グリーンデータセンターと国際標準化

環境意識の高まりをうけ、さまざまな場所で省エネ化を実現する技術が注目を集めています。それはICT(情報通信技術)を支えるデータセンターにおいても例外ではありません。総務省の調査によれば、データセンターで消費される電力は、日本国内で消費される電力の約10%になるともいわれています。そのため、データセンターの省エネ化は高い関心が寄せられる項目のひとつなのです。環境にやさしいデータセンターの開発と、それにともなう国際標準化戦略について紹介します。

グリーンデータセンターとは

グリーンデータセンターとは、データセンターの消費電力を抑えるための新しいデータセンターです。データセンターにおいて特に電力消費量が多いのは、サーバーを稼働させるための電力と、サーバーラックやデータセンターを冷却するシステム。そのため省エネ化対策としては、主にこの2点に着目しながら開発が進められています。

サーバーを稼働させる電力としては、データセンターまでの送電で最もロスの少ない電圧を選ぶことや、電流の種類も直流と交流を選択できるようにする方法などが実施されています。

サーバーラックやデータセンターを冷却する方法としては、ラックをはじめとした機材の配置を見直し、効率的に冷却できるようにするといった一般的な省エネ対策も行われていますが、CO2を発生させないクリーンエネルギーを使う方法も取られています。たとえば、積もった雪を氷室のように利用してサーバールームに送り込む空気を冷やしたり、メガソーラーを設置しそこで得たクリーンエネルギーを使用したりしているのです。

グリーンデータセンターとは、簡潔に表現すると「地球にやさしいデータセンター」といえるでしょう。

グリーンデータセンター実例

グリーンデータセンターの事例としてNTTデータグループの取り組みを紹介します。NTTデータグループはグリーンデータセンターに対して5つのアプローチを行っています。

  • 仮想化技術の採用

ひとつめは仮想化技術の採用。ハードウェア稼働率の低いサーバーを統合することによって、サーバー台数そのものを減らす取り組みです。サーバー数が減ればそのまま消費電力も少なくなります。

  • 自然エネルギーの活用

2つめは自然エネルギーの活用。前項で紹介したように、雪や太陽など、自然のエネルギーを電力に換えて使用する取り組みです。

  • グリーンコンサルティング

いわゆるホットアイル、コールドアイルの考え方です。サーバーラックの吸気面を冷たい空気が流れ込む側(コールドアイル)に向けて並べます。サーバーを通り抜けて熱くなった空気(ホットアイル)がはエアコンなどの空調設備によって冷却され、再びサーバーラックの吸気面側(コールドアイル)に戻されるという仕組みです。

  • 高効率ラック設計

4つめが高効率ラック設計。たとえばひとつめの取り組みでも紹介しているように、稼働率の低いサーバーや逆に高負荷となっているサーバーを発見し統廃合を行うなど、グリーンコンサルティングを行い、効率の高いラックを設計します。

  • 高電圧直流給電システム

最後の5つめは高電圧直流給電システムの取り組みです。サーバーを稼働させる電力に直流電流のものを使ったり、高圧の電力を引き込むことで送電によるロスを削減しています。

NTTデータグループはこのような取り組みの結果として、Green IT AWARD 2009で経済産業大臣賞(ITの省エネ部門)を受賞していま。

グリーンデータセンターの国際標準

環境問題に取り組んでいるのは企業だけではありません。総務省は「ICTシステムそのもののグリーン化」、「ICTの徹底活用による各分野のグリーン化」などを積極的に進めています。グリーンデータセンターも「ICTシステムそのもののグリーン化」のひとつなのです。総務省は国内で実証実験が行われたグリーンデータセンターの事例をまとめ、ITU-T(国際電気通信連合 電気通信標準化部門)に提出。この「グリーンデータセンターのベストプラクティス」がITU-Tの勧告となり、空調方式を考慮したデータセンター省エネ化の国際標準として承認されました。

データセンターの建設や改修について、環境負荷の削減を目的として空調システムについて言及した国際標準はこれが世界初となります。日本発の国際標準として、日本の国際競争力に有利になると期待されています。

まとめ

グリーンデータセンターとは「地球にやさしいデータセンター」として、供給電力の見直しやサーバーの効率化、冷却システムの省エネ化などが盛り込まれたデータセンターです。日本のグリーンデータセンターへの取り組みが国際標準として承認されたことは、今後日本が世界をリードしていく一助となるでしょう。

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