基本的な制御回路には必ずといっていいほど使われている部品があります。それがリレーです。
リレーのさまざまな働きを組み合わせることで、複雑な制御も可能となります。リレーの持つ役割と、配線図における表記方法を紹介します。
リレーとはそもそもどのようなもので、どういった種類があるのかを見てみましょう。
リレーは英語で「Relay」と書きます。運動会の種目としてよく知られている、バトンを渡すリレーと同じ意味の言葉です。
電気部品としてのリレーも、運動会のリレーと同様に「受け取って渡す」役割があります。受け取るのはバトンではなく電気信号、渡す先の機器や回路へと電気信号を伝えます。
例えばエレベーターに乗ったとき、閉ボタンを押すと扉は閉じます。ただし、センサーが障害物を検知していると閉じません。障害物が無いことをリレーが制御回路に伝えることで扉は閉じ、さらに階数ボタンに応じた階へと動き出し、そのボタンに対応した階に到達したことをセンサーが検知すると、これもリレーで伝えられて、エレベーターは止まります。すべての電気信号はリレーされて制御部に伝わり、それに応じて次のリレーが始まります。ボタンによる電気信号、センサーからの電気信号などが、上下どちらに進むのか、どの階で止まるのかを判断する条件の一部になっているのです。
このように、リレーは電気信号を受け取り、次の機器や回路へ伝えます。リレーはほぼすべての制御回路に使われている、制御において中核となる部品です。
リレーには大きく分けると、有接点リレーと無接点リレーがあります。
機械的な動作で接点を接触させるのが有接点リレーです。コイルの働きにより電磁作用で接点を開閉させる仕組みが一般的です。有接点リレーでは接点が直接接触するため、接点が少しずつ摩耗していきます。
一方、無接点リレーはその名のとおり接点の接触どころか、接点そのものがありません。半導体の働きによって電気を光に変換し、その光を受光部で受けることにより、再び電気信号に戻します。摩耗する部分がないため、有接点リレーに比べ長寿命です。
有接点リレーは機械的な動きに必要な時間がかかりますが、無接点リレーは光の速さで信号が伝えられるため、非常に速い動作速度を持ちます。
しかし高電圧・高電力を流す場合は、機械的に接触させることのできる有接点リレーが適しています。無接点リレーに高電圧を流すと限界以上の熱を持ちやすく、半導体が破損する可能性もあるのです。
リレーはなぜ多くの制御回路に組み込まれているのでしょうか。リレーの3つの働きを見ながらその重要性を考えてみましょう。
有接点リレーであれば、入力側に電圧を加えるとコイルに磁束を発生させるだけのごく小さな電流が流れます。これにより、入力側とは直接の接触がない出力側の接点が動いて導通します。出力側の接点には容量が定められており、その範囲内で大きな電流を流すことができるのです。
このように、入力側に小さな電流を流すだけで、出力側では大きな電流の流れる負荷のオン・オフができるという点が、リレーの最も大きな役割といえるでしょう。
リレーは入力側と出力側は接していないため、別の種類の電源電圧を接続することができます。
例えば入力側にDC12Vを加えてコイルを作動させた場合でも、出力側には100Vの機器を接続し制御することが可能です。一般的に、入力側で使用できる電圧が定められていて、出力側は流すことのできる電流が接点容量として定められています。
このように、異なる電源間で信号を伝えることができるのも、リレーの重要な役割です。
出力側に複数の接点を持つリレーがあります。2接点、4接点、6接点などがあるほか、三相電源を考慮してつくられたマグネットスイッチは3つの接点を持ちます。
入力側にひとつの信号を入れるだけで、これらの接点が同時に開閉するため、複数の信号として出力することができます。
配線図や回路図、特にラダー図と呼ばれるシーケンス制御の回路図では、多くのリレーがどのように接続され、制御回路がどのように動作しているかも表されています。
このときリレーの役割を持つ部品を表す記号には、何種類かの表記方法があります。リレーの「R」だけで表すこともありますが、「CR」と「MC」と表記されていることもあります。
リレーとマグネットスイッチは、同じ役割を持ちます。信号を1次側に入力することで、2次側の接点が開閉し出力を伝えるという役割です。
一般的に、流れる電気が小さな場合は省スペースで価格も安いリレーが使われます。大きな電気が流れることを想定した場合は、マグネットスイッチが使われています。
「信号を受け取り出力する」ことが制御回路の基本です。複雑な制御システムも、これを複数組み合わせてつくられているといえます。この「信号を受け取り出力する」役割を担う部品こそがリレーです。
PLC(シーケンサ)を使う場合には実際のリレーが使われる部分は少なくなりますが、内部のプログラムには仮想のリレーを複数配置して制御回路をつくることになります。こういったことからも、制御回路において基本となる欠かせない部品がリレーなのです。
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参考:
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