私たちの周りには、電気で動く多種多様な機械があります。その多くは複雑な制御が必要であり、制御のためにさまざまな盤が使われています。盤と聞くと制御盤が真っ先に思い浮かぶかもしれませんが、制御する盤にはほかに計装盤と監視盤があります。三つの盤はどのように異なるのでしょうか。本記事でご紹介します。
まずは計装盤、監視盤と制御盤についてご紹介します。
計装盤とは主に測定作業に用いる制御装置のことを指します。近年の機械はシステムも複雑になっていることから、測定するデータも電流や電圧、部品にかかる負荷、熱などさまざまです。例えば、あるシステムの一部を測定する際、該当箇所に必要となる測定器具を持っていき作業をしなくてはいけません。しかし計装盤があれば、盤上ですべての必要なデータを計測することができるのです。
監視盤はシステムの監視を一元で行えるようにするために使う制御装置です。一つのシステムは電力や動力、空調などさまざまな要素により構成されています。監視盤があればこれらすべての要素を一元で管理することができ、なおかつ記録も行えます。監視盤の利用によりシステムの状態に関する正確な記録を自動で残すことができます。
計装盤は測定に、監視盤は監視記録に特化した制御装置でしたが、制御盤はシステムの制御を可能にする制御装置であり、システムにおける脳のような存在です。制御盤一つあることで、システムの操作性は格段に向上します。
計装盤や監視盤、制御盤についてご紹介しましたが、ではそもそもなぜこれらが必要になるのでしょう。私たちの身の回りにはたくさんの機械設備があり、その多くが自動で動いています。機械設備は規模が大きくなればなるほど、動作が多くなればなるほど、構成するシステムは複雑になってしまいます。システムが複雑になれば、その制御や管理は難しくなってしまいますが、計装盤や監視盤、制御盤を導入することで正しく効率的に制御することが可能になるのです。
また、機械化による自動化が進んだ現代においても、異常が発生した際の緊急判断や対策は人の目や手で行われます。そのため安全で正確な運用をするためには、必要な情報を瞬時にかつ正確に人へ伝えるシステムが必要です。計装盤や監視盤、制御盤はそのシステムにおける大きな役割を持ちます。
最後に実際にどのように使われているのかをご紹介します。
通常エレベーターは複数が同時に動いているため、正しく制御しなくては効率的な移動ができません。また、エレベーターは人を乗せて上下に移動する設備ですので、異常が発生した際は早期発見をしなくては人命にかかわってしまいます。
そこで計装盤や監視盤、制御盤を導入し、常に機器の状態をチェックします。それら盤の働きにより、異常があればすぐに発見して対処をし、必要な制御を可能にします。
工場の中ではさまざまな機械が同時に稼働しており、規模も大きいことから機器の配置も複雑かつ広範囲に及びます。計装盤や監視盤、制御盤の導入により、広範囲にある工場設備のシステムを一ヶ所で管理および制御することが可能になります。それにより、システム異常にも早く気づくことができ、効率的な運用を実現できます。
本記事では計装盤、監視盤そして制御盤の違いや使われ方をご紹介してきました。製造業に携わる人であれば、いずれも目にすることが多いでしょう。設計に組み込むなど実際に盤を使う際には、その用途をしっかり理解したうえで行うことが大切です。
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