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    VRと製造業―VR活用が製造業に与える3つの大きな変化とは

    考え方や技術の基礎は、以前から存在していたVR。かつては映画やドラマ、架空の物語のなかだけでしか見られなかった技術が、今や現実のものとなり多くの分野で活用されています。世界が注目するVRと製造業の関わりを紹介します。

    VRと製造業

    VRとは、Virtual Reality(バーチャルリアリティー)の略で、日本語では仮想現実と表現されます。コンピュータでつくられた映像や音声などにより、仮想世界を現実世界に近い感覚で体感できる技術のことです。

    VRは、自動車をはじめとして船舶や飛行機の運転など、実践シミュレータとしていち早く活用されていました。また、ゲームや映画などエンターテインメント分野にも取り入れられ、一部の技術要素としてだけでなく、あらゆる分野で活用できる技術として注目されています。

    IT専門調査会社のIDCが発表した世界のAR/VR関連市場予測によると、2016年から2021年までの年間平均成長率は98.8%と急激な伸びが見込まれています。また市場規模として、2021年には1,593億ドルにまでふくらむと予測されています。

    このように急成長しているVR市場ですが、そのなかでも世界の産業に大きな影響を与えると考えられているのが、製造業へのVR活用です。
    VR分野と深い関係にある、パソコンのグラフィックコントローラーメーカーとして有名なNVIDIA社も、産業分野でのVR活用を見すえています。NVIDIA社の副社長ボブ・ペティー氏も、市場の9割は産業で使われるようになるだろうとし、今後のVR活用の舞台は産業分野へ転換していくと予測しています。

    VRが変える製造業のプロセス

    VRを製造業に活用する流れは、3D設計分野を筆頭に現実のものとなりつつあります。VRの活用が製造業に与える3つの大きな変化とはどのようなものなのでしょうか。

    実作業の教育と実践的トレーニング

    機械や設備の保守・点検・修理の作業について、未経験のトラブルに対しスムーズな対応を実現する手法として、VRを用いた実践教育が期待されています。

    また、組み立て工程のような、熟練によりサイクル短縮を図ることができる作業についても、VRの活用が進んでいます。熟練者の手法をVRで訓練することにより、作業手法の標準化が可能になると期待されているのです。

    具体的な設計と実体験に近いシミュレーション

    VRが持つメリットのひとつとしてあげられるのが、視覚的に実際のサイズや位置関係をつかみやすいという点です。
    例えば工場の設備や人が使う工具を設計するときに、VRで実際の工場や作業場所、ワークの形状や大きさなどの感覚をつかみ、実作業に適した設計が可能となります。

    また、デジタルツイン(現実世界の出来事をデジタル環境でそのままリアルタイムで再現すること)のように、仮想世界でのシミュレーションを行う技術についても、VRにより実体験に近い視覚効果をプラスすることで、具体性を持たせることができます。

    仮想世界でのモックアップとプロトタイプ

    デジタル環境でのモックアップやプロトタイプが、VR内では触って確かめる体験ができるものとなります。これにより、さらに具体的なフィードバックを得ることが可能になるのです。

    それだけではなく、VR内で工具を手に取って加工しモックアップをつくり出すという試みもあり、今後の発展が期待されています。

    製造業へのVR導入事例

    実際に、製造業ではVRが導入され始めており、すでにその活用が進んでいます。

    Hondaでは車体組み立て・検査のトレーニングに

    CGソフトを用いて四輪車の開発をしていたHonda(本田技研工業)では、組み立て部門でもVRを活用できないかという発案から、組み立て訓練にVRを活用する試みをはじめました。実際にインパクトレンチを持ち、作業中の姿勢でどのような見え方をするかの実証にも活用されています。

    また車両検査部門でも、検査作業の訓練にVRを活用しています。実際の検査ラインと同様に、約2分で検査対象車両が通り過ぎていく映像をつくり、地下ピットでの検査作業をVRによって再現。VRを技術向上に活用しています。

    コマツでは建設機械の設計に

    コマツでは建設機械の設計にVRを活用しています。実際に建設機械に搭乗したとき、操縦者から周囲がどのように見えているのかをVRで再現。操作性や安全性をシミュレートしながらの設計を可能にしています。

    また、Hondaとは異なる視点から車体整備へのVR活用も進めています。開発中の車体をVR内で整備シミュレーションしてみることで、整備や修理のしやすさも検討しながら設計を進めています。

    EPLANは制御盤を仮想3Dモデルで設計

    電気設計CADの開発で有名なEPLANでは、制御盤設計を仮想3Dモデルで設計するアプリケーションを提供しています。

    部品の取り付けスペースと配置を3次元で確認し、配線ルートとケーブル接続経路を自動計算、3Dモデルによるレイアウト設計により現場での作業を効率化できます。

    制御盤製造4.0

    VRが切り開く製造業の未

    VRが製造業に与える影響と、今後起こると予想される3つの大きな変化について紹介しました。VRはまだまだ大きな可能性を秘めた技術です。製造業においても、VR活用によるリードタイム短縮と大幅なコスト削減が期待されています。これまでの設計手法、製造手法が、VRの活用によって大きく変わっていくかもしれません。

    参考:


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