導体抵抗-物質の電気の通りにくさを見る指標

すべての物質には基本的に電気が流れますが、導体抵抗の大小により電気の流れやすさが変わってきます。導体抵抗の値によっては電気がまったく流れない物質もあります。そもそも導体抵抗とはどのようなものなのでしょうか?

導体抵抗とは

物質は電気伝導性の違いにより絶縁体と半導体、そして導体に分類されます。この3つの物質の間には電気伝導性に桁違いの差があり、導体が最も電気伝導性が良く、絶縁体が最も悪くなります。絶縁体のなかにも極めてわずかだけ電気伝導性を持つものも一部ありますが、一般的にはまったく持ちません。

電気伝導性が良いということは電気がよく流れるということ、つまり「抵抗値」が小さいということを意味します。各物質は固有の抵抗値を持ち、それが「導体抵抗」です。導体抵抗が小さい材料としては、金や銀、銅、アルミニウムなどが知られており、電線やケーブルの芯線などには銅やアルミニウムなどが利用されています。

 

導体抵抗の考え方

導体抵抗の値は導体の長さと断面積により変化します。

その理由を、一般的な導体である金属導体で考えてみます。導体抵抗は、導体の中を移動する「自由電子」と「金属原子」の相互作用の結果です。電気が流れると導体の中を自由電子が移動し、その際導体の中に存在する金属原子と衝突します。この自由電子と金属原子の衝突による電気の流れにくさが抵抗です。

例えば、導体の長さが半分になるとしましょう。導体が短いと、導体の中を自由電子が移動する際に生じる金属原子が減り、自由電子の流れをさえぎるものが少なくなるため、衝突回数が減ります。その結果、長さに比例して導体抵抗の値も変化し半分になるのです。では、断面積についてはどうでしょう。断面積が広くなるほど自由電子の流れをさえぎるものは少なくなるため、導体抵抗が小さくなります。実際、導体抵抗は断面積に対しては反比例します。そのため、導体の断面積が2倍になると、導体抵抗は半分になるのです。

この導体抵抗の概念はホースとホースの中を流れる水に例えられることがあります。ホースが長くなるほど水は出にくくなり、ホースの径が大きくなるほど水は出やすくなることは、何となくイメージできるのではないかと思います。水が出にくくなるということは抵抗が大きくなるということ、出やすくなるということは逆に小さくなるということです。

ここでご紹介した導体抵抗の考え方を式に表すと、以下のようになります。
R[Ω]=ρ[Ω・mm2/m]・L [m] / S [mm2]
なお、Rは導体抵抗、ρは抵抗率、Lが長さでSが断面積です。抵抗率ρについては次で詳しく説明します。

 

温度と導体抵抗

抵抗率ρは単位長さあたりにおける物質固有の抵抗値です。物質により抵抗率は異なり、抵抗率が大きいほど電流は流れにくくなります。先の公式を見ても、抵抗率が上がれば導体抵抗も比例して大きくなり、電流が流れにくくなることを示すことがわかるでしょう。

抵抗率はその物質固有の数値ですが、その値は温度によっても変化します。導体において、物質は温度が上昇するほど抵抗率は大きくなり、低下するほど小さくなります。これは、金属原子が温度によって振動することに由来しています。固体の中の原子は自由に動くことはできませんが、温度が高くなればなるほど振動が大きくなり、自由電子と衝突しやすくなります。この振動は、逆に絶対零度、つまり-273℃まで温度を下げると停止し、物質の抵抗率はほぼ0Ωになるとされているのです。このように温度によっても導体抵抗の値は変わってくるため、設計する際には使用環境を考慮しなくてはならない場合があります。

なお、「温度が上昇するほど抵抗率が大きくなる」現象は導体のみの話で、半導体についてはあてはまらず、「温度が上昇するほど抵抗率は小さくなり、低下するほど大きくなる」という現象も起こります。

 

「導体抵抗」は電気の流れにくさを表す重要な指標

通常の電気設計では、あまり考慮する必要はありませんが、微弱な電流になればなるほど無視できなくなる「導体抵抗」。物質における電気の流れやすさを表す、重要な指標の一つです。

 

 


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