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    制御盤を構成する2つの回路―動力回路と制御回路

    機械をオペレーターが自由に動かすための機器として制御盤があります。制御盤は複雑な回路を構成していますが、その中身は大まかに「動力回路」と「制御回路」に分けられます。動力回路と制御回路とはどのような回路なのでしょうか? 本稿でご紹介します。

    制御盤の動力回路と制御回路

    複雑な回路を構成する制御盤も、大まかに分けるとその中身は動力回路と制御回路の2つです。動力回路とは機械の各動力部に電気を供給して動かすための回路、制御回路はさまざまな入力信号を受け取り、機械を動かすための条件付けをする回路です。制御盤は制御回路を介すことで動力回路のスイッチやインバーターを意図したタイミングで動かしています。なお、制御回路は単相で構成されています。 

    制御盤における動力回路と制御回路の構造

    では、制御盤における動力回路と制御回路はどのような構造をしているのでしょうか。見ていきましょう。

    • 「動力回路」

    動力回路では制御盤のスイッチやインバーターなどを通り、モーターやヒーターなど各機械の動力部に電気を供給しています。この際、動力回路に使われる機器にはブレーカーや電磁開閉器、サーマルなどがあります。もし、動力回路でR・S・Tの3相200V電源を使用したと仮定すると、制御回路にはこの内のRとSが使われるのが一般的です。Sには各機器の電源部が接続され、R側に機器のa接点またはb接点を挿入することで制御が行われます。また、電源装置で交流から直流24Vに変換されて使われることがあります。これは交流より直流の方が感電に対する安全性が高いため、必要に応じて、そのように設計されているのです。

    • 「制御回路」

    制御回路には機械を動かす条件付けをするため、調節器や操作機、検出器、指示計器とさまざまな機器が利用されます。例えば温度により制御される回路を仮定すると、まず温度計などの検出器で検知したデータを電気信号に変換します。そのデータを指示計器に送って人に見える形にし、同時に調節器にも送ります。そして設定値以上でヒーターON、設定値以下でヒーターOFFの信号をそれぞれ操作機に送ります。以上により、自動制御を実現するのです。

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    動力線と制御線、役割によって変わる配線

    制御盤における動力回路と制御回路の構造がある程度わかったところで、制御盤内における配線について見ていきましょう。

    制御盤にける動力回路で使われる配線を「動力線」、制御回路で使われる配線を「制御線」と言います。動力線は機械や電子機器を作動させるために必要となる電力を供給するための電線で、制御線は制御回路の条件付けのため機械や電子機器のオンオフ切り替えや、設定された値を出力する命令を出すための電線です。

    制御盤内で使われる配線には他に「信号線」と「通信線」があります。

    これは、アナログやデジタルなど信号を伝えるためのものを「信号線」、通信機器やパソコンとの連動を行っている線を「通信線」と呼びますが、広義に見ればこれらも「制御線」の一種です。

    そのため、多くの制御盤は「動力線」と「制御線」で構成されていると言えます。

    なお、制御盤で使われる配線は役割別に使い分けます。各役割、流す電流に応じて電線の種別、太さを選定し、さらに色分けにより違いを明確にしておくことが基本です。客先仕様によって決まっている場合もあれば、規格に準拠することを求められる場合もあります。

     

    制御盤における、「動力回路」と「制御回路」について一層理解を深めよう

    制御盤の電気設計をするためには、「動力回路」と「制御回路」の2つの回路の意味を理解しておく必要があります。本稿でご紹介した内容はごく基本的なことですが、今後一層深く理解していくための足がかりとしいただければ幸いです。

     

    参考:

     

    リタールの技術ライブラリ
    「規格に適合したスイッチギア及びコントロールギアの製作IEC 61439適用」
    本冊子は、新規格IEC 61439 準拠に必要な様々な対策を講じる上でのお手伝いをするために作成しました。リタール製規格適合システム製品の利用に関するご相談から貴社機器の要求設計や日常検査のご提案まで、幅広くご利用ください。
    ※新規格IEC 61439における変更点の他、「設計検証報告書」の作成方法などについて、85ページにわたって解説しています。