電子回路に欠かすことができないといえるほど、多くの場所に使われているコンデンサとコイル。これらはどのような働きをする電子部品なのでしょうか。電子回路の基本、コンデンサとコイルについて、その働きと原理を解説します。
コンデンサは、電子機器を制御する電子回路に必ずといっていいほど組み込まれている電子部品です。このコンデンサが、どのような働きを持っているのか、どのような目的で使われるのか見てみましょう。
コンデンサは絶縁体を挟んだ2枚の金属板で構成されているものが基本です。この金属板が電極となり、絶縁体には空気や絶縁フィルムなどが使われます。この間に挟む絶縁体は誘導体と呼ばれます。
電極に直流電圧をかけると、電極には電気のもととなる電荷が流れ込みます。電源のプラスをつないだ側にはプラスの電荷(正電荷)、マイナスをつないだ側にはマイナスの電荷(負電荷)が蓄積されます。しかし、電極の間は絶縁されているため電流は流れません。このとき、正電荷と負電荷は磁石のように引き合う性質を持っています。
電極には蓄えられる電荷の量(静電容量)が決まっていて、その量がいっぱいになると電荷は流れ込まなくなります。この状態で電圧をかけるのをやめても、正電荷と負電荷の引き合う力(クーロン力)によって電荷は電極にとどまります。これがコンデンサの充電の仕組みです。
次に、電極にLEDのような負荷をつなぐと、蓄えられた電荷が流れ始めます。これがコンデンサの電気の放出です。電極に蓄えられていた電荷がなくなると、放出が終わりLEDも点灯しなくなります。
コンデンサの充電と放出は、このような基本原理で行われています。
では直流電圧ではなく、交流電圧をかけた場合はどうでしょうか。
直流電圧をかけた場合は静電容量まで充電されるだけで、電気は流れません。しかし交流電圧をかけた場合、2枚の電極に流れ込む正と負の電荷は、1秒間に周波数の回数で交互に入れ替わります。このとき、実際には絶縁体を越えて電気が流れるわけではありませんが、電荷の入れ替わりが繰り返されることで、交流電流が流れているのと同等の動きをします。
これが、コンデンサが直流電流を遮断し交流電流を通す仕組みです。
コンデンサに関して使われる用語または単位として、次の3つが代表的です。
コンデンサと同様に、コイルも電子回路に不可欠といえる素子です。コイルはインダクタ、またはインダクションコイルと呼ばれることもあります。これは、インダクタという素子に一般的にコイルが使われているからです。それでは、コイルの働きを見ていきましょう。
コイルは電線をコイル状に巻いた構造をしています。コイルに電気を流すと電線の周囲には磁界が発生します。コイルが不思議な働きをするのは、この磁界と電流の関係によるものです。
コイルに電気を流すと磁界が発生するのと同様に、磁界を持つもの、すなわち磁石をコイルに近づけたり離したりすることでも、コイルに電流が生じます。これが電磁誘導です。このとき流れる電流は誘導電流と呼ばれます。
ロシアの物理学者レンツは、磁界の変化に逆らう向きで誘導電流が生じることを突き止めました。これがレンツの法則です。コイルには、磁界の向きによって決まった向きに電気が流れます。これは右ねじの法則として知られていますが、誘導電流もこの法則に従って流れます。
こうして、電流の変化により磁界が発生し、磁界の変化によって電流が発生する電磁誘導が、コイルの原理です。
電気回路になくてはならない存在、コンデンサとコイルはどちらも電気と磁気の働きにより、さまざまな特性を生み出しています。コンデンサとコイルは、電気と磁気の関係をうまく利用することで多くの電子機器を動かしているのです。
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参考:
リタールの技術ライブラリ
「規格に適合したスイッチギア及びコントロールギアの製作IEC 61439適用」
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