制御盤の配線としてワイヤーハーネスが注目される理由とは

自動車産業の分野で使われることの多いワイヤーハーネス。しかし今、制御盤を含む生産設備にもワイヤーハーネスの使用が増えています。ワイヤーハーネスを使うことで、どのようなメリットがもたらされるのでしょうか? 制御盤とワイヤーハーネスの関係、ワイヤーハーネス加工の進化について紹介します。

ワイヤーハーネスとは

電気を伝えるための電線、電線を別の電線や機器へと接続して電気を通すための端子やコネクタ、これらは単品でも活躍します。単品で使用する場合、仕様や状況に応じた配線が可能になる一方で、部品点数・工数が増大し、調達から加工・組み立ての手間と時間もかかるようになります。

 そこで、複数系統の電力や電気信号を伝えることを目的として、電線や端子・コネクタなどを組み合わせた集合部品が、ワイヤーハーネスです。

ワイヤーハーネスはどのようにつくられ、どういった分野でよく使われているのかを見てみましょう。

ワイヤーハーネスの加工工程

ワイヤーハーネスの加工は、一般的に次のような工程で進みます。

  1. 電線切断
  2. ケーブル前処理
  3. マークチューブなどの挿入
  4. 電線被覆剥離
  5. 圧着・半田・融着・圧接
  6. 組み立て・結束
  7. 仕上げ
  8. 検査

加工を行う環境・作業人員数・入出荷の影響で工程が入れ替わったり、各工程の合間に細かい作業が追加されたりといった変更はあるものの、大まかな流れは上記のとおりです。これらの加工は、近年まで主に手作業で行われてきました。しかし、自動化・効率化を図れる機器の登場によって、ワイヤーハーネスの加工と用途に変化が訪れつつあります。ワイヤーハーネスがどういった分野、場所で使われているのかを紹介します。

ワイヤーハーネスが使われる場所

ワイヤーハーネスが使われることの多い場所として、次のような分野があります。

  • 自動車
    ワイヤーハーネスの活躍する場所として最も代表的な分野です。自動車のように同一の仕様のものが大量に生産される分野は、ワイヤーハーネスの使用が最も適しているといえます。
  • 家電
    冷蔵庫や電子レンジといったほとんどの家電にも、ワイヤーハーネスが使われています。小さな製品では伝達距離も短いため、小さなワイヤーハーネスが使われます。
  • 医療機器
    電気を使う医療機器も、ワイヤーハーネスが活躍している分野です。レントゲン撮影機やMRI、CTといった大型の機器から、血圧計のような小さな機器まで、内部ではワイヤーハーネスが電気を伝達しています。
  • 生産設備
    ワイヤーハーネスが使われる自動車や家電などを製造するための生産設備自体にも、ワイヤーハーネスは大量に使われています。自動加工機やロボット、搬送装置や情報伝達用のモニターなど、あらゆる場所でワイヤーハーネスは活躍しています。また、そういった設備本体と、制御をするための制御盤との間を接続するのもワイヤーハーネスの大きな役割となっています。

 

ワイヤーハーネス加工に訪れた変革

ワイヤーハーネスは自動車産業を中心に発展してきました。大量に同一仕様のものを流れ作業で組み立てるという製造方法に、ワイヤーハーネスが非常に適していたからです。また、家電も同様に大量生産するため、ワイヤーハーネスが多く使われます。

一方で、生産設備、特に制御盤のように、同じ仕様のものを大量生産することが少なく、個別の仕様が求められるものではあまり使用されてきませんでした。しかし近年、制御盤においても、ワイヤーハーネスを使って組み立てられることが増えています。

その理由として、次の4点が考えられます。

  • CADの進歩によるハーネス設計の精度向上
    従来の制御盤製作工程では、機器のレイアウト設計やパネル設計が行われ、機器の取り付け工程の後で実測による配線が行われていました。しかし近年では、高度に進化した3D-CADによる優れた設計が可能になり、機器を接続する配線まで詳細に設計できるようになっています。実測による配線をする必要がなく、機器の組み立てとハーネス加工を同時進行させて、大幅にリードタイムを短縮することが可能なのです。
  • PLCの普及と制御機器の規格化
    PLCが普及したことで、ひとつの機器に複数の電線を接続することが増え、またコネクタの規格化も進みました。これによりワイヤーハーネスを使うメリットが大きくなったと考えられます。
  • 盤製作作業のモジュール化
    制御盤の製作について、短納期が求められるようになると同時に、制御盤の外で作業を進める盤外作業が重要視されるようになりました。盤内作業と盤外作業を同時進行することで作業時間を短縮するためです。また、盤外作業でつくった部品を一度に取り付けられるように組み立てておく、作業のモジュール化も進んでいます。こういった製作方法の場合、ワイヤーハーネスを用いる配線により、さらに作業時間を短縮できます。
  • ワイヤーハーネス加工の進化
    従来はワイヤーハーネス自体の製作も手作業によって進められてきました。しかし近年では、各工程または複数工程を自動で加工する機械の普及が進んでいます。さらに、ほぼすべての工程を全自動で行う自動加工機も登場し、ワイヤーハーネス自体の加工時間も短くなっています。

これらの理由から、生産設備の本体と制御盤の接続、制御盤内の配線においてもワイヤーハーネスによる機器の接続にメリットが生まれるようになっているのです。

 

制御盤配線にワイヤーハーネスを使うメリット

制御盤の配線にワイヤーハーネスを使うと、どのようなメリットが生まれるのでしょうか。

  • 配線作業時間の短縮
    ワイヤーハーネスを使用することで、盤内の配線ルートを実測しながら行う電線加工が不要になります。また複数の接点を持つコネクタにより、何本もの電線を一度に取り付けられます。これらにより、配線時間は大幅に短縮されます。
  • 接続間違いの防止
    コネクタ同士の接続では、必ず決められた接点同士が接続されるため、接続間違いを防止することができます。
  • 省スペース化
    端子台での接続に比べ、コネクタ接続では接続のためのスペースを小さくすることができます。また、電線もまとまっているため配線ルートもすっきりします。
  • 電線の摩耗・劣化の低減
    複数の電線が結束された状態となっているため、振動による摩耗や劣化が低減されます。
  • 使用環境への耐性向上
    1本ずつ配線した場合には、最後に電線をまとめることは困難です。しかし、ワイヤーハーネスなら、加工の時点でチューブやテープを巻いて結束することができます。耐熱性や耐油性といった特性を持つ素材で電線を保護することができ、使用環境への耐性を持たせることができます。

 

ワイヤーハーネスの選び方

制御盤の配線では、一部分のみにワイヤーハーネスを使用する手法も、よく行われます。その場合、ワイヤーハーネス単品での製作発注や既成品の選択が必要になります。ワイヤーハーネスを発注または選ぶ際のポイントを見てみましょう。

 

PLCを接続するワイヤーハーネスの選び方

PLCを接続するワイヤーハーネスの製作を発注する際は、次の順で仕様を決めると効率的です。

1. PLCに適合するコネクタ形状を調べる

2. 反対側の機器のコネクタ形状を調べる

3. 配線ルートの長さを決める

複数の機器を接続するワイヤーハーネスの選び方

複数の機器をそれぞれ接続するワイヤーハーネスでは、次の順で仕様を決めるといいでしょう。

1. 接続する機器の数から芯数を決める

2. 使用する各機器の定格電圧を調べる

3. 断面積またはAWGを決める

4. 端子の種類・サイズを決める

ワイヤーハーネス加工がもたらす制御盤製作の変容

ワイヤーハーネスの特徴と、制御盤に使われることが増えている理由について紹介しました。

制御盤製作の短納期化が求められる昨今、制御盤内の配線にワイヤーハーネスを使うメリットが注目されるようになっています。ワイヤーハーネス加工そのものも加工技術の進化によって効率化され、個別の使用に対応しやすくなり、自動化も進んでいます。これからの制御盤製作がどのように効率化されていくかは、ワイヤーハーネス加工の進化に影響を受ける部分も大きいかもしれません。

 

※制御盤製作の電気設計から製造までの工期短縮と効率化を実現

 

参考:

 

総合カタログ35
総合カタログ35は、IT業界・製造業で使用される当社製品をすべて網羅し、設計者、開閉装置(スイッチギア)メーカー、データセンター事業者のニーズを満たします。世界中で幅広く使用されている産業用キャビネット・ボックス、分電・配電システム、温度管理システム、ITインフラストラクチャ製品ラインアップの詳細情報を、936ページにわたってご紹介しています。

ct01.png総合カタログ35 ダウンロード

リタール公式Webサイト

関連記事