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    ロジスティクス4.0と製造業の物流コスト

    物流にかかるコストは、経営上の課題として挙げられることも多い項目です。また消費者の目線から見ても、製品の価格に反映されたり、供給のタイミングを左右するなど、影響の大きい項目といえるでしょう。IoTの普及やAIの活用により物流の様子が大きく変わるといわれているロジスティクス4.0が、製造業における物流コストにどのような影響を与えるのかを紹介します。

    製造業における物流

    物流はサービス業のなかだけで語られるものではありません。製造業においても、製品の製造や販売の流れのさまざまな場面で物流が関わっています。たとえば原材料を産地から工場へ運搬したり、工場内で材料や部品をトラックから倉庫、倉庫からラインへと運んだり、仕掛り品をラインからラインへ移動させたりする作業はすべて物流であると考えられます。

    日本ロジスティクスシステム協会の調べによれば、製造業における物流コストの割合はおおむね5%弱であるといわれています。また多くの企業で物流コスト削減のための取り組みが行われています。実施されることの多いコスト削減策は、在庫の削減、積載率の向上、ピッキングの効率化など。ほかにも、物流拠点の統廃合や物流拠点内部の大幅な刷新など、大きな改革を行う企業も多くあります。

    ロジスティクス4.0

    物流にはこれまで、大きく分けて3つの変革があったと考えられています。ひとつめが「輸送の機械化」。かつてはモノを大量に輸送する手段は、主に帆船による海運でした。しかし鉄道網が整備されたことやトラックの登場により、陸での大量輸送が可能になります。また帆船も汽船へと変わり、輸送能力が大きく向上しました。2つめの変革は「荷役の自動化」です。コンピューターの普及により、荷物の自動仕分けや、荷物を自動でラックに収納や排出をする自動倉庫が登場します。自動化により荷役にかかる人手が大きく減りました。3つめはITの発達による「物流管理のシステム化」。荷物に付けられた管理番号からインターネット上で荷物の現在位置を確認できるシステムに代表されるように、ITやコンピューターを用いて物流を管理する動きが広がります。これにより、在庫管理の自動化や輸送用トラックの自動手配などの変革が進みました。

    そして今、IoTの普及やAIの活用により物流にもう一度大きな変革が起ころうとしています。それがロジスティクス4.0なのです。たとえば、既存の自動在庫管理システムや自動倉庫では、機械が表示する数値を人間が読み取り、機械を操作したり発注を行ったりする必要がありました。これがIoTやAIにより、在庫が少なくなると自動で発注がかかり、自動で輸送手段が手配され、さらには自動で荷物が運搬されるようになるのです。ロジスティクス4.0により、倉庫内の省人化が進むと予測されています。省人化にともない、かつては重労働であった倉庫内作業も、より軽いものに変化していくでしょう。

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    製造業の物流と今後

    ロジスティクス4.0が物流コストに大きく影響を与えると予測されているのが、トラックの自動運転です。日本の物流において、運ばれる荷物の量のおよそ90%はトラックが担っているといわれています。トラックは1台1台が人によって運行されるので、かかるコストも当然大きくなります。トラックの自動運転が実用化されれば、物流コストにおける人件費を大きく引き下げることができるでしょう。アメリカやドイツではすでに、高速道路におけるトラックの自動運転の実験が、公道で行われています。道路走行上は法律面などの壁をクリアする必要もあるため、いますぐに実用化されることは不可能ですが、公道でのトラック自動輸送はすでに現実味を帯びたものとなっているのです。

    工場内に引かれた線の上を自動で走行する、搬送ロボットなどはすでに多くの企業で実用化されています。今後は、トラックやフォークリフトの自動運転の技術もさらに加速するでしょう。ロジスティクス4.0は、物流全体の省人化を進め、コスト削減に貢献すると考えられています。

    まとめ

    製造業をはじめ、すべての産業において物流コストを大きく下げると予想されているロジスティクス4.0。その背景にはIoTやAIの発達によるインダストリー4.0があります。IoTやAIの広がりは物流においても目の離せない動きになっていくでしょう。

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