「ハノーバーメッセ2023」展示会レポート
Industrial Transformation ― Make the Difference!
Connecting ecosystems. Smarter.
4月16日から21日にかけてドイツ・ハノーバーで行われた世界最大級の産業国際見本市・ハノーバーメッセに、リタールとEPLANは姉妹会社としてFriedhelm Lohグループのブースに出展しました。
ヨーロッパでは制御盤の設計・製造の効率化、デジタル化はどこまで進んでいて、どんな提案をしているのでしょうか?
ハノーバーメッセでの展示の様子をご紹介します。
ハノーバーメッセは、ドイツ・ハノーバーで毎年4月末に開催される世界最大級の国際産業見本市で、ヨーロッパを中心に世界中から4000社が出展し、13万人以上が来場する大きな展示会です。
産業の最新トレンドやインダストリー4.0、デジタル化などを取り扱い、電気制御のほか、モーション・ドライブ、油圧・空圧技術、エネルギー、機械要素部品、デジタル・ネットワークなど幅広い領域をカバーしています。会場は全27のホールがあり、ハノーバーメッセではこのうち15ホールを使って行われました。
LOHグループがブースを構えたのは、5~9、11ホールの6つのホールにまたがる「Automation,Motion&Drive」エリアのホール11。ブースの広さは1508m2あり、11ホールのなかでは最大級、出展者全体を通してもシーメンスに次ぐ巨大な展示ブースとなりました。
リタールとEPLANは姉妹会社で、この2社を中心に95社の子会社でFriedhelm Lohグループを構成しています。電気CADや箱、自動加工機、盤用クーラーなど盤の効率的な設計製造から安定稼働と保守運用に必要なソフトとハード、プラットフォームを提供し、盤関連分野では世界最大のグループです。ブースでは、EPLANとリタールを中心に、同じLOHグループでPLMとERPを繋ぐソフトを提供しているCIDEON、産業用のエッジとクラウドシステムのGerman edge cloudと一緒に、盤の設計データからはじまり、工場運営に必要なシステムとデータを繋ぎ、それをエッジとクラウドで統合管理するスマートファクトリーへの道の展示をしました。
ブースは「Automation twin、Production twin、Product twin」という3つのデジタルツインを連携し、エコシステムを進化させていくというコンセプト。
展示エリアは大きく4つに分かれ、入口に近い方から、EPLANを中心としたソフトウェアやシステム寄りの設計効率化に関する展示「Electrical Engineering」、続いてリタールの箱やアクセサリ標準品など選定・調達をスムーズにする製品が並ぶエリア「Rittal The System」、その次はリタールの電線加工機など自動加工機のRAS(Rittal Automation Systems)による製造工程を効率化するエリア「Panel Building」、4つ目は見える化やデータ分析機能等を備えたラックやマイクロデータセンタ、盤用クーラーなど高機能化して保守・運用を効率化する最終製品・ソリューションの展示「Digital Operation」です。
設計から選定・調達、製造、最終製品へと工程が進み、最後はカーボニュートラルやスマートファクトリーが完成するという流れで構成され、最後まで到達したら、その先にはカフェ併設の休憩スペースがあり、お茶をしながら歓談し、商談をするという形でした。
EPLANを中心とした「Electrical Engineering」のエリアは、機能紹介というよりも、EPLANの設計データ活用のプラットフォームと、関連する周辺のシステム・ソフトウェアとの連携によって世界が広がっていることをご紹介することに重点を置きました。例えば、機械CADやプラント設計、シーメンスや三菱などコントローラ各社のエンジニアリングソフトなどとの連携によってデータ活用のエコシステムができていることを紹介。これを活用することで設計効率化ができ、より精度が高く、有用なデジタルツインが作れ、シミュレーションも可能になることをアピールしました。CIDEONもこのエリアにあり、設計製造と生産管理、基幹システム等との連携機能を解説し、あらゆるデータをつないでいく世界を示唆しました。
2つ目のエリアは、リタールの標準品が並ぶエリア「Rittal The System」。特に脱炭素に関連して電力や再生可能エネルギー向けに、屋外用の箱やスピーディーに納品できるよう内部機器も含めて標準化して半製品化した接続箱などを展示。また扉のハンドルと鍵、サーモスタット、内部空調とその管理システム、ケーブルハウジング、積層表示灯、サポートアームなど盤のアクセサリも数多く並べ、標準化されているモジュラーソリューションとして、EPLANで簡単にデータを呼び出して設計できたり、オンラインショップで購入できることなどを通じて、調達と購買を効率化できることなどを提案しました。
3つ目のエリア「Panel Building」は、リタールの電線加工機など自動加工機RAS(Rittal Automation System)をはじめ、製造工程の自動化・効率化を提案。
目玉展示は、設計データをインポートすると、電線のカットから皮剥き、圧着端子の取り付け、マーキング、加工済みの電線の整理まで一括で行うことができるワイヤターミナルの新製品「WT C10」。0.5~6mm2の最大36種類の電線を、待機時間なく取り替えながら加工でき、機械のまわりには人だかりができていました。
また箱への穴あけ加工を行うPerforex ミリングターミナル MTや、卓上式電線加工機やマーキング装置を組み合わせて手作業を効率化する作業机、完成した箱の移動・運搬を容易にするスマートリフターなど半自動から全自動まで、多様な自動化・効率化ソリューションを提案。各展示にはどれだけの時間が削減できるかの表示し、生産性向上の効果を分かりやすく紹介しました。
ブースでは、デジタルデータ、デジタルツインを活用して生産性向上を進めようという大きなテーマがあり、入口から出口までそのストーリーに乗って展示が並びました。すでに標準化やデータ活用は当たり前になっており、その状態で何を目指しているか、何がしたいか、そのために何をしなければいけないか、全体最適に向けて進んでいます。その点、機器展示や機能紹介がメインになり、部分最適に引っ張られがちな日本の展示会とは大きく異なります。
またハノーバーメッセは、その会期中には世界中からお客様が集まり、単に展示物を見るだけでなく、交流を深めて商談を行う年に一度の重要な社交の場という位置付けでもあるようです。ブース内のカフェは常に満員で、お客様と社員、お客様同士、社員同士の歓談の場となります。ハノーバーメッセでは、制御盤の設計・製造にまつわる最新トレンドや技術を見るだけでなく、じっくりと腰を据えて相談できる、そんな場です。ぜひ来年はハノーバーメッセに来場し、リタール・EPLANブースでお話をしませんか?
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「ハノーバーメッセ2023」展示会レポート
Industrial Transformation ― Make the Difference!
Connecting ecosystems. Smarter.
- ハノーバーメッセとは?
- Friedhelm Lohグループあげての巨大ブース
- コンセプトは3つのデジタルツインの連携
- 連携によるエコシステムを紹介 Electrical Engineering
- 標準化した製品を使った効率化提案 Rittal The System
- 自動加工機を使って製造工程を効率化 Panel Building
- 見える化、遠隔監視など運用を効率化する Digital Operation
- 脱炭素への貢献、Catena-Xなど最先端の取り組みも
- まとめ