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データセンターとティア、その関係性とは?

作成者: admin|Nov 28, 2018 11:11:00 AM

近年インターネット技術の発展に伴い、クラウドコンピューティングの導入が積極的に進められています。クラウドコンピューティングに欠かせない存在となる、データセンター。用途により、高い信頼性を持つタイプや低コストタイプなど、さまざまなデータセンターがつくられています。そのようななか、品質基準を定義する指標としてティアが策定されました。では、データセンターやティアとは具体的にどのような意味なのでしょうか?

施設であるデータセンターと、その基準であるティア

まずデータセンターとティアについて、それぞれ説明します。

データセンター

インターネット用のサーバやデータ通信、または各種電話(固定用、携帯、IP)などの装置を設置・運用することに重点を置いた建物をデータセンターといいます。分散するIT機器を集約して設置することで、効率よい運用が可能です。
通信回線が大量に必要なため、通常のオフィスビルと比較して非常に多くの通信回線が引き込まれており、複数の通信事業者との通信回線の利用が可能です。また、災害時にもサービス提供に支障をきたさないよう、建物は耐震構造になっています。さらに、停電時に備え、大容量の蓄電池、自家発電装置などが設置されています。火災時にも機器を極力傷めないよう、消火設備には二酸化炭素やフロンガスが使われており、スプリンクラーは備えられていません。

ティア

データセンターに求められる信頼性を実現するためのファシリティ基準を定めた、ティア(Tier)と呼ばれる品質基準があります。ティアはアメリカの民間団体であるUptime Instituteにより、グローバルな実情に合わせたファシリティ基準として作成されました。しかし、ティアには日本の実情が考慮されていないという問題があったのです。そこで、日本の実情を考慮した日本独自のファシリティ基準として、日本データセンター協会(JDCC)が、「データセンター ファシリティ スタンダード」を制定しました。

仕様により異なるティアレベルとは?

ティアには、災害時に想定すべき事象やエンドユーザの稼働信頼性などによりレベルが設けられており、数字が大きくなるほど要求も厳しくなります。

  • ティア1

想定すべきエンドユーザの稼働信頼性は99.67%以上とされています。災害(地震や火災など)時に建物として一般レベルの安全性の確保が必要です。瞬間的な停電であれば、コンピューティングサービスの提供を継続できる設備があり、サーバ室へのアクセスも管理されます。

  • ティア2

想定すべきエンドユーザの稼働信頼性は99.75%以上とされています。停電に対してはティア1と異なり長時間でもコンピューティングサービスを継続できる設備の設置も求められています。そのほかの点についてはティア1と同レベルです。

  • ティア3

想定すべきエンドユーザの稼働信頼性は99.98%以上とされています。災害時に建物は一般レベルより高いレベルの安全性確保が必要です。ティア1や2にある停電という事象ではなく、メンテナンス時のような一部設備が一時停止する際でも、コンピューティングサービスを継続して提供できることが求められます。アクセス管理については、サーバ室だけでなく建物についても管理されています。

  • ティア4

想定すべきエンドユーザの稼働信頼性は99.99%以上です。災害時にもデータ保全の安全性を維持できる高いレベルの耐災害性が求められます。また安全性だけでなく可用性も求められます。コンピューティングサービスの継続については、メンテナンス時に加え機器の故障時も考慮が必要です。一部設備の一時停止時に、ほかの機器に一部障害が起きたとしてもコンピューティングサービスを継続しなくてはいけません。アクセス管理については、ティア3レベルに加え、敷地やラック内のIT機器へのアクセス管理も要求されます。

なぜティアが必要とされるのか?

クラウドコンピューティングをサービスとして使用するだけでなく、提供する側になればデータセンターの検討が必要になるでしょう。その際にはティアを考慮し、必要な仕様を満たすデータセンターを構築しましょう。

データセンターの構築にはティアの考慮が必須

データセンターに限らず、計画の立案や意思決定を促す際において、客観的な指標がなければ、論理的な協議をすることができません。ティアを設けることによって、データセンターの設計や装置を明確にし、協議を円滑に行うことができるのです。

 

参考:

 

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