スマートファクトリー化における国際規格の重要性

ドイツではじまったインダストリー4.0の取り組み。第4次産業革命を目指すものとされ、日本でもドイツの取り組みを参考に、スマートファクトリーを目指そうという動きがあります。そしてそのためには、国内、国外に通じる標準化が必要と言われています。しかし、突然にそう言われてもよく分からないと感じる人も少なくないのではないでしょうか。

ここではインダストリー4.0、IoT、スマートファクトリーなどの意味と、なぜ標準化が必要なのかについてご紹介します。

スマートファクトリー(つながる工場)とは

ドイツではじまったインダストリー4.0の動きをうけ、日本でもスマートファクトリーを目指そうという動きがはじまっています。しかしスマートファクトリーとはいったい何なのでしょうか? インダストリー4.0の取り組みも含め、解説していきます。

インダストリー4.0とは

インダストリー4.0とは第4次産業革命のこと。蒸気機関による機械化が進められた第1次産業革命、分業による大量生産が進められた第2次産業革命、エレクトロニクスによる自動化が進んだ第3次産業革命に続き、インターネットとモノの融合による第4次産業革命を目指そうという動きです。2006年にドイツではじまった高度技術戦略の中で、産、学、官が一体となってモノ作りの高度化を目指していくなかで、スマートファクトリー実現への取り組みが行われています。

スマートファクトリーとは

スマートファクトリーとはつながる工場と言われ、日本でもIoT(Internet of Things)によりスマートファクトリーを実現しようとする取り組みが行われています。
ではスマートファクトリーが実現するとどのようなことが起こるのでしょうか? 具体的な例を挙げると、実際に工場で生産を行う機械(モノ)がネットワーク上のさまざまな情報にリアルタイムでアクセス(インターネット)し、必要に応じて生産方式や部品を自動で選ぶようになります。ではスマートファクトリーが実現するとどのようなことが起こるのでしょうか? 具体的な例を挙げると、実際に工場で生産を行う機械(モノ)がネットワーク上のさまざまな情報にリアルタイムでアクセス(インターネット)し、必要に応じて生産方式や部品を自動で選ぶようになります。
デジタルカメラを例にみてみましょう。従来であればA社とB社のデジタルカメラを比較していたユーザーがいた場合、B社のカラーバリエーションにしかない色のカメラが欲しいときには、色を優先してB社のカメラにするか、色を諦めてA社のカメラにするかの選択しかできませんでした。しかしスマートファクトリーが進み工場同士がつながると、A社にある生産設備が自動的に、ユーザーが望む色がB社にあると判断し、塗装前の部品を現在の塗装メーカーCから、B社と同じ色に塗装できるメーカーDに自動的に送ります。そして塗装メーカーDで塗装された部品がA社の生産設備に戻り、A社のカメラとして生産されるようになります。

また、タブレットに代表されるような小型のデバイスで、遠く離れた工場にある生産設備の操作をしたり、設備が記録する圧力や回転数といった機械的な情報、生産数や不良率などといった工程的な情報などを確認したりできるなどもスマートファクトリーの実例として挙げることができます。

スマートファクトリーが推進される背景

日本でスマートファクトリーが推進される理由はいくつか挙げられます。国際競争という視点もありますし、消費者の嗜好(しこう)の多様化という動きもあります。従来のような小品種大量生産から多品種少量生産へと移行していくためには、上記のように工場や生産設備をまたいで生産を行うことができるスマートファクトリーのシステムが有効であると考えられています。

スマートファクトリーを実現するために

インダストリー4.0の中核となるスマートファクトリー。そのためには標準化が必要と言われています。ここでは日本と海外におけるスマートファクトリー化にむけた取り組みについてご紹介します。

スマートファクトリー実現への課題

スマートファクトリーの実現に必要なもの、それは標準化です。異なる設備で製造された部品が行き来するだけでなく、さまざまな生産設備の間で情報の交換が必要になります。同じ端末から、A社の工作機械もB社の工作機械も同じように操作や監視ができるような環境を目指しているからです。そのため各社の製品の規格だけでなく、センサーの信号やモーターの駆動方式、それらの制御方法などの統一化が必要になってくるのです。

日本の取り組みの現状

日本ではIoTによる製造業の高度化を目指す動きが2014年に官民一体となってスタート。2015年には大手製造業53社からなるインダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)が発足しました。標準化のため、これまで各工場間で暗黙となっていたノウハウを数値化する「匠(たくみ)の見える化」などをテーマに業務モデルを作成。実際に工場での試用なども始まっています。

また、新潟県柏崎市ではNTTドコモや日本GE、OKIなどの通信会社が協力し、地域の中小企業のデータ共有を目指しています。企業の競争に関わる部分ではなく、社員の健康管理の情報などを共有することからスタートし、実験を進めています。

海外での取り組み

これまでも述べてきたように、ドイツではすでに産、学、官が一体となってスマートファクトリーへの取り組みが進められています。ドイツで行われる世界最大級の産業見本市ハノーバー・メッセでは、来場者がスマートフォンから出した注文に従い、その場で複数の機械が操作され、出来上がった製品がその場で来場者に手渡されるというデモンストレーションが行われました。

ほかにもアメリカではIICという取り組みが行われ、まさにドイツと同じように生産設備とインターネットをつなぐ実験が行われています。

海外と日本の取り組みの比較

海外と日本ではスマートファクトリーに向けてのアプローチ方法に大きな違いがあります。

アメリカやドイツでは、まずインターネットと生産設備をつなぐ試みに注力しているのに対し、日本ではつないだ後がスムーズに動けるように標準化の取り組みに力を入れています。また、標準化といっても1つの基準を正としてそこに合わせていくよりも、いくつか選択肢のある「緩やかな標準」を設け、その中から自社に合う基準を選んでいく方法を想定しています。1つの基準を絶対として適用していくことは、スマートファクトリーでの全体生産としては優れているかもしれませんが、基準策定後の変更が加えにくく、改善活動を妨げるなどのデメリットがあるというのが日本での考え方です。

まと

ドイツを筆頭に日本やアメリカ、その他の国々でも進むインダストリー4.0。それに向けて、すでに通信やセンサーの規格、サイバーセキュリティー技術などの標準化が議論になっています。また設備の規格の標準化も今後どんどん進んでいくと考えられています。「スマートファクトリー(つながる工場)」の時代に向けて、世界とつながりやすい国際標準化を意識した製造現場づくりをしていきましょう。

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