制御盤の製作において、多くの時間が費やされているのが配線作業です。配線作業はこれまで、専門知識を有する作業者によって行われてきました。しかし今、これをより効率化するためのアプリケーションが提供されています。制御盤の配線作業がどのような転換期を迎えているのか、配線作業に関わる図面と作業フローから考えてみましょう。
制御盤の配線作業を進める際に、必要となる図面が配線図です。制御盤製作の熟練者が多く所属する会社では、この配線図と部品表をもとに、職人技で制御盤を組み上げていきます。
しかし、リードタイムの短縮と効率化が求められる現在の制御盤製作業界では、熟練者の職人技にばかり頼っているわけにはいきません。そこで必要となるのが、レイアウト設計図のような具体的な指示図面です。
可視化と標準化を実現するために、今後必須になると予想されるレイアウト設計図と配線図が、現在どのような形で運用されているのか見てみましょう。
レイアウト設計とは、制御盤内において物理的に機器がどのような配置になるかを設計することで、これを図面にしたものがレイアウト設計図です。
配線図は、制御のための機器と機器が電気的にどのようにつながるかを示したものです。制御盤製作の現場では、配線図は製作指示書という名前で呼ばれることもあります。
「部品Aの端子アと、部品Bの端子カを6mmΦ(ファイ)の赤色ワイヤーで接続」といった内容が記載されており、これをもとに作業を進めていきます。
ここで、制御盤の配線作業における具体的な作業手順を見ながら、作業上の課題を考えてみましょう。
制御盤の配線作業は、製作会社や作業者によって工程はさまざまですが、一般的に次のような流れで進められます。
この作業フロー例では、1の工程にレイアウト設計が深く関わります。制御盤に取り付けられた機器と配線図を見比べながら、電線の通り道を考え電線長を計測する必要があるためです。また、2と3の工程でも配線図を確認しながら作業を進めていきます。
作業の効率と確実性を決定づけるのは、作業者の熟練度や経験、知識です。配線ルートの選定や配線長の決定は作業者の経験と熟練度によって異なるため、経験の浅い作業者には難しい作業となります。
また、納品後に修理・改修する場合には、保守担当者は作業者の傾向を把握し、思考を予測するところから始めなければなりません。このような点から、制御盤の配線作業について、効率化できる多くの可能性が残されているといわれてきました。
制御盤の配線における作業効率が、作業者の経験と熟練度に左右される時代は、もうすぐ終わるかもしれません。
電気設計CAD分野において世界ナンバーワンのシェアを持つEPLAN社では、Smart Wiringというアプリケーションにより、制御盤製作の課題である標準化・効率化に取り組んでいます。
EPLAN Smart Wiringを使うことで、作業上のヒューマンエラー率を大幅に削減することができます。正確な作業が可能となることで手戻り(前の工程に戻ってやり直すこと)を防ぎ、作業時間の節約にもつながります。
また、作業が標準化・非属人化され、作業者の熟練度に左右されることなく統一された配線が可能です。
制御盤の配線作業は、これまで作業者の知識と技術によって支えられてきました。配線作業において重要であるこのような専門技術を、EPLAN Smart Wiringはシステム内に組み込んであります。制御盤の配線作業は、先人たちが育んだ技術を生かしながら、次の時代への転換期を迎えています。
参考: