制御回路の漏電防止策となる、漏電ブレーカーと絶縁抵抗測定について解説します。漏電はどのようにして発生し、漏電ブレーカーはどのような役割を果たしているのでしょうか。また、制御盤の漏電チェックの方法も紹介します。
制御回路において考慮すべきトラブルのひとつは漏電です。通常ならあってはならないトラブルですが、一度発生すると原因箇所の特定が難しい場合もあります。制御回路で漏電が発生するのはどのような場合なのかみてみましょう。
漏電とは読んで字のごとく、電気が(回路の外へ)漏れてしまうことです。漏電が発生すると、次のようなトラブルや災害につながるおそれがあります。
漏電の原因には、さまざまな要因があります。その一部として、次のような事例があります。
このような漏電トラブルに備え、大きな事故を防ぐために取り付けられるのが漏電ブレーカーです。
電路は本来、外部から絶縁状態にあるものです。しかし、絶縁抵抗の低下により漏電が起こった場合、電路の一部を遮断して回路そのものへの電流供給を停止する必要があります。この役割を持つのが漏電ブレーカーです。
漏電ブレーカーは、回路の行きと戻りの電流の値を検知し、その差が一定以上となった場合に回路を遮断する仕組みになっています。これにより、漏電した場合でも被害を最小限にとどめることができるのです。
また、もしなんらかの原因で感電してしまった場合も、人体に流れ出た電流を検知して漏電ブレーカーが働きます。このように漏電ブレーカーを使っていれば、感電による人体への影響も小さく抑えることができるのです。
制御盤の漏電をチェックする方法としては、回路の絶縁抵抗値を測定することで漏電の有無を確認できます。測定にはメガテスター、またはメガーとよばれる絶縁抵抗計を使用します。メガテスターを使った漏電チェックは次のような手順で行います。
食品機械を製作する際には、当然守らなければならない規定があります。これらの基準は手順や管理方法のほか、食品機械の材質にいたるまで、細かく規定されています。ルールを守っているからこそ、食品機械の安全性が確保でき、安全な食品を口にすることができるのです。
制御盤の漏電と漏電ブレーカーの働き、メガテスターによる漏電チェックの方法について紹介しました。
漏電によるトラブルは事故につながることもあります。最低限の安全対策として、漏電ブレーカーを制御回路の適切な箇所に設置しておきましょう。また、万が一漏電が発生した際は、メガテスターによる絶縁抵抗測定により、漏電箇所を特定することができます。漏電トラブル発生時にぜひお役立てください。
参考:
リタールの技術ライブラリ
「規格に適合したスイッチギア及びコントロールギアの製作IEC 61439適用」
本冊子は、新規格IEC 61439 準拠に必要な様々な対策を講じる上でのお手伝いをするために作成しました。リタール製規格適合システム製品の利用に関するご相談から貴社機器の要求設計や日常検査のご提案まで、幅広くご利用ください。
※新規格IEC 61439における変更点の他、「設計検証報告書」の作成方法などについて、85ページにわたって解説しています。