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    北米向け制御盤に義務付けられているSCCRって一体何?

    北米向けの制御盤にはSCCRを表示することが義務付けられており、制御盤の電気設計をする際は考慮しなくてはいけません。本稿ではSCCRの意味から、なぜ制御盤に表示しなくてはいけないのか、また制御盤におけるSCCRの算出方法までをご紹介します。

    SCCRとは

    SCCRとはShort Circuit Current Ratingの略称で、日本語では短絡電流定格と言います。

    電気機器は必要以上に大きな電流を流すと短絡を起こして破損につながります。SCCRは、その短絡電流に耐えられる限界値のことです。モーターの動力回路の開閉、リレーなどさまざまな部品に設定されており、制御盤においては、内部にある回路機構を持つ各動力それぞれに同じくSCCRが設定されています。

    特に制御盤は、北米の安全規格でSCCRの値の表示が義務付けられているため、注意しなくてはいけません。

    制御盤におけるSCCRの必要性

    なぜSCCRが必要となるのか、その理由についてご説明します。

    なぜSCCRが必要なのか

    SCCRを超える電流値を流すと対象の機器が故障するだけでなく、隣接する他の機器にまで危害を与えることになります。また、発生する短絡電流によっては機器が耐えられず、火災につながることもあります。そのため、NECやNFPA79のような北米の安全規格では、制御盤へのSCCRの値の表示が義務付けられているのです。

    SCCRに求められていること

    先にもご紹介したとおり、SCCRについては米国電気設備基準NECや産業機械用電気安全規格NFPA79に、それぞれ要求が定義されています。

    NECでは制御盤にSCCR値を表示することとされており、NFPA79では制御盤設置場所に流れる可能性がある短絡電流は、制御盤のSCCR以下にすることとされています。NFPA79は制御盤の設置場所に関する要求なので、責任はエンドユーザー側になりますが、NECは制御盤に対する要求のため制御盤メーカーで対応しなくてはいけません。ただし、NFPA79についても結局はエンドユーザー側から指示や要求を受けることになるため、制御盤メーカーとして対応せざるを得ないことを覚えておく必要があるでしょう。

    ※ 規格の企画_海外向け制御盤製作に役立つIEC 61439とULの基礎知識 

    制御盤におけるSCCRの算出方法

    制御盤にはブレーカーやサーマルリレー、コンタクターなどさまざまな機器が取り付けられており、それらすべての機器に、SCCRが設定されています。制御盤のSCCRは、これら機器に設定されているSCCRの中で、最も小さい値を設定しなくてはいけません。

    例えばある制御盤Aの中に電気機器B、CおよびDがあるとします。各電気機器のSCCRがBは30kA、Cは20kA、Dは40kAとすると、この中で最も小さいSCCRは機器Cの20kAです。この場合、制御盤AのSCCRは機器CのSCCRが適用され、20kAとなります。ここでは説明のために電気機器を三つしか設定しませんでしたが、実際の制御盤に使われる機器は膨大です。しかし数が増えたとしても、制御盤におけるSCCRの算出の方法は同じです。

    海外向け制御盤製作に役立つ 『IEC 61439』 と 『UL』 の基礎知識

    北米向け制御盤設計においてSCCRは欠かせない

    前述のとおり、制御盤に対するSCCR表示義務はNECやNFPA79からの要求となります。NECやNFPA79は米国で策定されたものであり、多くの州で順守しなくてはいけない重要な規格です。そのため、制御盤へのSCCR表示を怠ったり、SCCRの値を誤って記載したりした製品を北米に輸出してしまうと、後々大きなトラブルになる可能性があります。北米向けの制御盤設計に携わる際は、SCCRの取り扱いについて、十分な注意が必要です。

     

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    参考:

     

     


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