ドイツの電力自由化と日本の電力自由化および事業者間の競争について

世界的な電力自由化の波を受けて、日本でも本格的に電力自由化が進みつつあります。一足先に全面自由化となった先進国ではどのような状況なのでしょうか。また、日本ではどこまで進み、どのような変化が見られるようになったのでしょうか。今回はドイツを例に海外の電力自由化の状況と、日本における電力自由化の現況、併せて電力事業者間の競争について見ていきます。

ドイツの電力自由化

ドイツでは1998年に施行されたエネルギー事業法によって電力の全面自由化が実施され、電力の購入先を自由に選択できるようになりました。自由化された当初はE.ON、RWE、EnBW、そしてVattenfallの4大事業者で小売市場を独占しており、2010年時点でも同4事業者で、54%を占めていました。

しかし自由化が進み、競争が活発化したことで、4大事業者のシェアが低下。2016年には製造業などの大口需要家で28%、小口需要家で34%となりました。それにより、ヨーロッパで最も高額と言われていた電気料金が、産業用ではありますが、一時20%から30%の幅で抑えられる効果が見られたのです。

しかし、近年、系統利用料金(連邦系統規制機関が設定する送電線の利用料金)や電力税(環境税)などが上昇し、料金水準は再び、ヨーロッパでも高いと言われる水準まで上昇しています。

 

日本の電力自由化

上述のドイツのように、1990年代に電力の規制緩和の流れが世界規模で起こりました。その流れを受け、日本でも高コスト構造の解消などを視野に、1995年に電気事業法が改正されました。その後も規制緩和の流れは継続し、1997年に閣議決定された「経済構造の変革と創造のための行動計画」の中で、2001年をめどに国際的なコスト水準を目指して国内の電気事業を見直すことに言及。これを受け、1999年は電気事業法が再度改正されました。

その結果、2000年3月から、大規模工場や病院など契約電力2,000kW以上の特別高圧需要家限定で、小売部分の自由化が行われました。2004年4月には中規模工場やスーパーマーケットなど契約電力500kW以上の高圧大口需要家へ、翌年2005年4月には小規模工場やオフィスビルなど契約電力50kW以上の高圧小口需要家へと段階的に引き下げられ、自由化の対象がすべての高圧需要家へと拡大されました。

そして2016年4月、一般家庭へも対象を拡大し、「小売全面自由化」がスタートしたのです。

 

日本における電力事業者間の競争

小売全面自由化後も、発電所を所有する従来の電力会社が依然優位ではありますが、少しずつ変化の兆しが見られるようになってきました。

ただし、これは自由化の影響というよりも、「再生可能エネルギーの増加」と「省エネ思考」によるものです。再生可能エネルギーの増加は火力発電所稼働率の低下につながり、電力会社の発電事業での収益を上げにくくする原因になります。また、省エネ化が進むことにより電力使用量そのものが減少すると、当然利益は少なくなります。今までのやり方では従来の電力会社も十分な事業成果が出しづらい状況になってきていると言えます。そこで、電力会社が進めているのが、新規電力事業者との提携や出資、買収。消費者とのつながりが強い地域の事業者と結びつくことで、営業力強化を図っているのです。

一方、新規の電力事業者が生き残っていくには、例えば、強みである地域密着性を活かし、住宅リフォームやハウスクリーニングをセットにするなど、消費者とのつながりを一層強固なものにしていく必要がある状況となってきています。

 

電力自由化の流れに、今後も注目し続けよう

世界各国で進められている電力自由化ですが、現状明らかな成功を収めている国はまだないと言えるでしょう。日本においては結果を評価できる段階ではなく、将来も不透明です。それでも自由競争が正しく展開されれば、私たち消費者が恩恵を受けられることは間違いありません。そのためにも、引き続き私たちがその流れに関心を持ち続ける必要がありそうです。

 

 

参考:

 

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リタール公式Webサイト

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