短絡電流から回路を保護するには―発生メカニズムと計算方法

短絡電流とはどのような場合に発生する電流でしょうか。また、短絡電流によりどのような事故へとつながる可能性があるのでしょうか。短絡電流の発生メカニズム、短絡電流から回路を保護する方法、短絡電流値の計算方法などをご紹介します。

短絡電流とは?

短絡電流はどのような場合に発生する電流で、どういった事態を引き起こす可能性を持っているのでしょうか。

短絡発生時に流れる電流

電気回路において、二つの点が低いインピーダンスで電気的に接続されてしまった状態を短絡、ショートといいます。

このときに流れる電流が短絡電流です。短絡している状態では負荷抵抗が電線抵抗のみとなるため、設計上の許容電流を超える電流が流れます。このことから、一般的に短絡電流は許容電流を超える大きな電流となります。

短絡電流によって起こりうる事態

では短絡電流によって何が起こるのでしょうか?

先述のとおり設計上で想定されている許容電流を超えるため、短絡電流が流れる機器やケーブルは異常発熱します。これにより電気回路や接続されている機器が焼損する可能性があり、発熱が大きい場合には発火により大規模な火災につながる恐れもあります。

最悪の場合、短絡電流は大きな事故につながる可能性のある、非常に危険なものとして認識しなければなりません。

短絡電流からの保護

短絡電流から回路を保護するためには、電路の遮断が必要です。このとき、段階的な遮断により広範囲に被害が広がらないようにすることを保護協調といいます。保護協調には、いくつかの方法があります。

遮断器による保護

遮断器によって電路を遮断する方法です。遮断器の定格遮断容量以下の短絡電流であれば、この方法で保護できます。

しかし、定格を超える短絡電流が流れた場合には遮断器が作動しない場合があり、短絡状態が継続してしまいます。この場合は、さらに一段回上位の遮断器で遮断することになりますが、遮断される回路も同時に一段階広範囲になります。

限流ヒューズによる保護

短絡は大きな衝撃や発熱を伴うことが多く、電線や遮断器に大きな負担をかけます。これを未然に食い止めるのが限流ヒューズです。限流ヒューズは短絡電流が最大になる前に溶断することで電路を遮断するため、各部に大きな負担となる前に電路から切り離すことができます。

保護協調を考慮した場合、変圧器やコンデンサごとに限流ヒューズを設け停電範囲を狭く抑えるよう設計する場合もあります。

短絡電流の計算

このように短絡電流の発生に対し、保護協調を考慮したうえで遮断器や限流ヒューズを設置する必要があります。このとき、遮断器や限流ヒューズを選定するためには想定される短絡電流の大きさを知る必要があります。

短絡電流は低いインピーダンスで接続された状態に流れる電流です。こういった場合の計算では、機器の内部インピーダンスによる電圧降下を考慮しなければなりません。

そこで用いるのがパーセントインピーダンスです。パーセントインピーダンスは、定格電流を流したときに機器の内部インピーダンスによって起こる電圧降下を、定格電圧に対するパーセントで表したものです。

定格電流I(A)を流したときのインピーダンスがZ(Ω)、定格電圧V(V)、定格容量P(kVA)とすると、パーセントインピーダンスは次のように求められます。

162-1.jpg

このとき、三相交流回路で発生しうる短絡電流00.jpgは次のように求められます。

162-2.jpg

単相回路では、短絡電流0.jpgは次のようになります。ただし、電線のインピーダンスが往復電路にあることになるため2倍で計算しておかなければなりません。

162-3.jpg

162-4.jpg

現在はこういった計算を実際にすることは少なく、短絡電流を自動計算するソフトやアプリケーションが公開されています。それらを利用し確実な機器選定を行うとよいでしょう。

事故を最小限に食い止めるために

短絡電流について、その特徴と回路を保護する方法をご紹介しました。

短絡電流が発生すると、ケーブルや機器の焼損だけでなく、発熱による火災が発生し人命に関わる事故へと発展する恐れもあります。短絡電流を小範囲で食い止めるよう保護協調を考慮した設計を行い、計算から想定した短絡電流に適した遮断器または限流ヒューズを設置するようにしましょう。

参考:

規格の企画_海外向け制御盤製作に役立つIEC 61439とULの基礎知識
海外向け制御盤製作に役立つIEC 61439とUL規格の情報を分かり易くまとめました。規格の企画(Rittal).jpg

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