付けられており、操作の妨げにならない設計が求められます。
非常停止以外の操作部については、誤って触れるリスクが高いものにカバーやガードを設けることで、誤操作のリスクを抑えやすくなります。危険につながる操作ほど見分けやすく、かつ不用意に触れにくい構成にすることが欠かせません。
メンテナンス性と設置環境への配慮
制御盤は、日常の運転だけでなく、点検や部品交換、将来的な更新を見据えた設計が重要です。メンテナンスしやすい盤は、異常の早期発見や予知保全にもつながり、設備全体の安全性と生産性を高めます。
また、設置場所に応じて、筐体のサイズ、材質、塗装方法、防塵性および防水性を検討する必要があります。防塵・防水を実現する高い密閉性とともに、熱対策も欠かせません。制御盤の熱設計では、盤内発熱量、最高周囲温度、希望する盤内温度に加え、外部からの侵入熱まで考慮して冷却能力を見積もることが一般的です。冷却性能はフィルターの汚れやファンの劣化によっても低下するため、設計段階から保守しやすい構成を検討する必要があります。
盤内熱計算ソフトRiTherm
屋外筐体製品ページ
https://www.rittal.com/jp-ja/products/PG20231215SCH101/PG20240221SCH003
制御盤の設計効率を高める方法
制御盤の設計では、レイアウトだけでなく、筐体の選定からアクセサリーの組み合わせ、加工位置の検討、製作や調達につなげるためのデータ整備まで、一連の工程を見据える必要があります。制御盤設計の分野において、設計と製造をつなぐ3Dデータや部品データの整備は効率化と自動化に不可欠であり、エンクロージャーの構成検討を早い段階で正確に進められる仕組みが、手戻りの削減につながります。RiPanelは、こうした課題に対して、選定から加工検討、技術データ作成までを一つの流れで進めやすくするコンフィグレーターです。
筐体選定や構成検討が重要な理由
制御盤の筐体は、単に部品を収納する箱ではなく、内部機器を衝撃や外部環境から保護し、設備の信頼性や安全性を支える重要なパーツです。筐体の選び方によって、密閉性、耐久性、防塵・防水性、耐熱性に差が出るため、使用環境や必要な保護性能を踏まえて選定する必要があります。また、筐体内の部品配置は熱対策や配線管理にも関わるため、冷却機器の要否やスペース設計まで含めて検討すべきでしょう。さらに、設計・製造業務を効率化するうえでは、共通化に適した構成や標準化しやすい設計に寄せることも重要です。
RiPanelコンフィグレーターでできること
RiPanelでは、エンクロージャーシステムを簡単に選択可能です。検証チェックと3Dモデルでの視覚的な表示・位置決めを通じて、適切なアクセサリーを選定できます。さらに、CADインポートを含むカットアウトや穴加工の追加、技術データの自動生成、問い合わせや注文の直接送信にも対応しています。
簡単な設定と注文による時間短縮、アクセサリーや加工オプション選択時のエラー防止、製品リストと価格表示の即時確認、EplanおよびRittalソフトウェアとの統合インターフェイスにより、プロセス全体の効率化に有効です。また、アクセサリーを含めた製品選定から、加工位置の設定、製作仕様書などのデータ作成、3Dビジュアライゼーションによる進捗確認まで、幅広く活用できます。加えて、RiPanelは無料で使えるオンラインツールである点も魅力です。
まとめ:制御盤は安全性・保守性・設置環境を踏まえた設計が重要
制御盤は、機械や設備を安全かつ安定して運転するための重要な盤です。操作盤や配電盤、分電盤との違いを理解したうえで、JEM 1135やJEM-TR 136、JIS C 0448/IEC 60073の考え方も踏まえながら、表示部・操作部の設計、安全性、メンテナンス性、設置環境への配慮を総合的に検討することが大切です。特に、必要な機器を適切に配置し、状態の把握が容易で、保守しやすい設計は、設備の安定稼働と現場の安全確保に直結します。制御盤の設計や設置環境を見直す際は、現状の用途に合った構成を選定する必要があります。
現場のニーズに応えながら、より最適な制御盤用筐体を選定する際には、ぜひリタールへお問い合わせください。
参考:
日本配電システム制御工業会 (JSIA)
日本電機工業会(JEMA)
公開:2020年6月10日|最新更新:2026年6月30日