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安全な制御盤を実現するには? 筐体選びのポイント~制御盤の国際規格~

作成者: admin|Dec 6, 2022 5:39:27 AM

制御盤は機械や生産設備の心臓部。工場にある数ある設備のなかで停止してはいけない重要設備であり、しっかりと安全に保護する必要があります。しかしながら基本的に制御盤は現場に設置するものであり、現場でできる保護対策は限られます。だからこそ、設計製造段階での「筐体」選びが重要となります。今回は制御盤の安全と、制御盤の外被となる筐体をどうするかについてのお話しです。

筐体は機械・設備の頭脳心臓部を守る外被

制御盤は、基板となる背板と、配電・制御機器と配線、それらを収める筐体で構成されます。中板の上に配電・制御機器を配置し、それを配線でつなぎ、筐体の中に収めます。

機械の心臓部とも言われる制御盤において、電力供給や設備の制御を行うのはそれぞれの配電・制御機器であり、人間で喩えれば全身に血液を送り出す心臓。配線は神経と血管、筐体はそれを守る肋骨(あばら骨)といったところでしょうか。制御盤の安全を守ると言った場合、それは内部の配電・制御機器と配線を守ることと同義であり、それに向けて一番シンプルで効果的な方法は、機器の外側にあり、それらを守る筐体に強靭で信頼性の高いものを選ぶこと。どんなに設計を工夫し、高耐久性の機器を使ったとしても、外被が弱く、丸裸状態では意味がありません。

筐体は見た目こそ、金属薄板を曲げて溶接し、パッキン等で密閉するようなシンプルなものですが、その構造や作り方によって密閉性や耐久性には大きな差があります。単なる箱と捉えるのか、保護するための外被・外殻と捉えて剪定するのかで機械・設備の信頼性、寿命は大きく変わってきます。

特に近年は海外向け制御盤や、デジタル化による制御盤の高機能化、止まらない工場や生産性向上へのニーズ拡大により、安全の重要性が再認識されて、頑丈で高信頼性の筐体に対するニーズが増えており、それに合った筐体を選ぶことが大切です。

制御盤の国際規格 IEC 61439やUL508Aなど

では制御盤の安全のためにどんな筐体を選ぶと良いのでしょうか? 答えは簡単です。きちんとした国際規格のテストや試験をクリアし、定量的なデータで信頼性や耐久性が示されているものを使うことです。

そのための基準や国際規格として、最も基本的なものでは、IEC 61439。IEC規格はIEC(国際電気標準会議)が定めた国際統一規格で、IEC 61439はIEC 60349の後継として低電圧開閉装置と制御装置を規定した規格になります。さらにIEC 62208。IEC 62208は、低電圧開閉装置と制御装置アセンブリのキャビネットを規定している規格となり、制御盤の空の筐体を対象にしています。

UL規格は、ULが策定する製品安全に関する民間規格ですが、米国向けの電気製品では認証取得はほぼ必須の主要規格です。このうちUL508Aは産業用制御盤について定めています。
また防水防塵性能を等級で表したIPコードや、同じく衝撃に対する保護等級を表すIKコードもあります。これらは筐体や筐体の防水防塵に対する試験・測定方法を定めたIEC 60529、耐衝撃性能に対する試験・測定方法を定めたIEC 62262をもとにされています。
これらの規格に準拠している、またはそれらを基にした試験・テストに合格した筐体は、国際的に安全性や信頼性が認められたものとなります。制御盤の安全を守る、内部の配電・制御機器を保護して安定稼働させるためには、どういった試験をクリアしたのか、これらの国際安全規格に則っているかどうかを判断材料とするのが効果的です。

国際規格に準拠し、20超の試験をクリアしたリタールの標準筐体

リタールの標準筐体は、国際規格に基づいてあらゆる角度から20種類の試験・検査を行い、それらをクリアした規格取得済みの製品となります。

リタール自身も、品質マネジメントシステムのDIN EN ISO 9001、DIN EN ISO 14001、OHSAS 18001、試験機関としてもDAkkS、UL CTDPの認証を取得し、関連試験は認定社内試験設備で運用しています。

IEC61439とUL508Aに則って耐熱試験、短絡試験を行なっているほか、筐体そのものの性能についてもIEC62208による負荷試験、ひっぱり試験 圧力試験、腐食耐性試験 衛生噴霧試験を行い、クリアしています。環境試験はISO4892、UL1995をもとに実施し、紫外線耐性などの過酷環境での耐性はシミュレーションテストで確認済み。保護等級試験はIEC60529とUL50に則って行い、IP、NEMAの各等級を揃え、異物接触、ほこりや水がかかった状態でも安全に使うことができることを確認しています。

サイズについても、ISO2768をもとに3D測定でサイズを細かく計測し品質チェックをしています。表面処理もISO2178、ISO2360で膜厚試験をし、全てのポイントで膜厚を別の角度・切り口から環境耐性等を確認済みです。また製品は、生産段階から出荷時の定期点検までISO9001に基づいて品質検査も行っています。こうした厳しい試験と基準をクリアした製品を、リタールでは年間で350万台以上、世界中のあらゆる国と地域に出荷しています。

停止しない設備・機械づくりは筐体選びから

たかが筐体、されど筐体。設備を安定稼働させ、止まらずに動かし続けるには、内部機器を外部環境からシャットアウトして不具合や故障のリスクを減らすことから始まります。国際規格の厳しいテストをクリアした筐体で内部機器を守るというのは、一番手軽にできる制御盤の安全保護と言えるのではないでしょうか。



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