制御盤の架台はどのような役割を持っているのでしょうか。ここでは制御盤の架台について必要な機能、製作時の材料選びや設計方法、強度計算などについてご紹介します。
制御盤をある程度の高さに設置したり、壁から離れた場所に独立して設置したりするような場合に、架台が使われます。制御盤の架台にはどういった条件・機能が求められるのでしょうか。
架台の「架」は「のせる・かけわたす」という意味がある字で、それ1文字でも「たな」と読みます。ここからもわかるように、架台とはものを載せるための台です。
しかし、日常生活で使う台や棚を架台と表現することはありません。架台という言葉が一般的に使われるのは、制御盤やキュービクル、空調機器やサーバーラックなど重量のある設備・機器をのせて設置するための台を指す場合です。また、太陽光発電でのソーラーパネルを並べて配置するための骨組みも架台の一種です。
設備を載せて設置するための台という役割から、架台には次のような条件や機能が求められます。
架台はサイズ・強度・安全性・耐食性・耐候性などを考慮し設計します。架台の材料選定と設計の進め方を見てみましょう。
次のような材質によって架台は作られます。
実際の製作の際は、これらの材質でできた角パイプやL字鋼(アングル)、場合によっては支柱として丸パイプを使う場合もあります。アルミ製の架台では、より高強度を確保できるアルミフレームが多くの場合使用されています。
架台の設計は取り付ける制御盤や設備のサイズ、穴位置、設置場所などを考慮して行います。
大型の制御盤であればより大きな耐荷重も求められるため、架台に使う鋼材も厚く幅広のものが必要となります。また、耐荷重確保や梁のたわみを防ぐため必要に応じて柱を追加していきます。
制御盤との固定については、架台側に埋め込みナットとするのか、貫通穴でボルト・ナット固定するのかによって施工性を考慮した設計をします。ボルト・ナット固定の場合両側に工具を入れることを考え、固定部には平鋼を使う場合もあります。
強度に関しては構造物の強度計算をもとに十分な耐荷重・耐震性を満たすよう設計されます。
架台の強度を計算するときには、荷重に対し柱1本あたりの断面にどれくらいの圧力がかかるかを基準として計算します。しかし、枠状に組んだ架台の場合、スパンの長短やひずみ、たわみなどを考慮して連続梁の応力を計算しなければなりません。
こういった構造強度を計算する際には、強度計算のためのソフトが多く存在するので、それらを活用すると効率的です。
架台の設置方法としては、アンカーボルトによって固定する方法が一般的です。使用するアンカーボルトの種類や本数は、架台および制御盤または設備の大きさや重量によって決めます。一般的には、大型の主要設備であれば埋設アンカーで前施工をし、小型のものはメカニカルアンカーで後施工によって固定されます。
制御盤や設備の設置で使われる架台について、求められる条件や設計方法、強度の基準などをご紹介しました。
制御盤は大型のものになるとかなりの重量になり、強固に固定されていなければ危険です。壁際でない場合は制御盤を自立させて設置することになりますが、そのままでは操作性やメンテナンス性が悪くなるため、ある程度の高さを確保して設置します。このとき重要になるのは、制御盤の「脚」とも言える架台の強度と安全性です。
架台は使用環境に応じて求められる機能を持ち、十分な強度を備えたものを使用しなければなりません。
参考:
リタールの技術ライブラリ
「規格に適合したスイッチギア及びコントロールギアの製作IEC 61439適用」
本冊子は、新規格IEC 61439 準拠に必要な様々な対策を講じる上でのお手伝いをするために作成しました。リタール製規格適合システム製品の利用に関するご相談から貴社機器の要求設計や日常検査のご提案まで、幅広くご利用ください。
※新規格IEC 61439における変更点の他、「設計検証報告書」の作成方法などについて、85ページにわたって解説しています。