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    無電圧接点と有電圧接点、どのように使い分けるといい?

    制御システムを新規に設計したり、または再構築したりする場合、無電圧接点と有電圧接点の選択が必要になるときがあります。無電圧接点、有電圧接点とはどのようなもので、どういった違いがあるのでしょうか。それぞれの意味と制御盤での使い方について紹介します。

    無電圧接点と有電圧接点

    無電圧接点、有電圧接点という用語は、実際に接点そのものを指して使われる場面はあまりありません。多くの場合、接点に関して接続の方法または接続されている状態を表現するときに使われます。どういった状態を表すのか、用語の意味から見てみましょう。

    無電圧接点とは

    無電圧接点は、ドライ接点・DRY接点・乾接点とも呼ばれることがあります。英語ではno-voltage contactと表記され、直訳しても無電圧接点と同じ意味です。

    無電圧接点とは、接点がONの状態になっても、接点には電圧がかかっていない状態のことをいいます。スイッチやリレーの接点のように、電圧のかかっていない状態で導通するだけのものは無電圧接点です。

    有電圧接点とは

    無電圧接点がドライ接点と呼ばれるのに対して、有電圧接点はウェット接点・WET接点、または電圧接点とも呼ばれます。

    接点がONの状態になったときに、接点にも電圧が印加されている状態のことをいいます。有電圧接点では、接点を導通させると同時にその回路を加圧していることになるのです。

    無電圧接点と有電圧接点の違い

    それでは、無電圧接点と有電圧接点の最も特徴的な違いとはどのような部分でしょうか。違いをひとことで言うと、「接点の回路に電圧を与えるかどうか」です。

    出力回路の役割が「信号を相手に伝達する」という目的のみの場合、こちら側の回路では信号によりリレーが作動し接点が導通します。このとき、無電圧接点では信号を伝達する相手側の入力回路を導通させることのみが仕事となります。一方、有電圧接点では相手側の入力回路を導通させたうえで、入力回路に電圧を与えるところまでが役割となります。

    制御盤での無電圧接点と有電圧接点の使い方

    複数の制御盤や機器を接続するような制御システムを構築する場合、ほかの制御盤や機器に信号を送ったり、受け取ったりといった場面が少なくありません。こういったとき、信号の受け渡し方法として無電圧接点と有電圧接点のどちらにするかを選択することになります。

    例えばふたつの制御盤がある場合を考えてみましょう。
    ふたつの制御盤間のやりとりにおいて、制御盤Aから制御盤Bへと単純に信号を渡すとき、多くの場合は無電圧接点で信号が渡されます。制御盤それぞれが個別に電源の管理をしたほうが考えやすく、また保守管理の際にも事故につながる可能性が低いからです。

    次に考える条件は、制御盤Aが内部にAC100V電源とDC24V電源を持ち、制御盤BにはAC100V電源のみといった場合です。このような条件で、制御盤Bの先にDC24Vの機器Cがあるとします。このとき、制御盤Aから有電圧接点によりDC24Vを乗せて受け取ることもあります。こういった場合には、無電圧接点で受け取った電線と有電圧接点の電線は色分けをして区別する方法が一般的です。

    また、制御盤Aから制御対象である機器Cに信号を送るときは、電源の取り扱いによって変わります。この回路で電源を供給するのか、または制御のみで電源は別回路にするのかにより、無電圧接点と有電圧接点とを選択することになります。

    このように、複数の制御盤や機器の間でのやり取りは、機器の仕様と制御方法により無電圧接点と有電圧接点を選択する必要があります。

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    無電圧接点と有電圧接点の選択はしっかりと打ち合わせを

    無電圧接点と有電圧接点、それぞれの意味と使われる場面について紹介しました。制御盤や機器により、無電圧接点、有電圧接点のどちらで受け渡しをするべきかを決めなければなりません。無電圧接点渡しにするのか、有電圧接点渡しにするのか、その場合は何Vの電圧を乗せるのかなど、担当者同士でしっかりとした打ち合わせが必要です。

     

    参考:

    リタールの技術ライブラリ
    「規格に適合したスイッチギア及びコントロールギアの製作IEC 61439適用」

    本冊子は、新規格IEC 61439 準拠に必要な様々な対策を講じる上でのお手伝いをするために作成しました。リタール製規格適合システム製品の利用に関するご相談から貴社機器の要求設計や日常検査のご提案まで、幅広くご利用ください。
    ※新規格IEC 61439における変更点の他、「設計検証報告書」の作成方法などについて、85ページにわたって解説しています。

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