電力、エネルギー業界で導入が期待されるIED

保護制御ユニットである高性能電子装置(Intelligent Electronic Device, IED )は国際規格IEC61850により標準化され、さまざまな国の電力設備などに普及しています。電力の制御系統に使われることが多いIEDですが、そもそもIEDとは何なのでしょう。本記事でご紹介します。

 

IED(Intelligent Electronic Device, 高性能電子装置)とは

IEDを日本語で表すと高性能電子装置であり、Intelligent Electronic Deviceの頭文字をとった略称です。電力設備における電力システムは変圧器、コンデンサなど複数の電力機器で構成されており、それらをコンピュータを使い制御しなくてはいけません。近年はマイクロプロセッサにより制御されるようになり、このコントローラをIEDと呼びます。

IEDの特徴とメリット

では、IEDの特徴とメリットについて見ていきましょう。 

特徴

IEDは電力システムの保護リレー機能をひとつのユニットにまとめた機器です。IEDは電源装置やセンサなどから受信したデータより電流や電圧の異常を検出することができます。そして、各保護リレーに受信したデータに基づき停止信号といった制御信号を送る、または安全なレベルまで電圧レベルを調整することができるのです。さらに、保護や制御のほかにも、計測や記録、通信までを行える多機能な装置と言えます。

メリット

保護リレー機能をひとつにまとめられることから、コストを抑えられます。また、機器をひとつにまとめていることから機械部品の数を劇的に少なくでき、部品故障を起こす可能性を低くして信頼性の向上が図れます。機器の配置変更の際、多くの機器が配線でつながっているよりIEDがひとつ設置されている方が、移動は容易になるでしょう。

さらに多機能で柔軟性に優れており高度な汎用性も併せ持つため、各ユーザーでの取り扱いが容易で、用途に応じたセッティングをすることが可能です。機器を構成しているモジュールは標準化されており、故障した際にはモジュールの交換のみで修理ができます。この操作性や汎用性の高さは運用効率の向上にもつながり、IEDを導入することにより電力系統の運用コストの削減が期待できます。これは、人員の確保が困難であり、設備の老朽化が進む現代において、極めて大きなメリットと言えるでしょう。

 
 

IEDについて国際的に定めた規格IEC61850

IEDの国際規格としてIEC61850が存在します。その概要とメリットをご紹介します

IEC61850の概要

IEC61850は、変電所内のさまざまなメーカーのIED間の情報交換を標準化するために制定されました。従来使われてきたプロトコル以上の内容を細かく規定しているため、広い領域で適用できるとされています。

現在全世界で多数の変電所が採用しているスマートグリッド(次世代送電網)に関する国際標準規格にもなっており、今後は電力産業以外での適用も検討されています。

IEC61850で標準化することのメリット

IEC61850を導入することによりIEDが標準化され、製作やメンテナンス性、操作性の向上が図れます。IEC61850には変電所構成言語についても定義されています。それにより、電力システム機器を製造している各メーカーは機器の構成言語を同じ言語にすることになり、機器間の設定や機能といった情報交換を容易にします。その結果として電力システム全体を制御する言語も統一されるため、各ユーザーでの設定変更やメンテナンスを独自で行うことが容易になり、メーカーに頼る頻度を減らすことが可能になります。

 

IEDが電力・エネルギー業界、そして私たちにもたらす未来

国際規格IECによって標準化されたIEDの導入を、日本でも積極的に検討されるようになりました。IEDの導入によりシステムが効率化されれば、私たち消費者にも利益が還元され、より良い生活を送れることになるはずです。

また、IEDやIEC61850の知識を身に付けておくことは、エンジニアとしての今後の活躍の場を広げることになるかもしれません。


参考:

リタールの技術ライブラリ
「規格に適合したスイッチギア及びコントロールギアの製作IEC 61439適用」
本冊子は、新規格IEC 61439 準拠に必要な様々な対策を講じる上でのお手伝いをするために作成しました。リタール製規格適合システム製品の利用に関するご相談から貴社機器の要求設計や日常検査のご提案まで、幅広くご利用ください。
※新規格IEC 61439における変更点の他、「設計検証報告書」の作成方法などについて、85ページにわたって解説しています。

リタール公式Webサイト

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