三相交流回路での相電圧と線間電圧-スター結線とデルタ結線

三相交流回路では、相電圧と線間電圧について考慮しなければなりません。そもそもこのふたつの電圧と、一般的にただ電圧といったときとはどう違うのでしょうか。それぞれの意味と、三相交流回路における相電圧と線間電圧の関係について紹介します。

三相交流における3つの電圧

相電圧、線間電圧それぞれの意味と、三相交流の電圧といったときはどういった意味なのかを見てみましょう。

相電圧とは

三相交流は3つの相からなります。このとき、それぞれの相と大地(グランド)との間の電位差、すなわち相が持つ電圧が相電圧です。

同じ巻き数のコイルを120度の角度差で設置し、その中心で磁石を回転させると、それぞれのコイルに差し掛かった瞬間に起電力が発生します。このときの起電力をグラフにすると、120度の位相差を持つ3本の正弦波が表されます。この3つの起電力それぞれが相電圧であり、3つの相電圧を合わせたものが三相交流です。

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(参照:電力設備からの電磁界(三相交流)|電磁界情報センター

三相変圧器(トランス)では、コイルの巻線に発生する電圧をそのまま相電圧と考えることができます。

線間電圧とは

相電圧がそれぞれの相の対地電圧であるのに対し、線間電圧はふたつの相と相との間、つまり線と線の間の電圧をいいます。三相交流のような多相交流回路では、隣りあう線間の電圧が線間電圧です。

 

三相交流の電圧とは

ではただ「電圧」といったときは相電圧、線間電圧のどちらを指すのでしょうか。正確にはどちらでもありません。

三相交流の電圧とは、3つの相電圧を重ね合わせ、平均した電圧のことをいいます。また、一般に表記されている定格電圧とは、線間電圧のことを指すため注意が必要です。

スター結線とデルタ結線

三相交流電源からの電気を効率よく使うことのできる負荷として、三相誘導モーターが代表的です。三相交流のそれぞれにおける相電圧・相電流をそのままの負荷で使うため、120度の位相差を利用して起電力を誘起し回転力を得ることができるからです。

こういった三相負荷の結線方法には、スター結線とデルタ結線があります。スター結線はその形からY結線、デルタ結線はΔ結線とも呼ばれます。

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(参照:誘導電動機の始動方法、速度特性、制動方法|公益社団法人 日本電気技術者協会

スター結線における相電圧と線間電圧

上の図(a)で表されるように、スター結線は隣接する負荷Rの一端が集合して接続されています。ひとつの負荷にかかる電圧が相電圧となります。

1本の線に生じる線電流 IY は、ひとつの負荷に生じる相電流と同じなので、スター結線では次のような関係が成り立ちます。

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次に線間電圧を考えてみましょう。図(a)において、線間電圧は線と線の間の電圧Vです。このとき、ひとつの負荷にかかる電圧が相電圧であり、線間電圧Vはふたつの負荷に対しての電圧であるため、相電圧と線間電圧は異なります。また、ふたつの負荷にかかる電圧には120度の位相差もあります。

この位相差と相電圧をベクトルで表すと、次のようになります。

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(参照:三相交流電圧(電流)不平衡(率)の計算・測定方法とその影響・対策|公益社団法人 日本電気技術者協会

線間電圧Vはこのベクトル2本を合成した値となり、次のような関係となります。

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デルタ結線における相電圧と線間電圧

デルタ結線の場合、線間電圧から考えてみましょう。

上の図(b)で、線間電圧Vはひとつの負荷にかかる相電圧と同じです。よって次のようになります。

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一方、デルタ結線の線電流Iは、ひとつの負荷に生じる相電流に対し30度遅れの位相を持ちます。また、ふたつの負荷に生じる相電流を合成して計算する必要があり、こちらもベクトル合成から次のような関係が成り立ちます。

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スターデルタ始動法

一般的に電動機の始動時は、急速に回転を上げようとするため大きな電流が生じます。これを防ぐため、回転をゆるやかに上げていく方法として、スターデルタ始動法(Y-Δ始動法とも呼ばれる)があります。スターデルタ始動法には、スター結線とデルタ結線を組み合わせた回路が使われています。

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(参照:誘導電動機の始動方法、速度特性、制動方法|公益社団法人 日本電気技術者協会

スター結線、デルタ結線それぞれにおける相電流と線間電圧の関係を合わせて考えると、次の式が成り立ちます。

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 したがって、始動時にはスター結線を使うことで始動電流を1/3に抑えることができます。電動機が加速して始動電流が減少したあとは、線間電圧と相電圧の等しいデルタ結線に切り替えることで、直接電源電圧を印加した状態で運転されます。

 

結線の方法により相電圧と線間電圧の関係は変わる

三相交流における相電圧と線間電圧について解説しました。

三相交流回路では、スター結線かデルタ結線かといった結線方法によって、相電圧と線間電圧の関係が変わります。利用する状況や条件に合わせて、どのような結線方法をとるか選定する必要があります。

 

参考:

 

リタールの技術ライブラリ 「規格に適合したスイッチギア及びコントロールギアの製作IEC 61439適用」

本冊子は、新規格IEC 61439 準拠に必要な様々な対策を講じる上でのお手伝いをするために作成しました。リタール製規格適合システム製品の利用に関するご相談から貴社機器の要求設計や日常検査のご提案まで、幅広くご利用ください。 ※新規格IEC 61439における変更点の他、「設計検証報告書」の作成方法などについて、85ページにわたって解説しています。

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