電力システム改革によって起こる変化―電力に関する課題解消になるか

日本が抱える電力に関する課題を解消するため掲げられたのが、電力システム改革です。電力システム改革とはどのような目的があり、どういった内容が盛り込まれた取り組みなのでしょうか。2020年に新たな局面を迎える電力システム改革について、その目的や効果、これまでの経緯とこれからの変化についてご紹介します。

電力システムの課題に取り組む

電力システム改革は、電力をどのようにつくりどういった方法で配るかといった電力システムの課題に取り組む改革です。その内容と、電力システムの課題が浮き彫りになった背景から見てみましょう。 

電力システムの課題が顕在化

日本の電力に関する課題が大きな問題になったきっかけは、2011年に発生した東日本大震災です。東日本を中心に大きな被害をもたらしたこの震災は、原子力発電の停止や計画停電など日本全国が電力の危機を共有する事態になりました。こうして、未曾有の大震災を契機に日本の抱える電力システムの脆弱性や課題が浮き彫りになったのです。

こういった電力の課題に取り組むべく、2年に渡る議論が重ねられ、2013年に閣議決定したのが「電力システム改革に関する改革方針」です。これに併せ電気事業法も改正されました。現在では経済産業省・資源エネルギー庁を中心として、改革の具体的内容が推し進められています。

電力システム改革 三つの目的

電力システム改革が掲げる目的は以下の三つです。

  • 電力の安定供給
    多様な電源を活用しなければならないことが明確になり、供給側と需要側双方による調整能力を高め広域的な電力安定供給を目指す。
  • 電気料金を最大限抑制
    競争やメリットオーダーの仕組みの促進とともに発電投資を適正化し、電気料金を最大限抑制するよう取り組む。
  • 需要家の選択肢多様化と事業者の機会拡大
    需要家が電力を自由に選択できる仕組みを整え新規参入やイノベーションが活発化するよう工夫する。

電力システム改革 軸となる三つの取り組み

こういった目的を達成するため、具体的な取り組みとして軸となる三つの改革が進められています。

  • 広域系統運用と分散型発電
    従来は区域ごとに電力の供給体制が管理されていたが、他地域からも電力を融通できる仕組みを整える。そのために広域的運営推進機関を創設し電源の有効活用と需要調整を推進していく。また、一点集中とならないよう、さまざまなエネルギー源を活用する分散型エネルギーシステムの構築を進める。
  • 電気の小売と発電を全面自由化
    家庭や小規模事業所などへの小売参入を自由化し、発電事業・送配電事業・小売電気事業などの事業類型を見直す。これにより選択による競争により電気料金抑制を図る。また、料金規制を段階的に撤廃することで需要抑制をしやすくすると同時に、最終保障や離島対策など経過措置も講じる。
  • 法的分離による送配電事業の中立性確保
    既存の電力会社が運用中の送配電網について、新規参入の発電会社が公平に利用できるよう、発電・送配電・小売に対し法的分離を行い独立させる。緊急時に国や各機関がするべき役割分担を明確にし、安定供給に必要な措置や枠組みを整える。

電力システム改革で何が変わる?

以上のように、電力システム改革には三つの目的と、それを実現するために行う改革三本柱があります。ではこれらを推進することで家庭や事業所の電力事情にはどのような変化が訪れるのでしょうか。

電力システム改革で見込まれる効果

電力システム改革によってもたらされる変化として、最もわかりやすいものは、「電気料金をできる限りリーズナブルにする」ということではないでしょうか。家庭でも電力会社や料金メニューを手軽に選べるようになり、競争が活発化することで、全体的な料金が引き下げられることが期待されます。また、節電の方法をもっと効率的に行う意識が根付き、考え方に変化が訪れることも考えられます。

企業にとっては、電力の買い方、使い方の選択肢が増えることになります。これまで電力をどう売買するかは供給側に主導権がありましたが、この改革により需要家も対等な立場に近づくことが見込まれます。

また、さまざまな取り組みや変更に伴い、新しい産業創出と雇用促進・事業機会の拡大も期待できます。この中には、消費者目線のサービスが増加することも含まれています。

改革後の電気事業者の変化

では、電力を受け取る側や使う側ではなく、供給する側にはどのような変化が起こるでしょうか。

発電事業では新規参入と競争促進が見込まれます。原子力発電のような大規模発電はなかなか難しいとしても、自然エネルギー発電の分野ではすでに多くの新規参入事業者が現れています。こういった事業者が多くなることで、さらに競争の活発化が進むのではないでしょうか。

一方で、送配電事業では過疎地も含めた安定供給確保に重点を置かなければなりません。競争のみが促進されてしまうと、地域単位での電力需要が少ない過疎地はサービスを受けられなくなってしまいます。重要な生活インフラである電力が全地域に安定供給されるよう、送配電事業には維持や保障の面で義務化や規制が必要となります。

小売事業では、新規プレイヤー参入による料金メニューの多様化が見込まれます。また、電気消費のスマート化が実現することで省エネも増進されます。

 

電力システム改革の実施スケジュールとこれからの動き

このような内容を盛り込んだ電力システム改革は、今年、大きな局面を迎えると言われています。これまでの歩みにおける大きな局面と実施スケジュールは次のようになっています。

  • 2015年 「電力広域的運営推進機関」を設立
  • 2016年 電気の小売業への参入の全面自由化
  • 2020年 発送電法的分離

電力の小売全面自由化は、スケジュール通り2016年4月にスタートし、残るは電力システム改革の最終段階の一つ、発送電の法的分離です。電力システム改革に盛り込まれた発送電の法的分離とは、送配電事業者が発電事業や小売事業を運営することを法的に禁じ、切り離すことです。これにより大手電力会社の送配電部門は、発電部門・小売部門と別会社となり独立性が高められます。

こうして法的分離により独立性が維持されることで、電力産業や各部門のコスト構造が明瞭化すると考えられます。また、新規参入が進み電気料金が適正化する効果もあります。

安定供給と自由化を両立した電力供給体制実現を

電力システム改革はどういった狙いを持って進められ、どのような変化をもたらすのかを解説しました。

電力システム改革は実施スケジュールにおける三段階目を迎え、当初予定されていた内容はほぼ実現されつつあると言えます。しかし、世界的な電力供給のあり方や考え方、より効率的で安全な発電・送配電の方法は変化し続けています。また、環境への配慮を考えたとき、より厳しい規制が必要となる可能性もあります。

電力に関わる事業の自由化が議論される際に、重要となるのは安定供給とのバランスです。これらを両立しながら環境配慮も含めた、新たな電力供給体制の実現が求められています。

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参考:

 


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