デルタ結線とスター結線-三相交流の結線方法4パターンの特性

三相交流の結線方法について解説します。三相交流の結線は、電源側と負荷側でのスター結線とデルタ結線の組み合わせ方により、4パターンあります。4つのパターンにはどのような特性があるのでしょうか。

三相交流の利点と特徴

三相交流はさまざまな産業で使われています。なぜ単相ではなく三相、そして直流ではなく交流が広く使われているのでしょうか。その理由は、三相交流には次のような利点があるからです。

  • 電圧を容易に変えることができる

交流電源は常に向きが入れ替わるという特性から、変圧器(トランス)によって簡単に電圧を変えることができます。これにより送電時には高圧でロスを減らし、需要家の求める電圧に変化させて供給することが可能です。

  • 送電のための設備を簡易化できる

単相であれば一系統の電気を送るためには往復で2本の電線、三系統なら6本の電線が必要です。しかし、三相交流では120度ずつ位相をずらした三系統の電気を合わせることにより、瞬間で見た電圧の和はゼロになります。これにより3本の電線のみで送電でき、送電に必要な設備を簡略化できます。

  • 回転磁界を容易に生み出すことができる

三相交流では、3つの相で最大電圧となるタイミングが均等にずれています。これは発電機において120度の間隔にコイルを設置し電磁誘導を行っているためですが、三相モーターで用いるのも同じ原理です。120度の間隔でコイルを設置することで、磁力が最も強くなるタイミングが順番に移り変わるため、容易に回転磁力を生み出せるのです。こうしてモーターの回転力を効率よく得ることができます。

  • 結線方法によって電圧・電流の調整が可能

三相交流にはスター結線とデルタ結線と呼ばれるふたつの結線方法があります。これらの結線方法には、それぞれ電圧や電流を                         倍にできるという特性があります。この特性を使い、電圧や電流を調整できるという点も三相交流のメリットです。

三相交流とふたつの結線方法については以前こちらの記事でも紹介しました。

参照:三相交流回路での相電圧と線間電圧―スター結線とデルタ結線

今回は、スター結線とデルタ結線を組み合わせるとどのような効果が得られるかをより詳しく紹介します。

三相交流の結線方法4パターン

三相交流の電源側と負荷側にスター結線とデルタ結線を使う組み合わせには、次の4つのパターンがあります。

  • デルタ-デルタ結線(Δ―Δ)
  • デルタ-スター結線(Δ-Y)
  • スター-スター結線(Y-Y)
  • スター-デルタ結線(Y-Δ)

これら4つの接続方法について、それぞれの特性を見てみましょう。

デルタ-デルタ結線(Δ―Δ)

交流において周波数が基本波の整数倍の波(高調波)が混ざると、さまざまな影響を受ける現象(ひずみ波)があります。特に大きな影響をおよぼすのが、3倍の周波数を持つ第3高調波です。

デルタ-デルタで結線すると、回路の一部がこの第3高調波を環流し吸収するため、ひずみ波が少なくなります。

また、三相交流の回路において、三系統が接続される中心の点(中性点)では三系統の電圧の和がゼロになるため、中性点から接地が可能です。しかし、デルタ-デルタ結線には中性点がありません。回路のどこかで地絡や短絡が起きた場合、異常電圧の発生、絶縁破壊といった障害につながるため、接地が必要となる回路には適していません。

デルタ-スター結線(Δ-Y)

三相交流の大きなメリットとして、容易に変圧ができるという点があげられます。このとき、昇圧用の変圧器に多く使われる結線方法がデルタ-スター結線です。

デルタ-スター結線にも第3高調波の環流回路があり、ひずみ波が発生しにくい仕組みを持ちます。また、負荷側(2次側)に中性点を持つため、接地が可能です。

この結線方法では、電源側(1次側)と負荷側(2次側)の間に30度の位相差が発生します。負荷側の線間電圧は相電圧の√3倍となります。

スター-スター結線(Y-Y)

スター-スター結線は電源側(1次側)と負荷側(2次側)の両方に中性点を持ち、どちらでも接地が可能なため回路の保守と保護が容易です。また、各相の線間電圧が相電圧の√3倍となるため、絶縁が容易という特性があります。

しかし、第3高調波の環流回路がなく吸収できないため、誘導起電力に第3高調波が生じ、ひずみ波が発生することがあります。

スター-スター結線は容量の小さな変圧器に使われることがありますが、通常はあまり使われません。

 

スター-デルタ結線(Y-Δ)

スター-デルタ結線は降圧用の変圧器に使われることの多い結線方法です。

第3高調波の環流・吸収が可能でひずみ波の発生は少なくなります。中性点が得られるのは電源側(1次側)のみで負荷側(2次側)にはないため、接地が必要な場合には適しません。

電源側(1次側)と負荷側(2次側)の間に30度の位相差があり、電源側(1次側)の線間電圧が相電圧の√3倍となります。

結線方法で三相交流の使い方が変わる

三相交流の結線方法、スター結線とデルタ結線の組み合わせによって生まれる4つの結線パターンについて解説しました。三相交流はその結線方法により特性が変わります。三相交流のふたつの結線方法、スター結線とデルタ結線について、どのような場合にどの結線の組み合わせが使われるのかを理解しておきましょう。

参考:


 

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