研究が進むペルチェ素子の効率と発電への応用

ペルチェ素子という名前をご存知でしょうか。その原理は1800年代前半に発見されました。長い年月の間で研究が進められ、その応用範囲は広がりを見せています。温度管理のソリューションとして注目を集める熱電変換デバイス、ペルチェ素子について解説します。

ペルチェ素子とは

ペルチェ素子とは、電子部品のひとつで、ペルティエ素子、ペルチエ素子と表記されることもあり、別名をサーモ・モジュールともいう半導体素子です。

この半導体素子は、加熱・冷却を直流電流によって自由に制御が可能で、「ペルチェ効果」と呼ばれる原理が応用されています。これは、2種類の金属が接した部分に電流を流すと、片方の金属からもう一方の金属へと熱が移動するというもので、この原理を半導体によってひとつの部品としたものがペルチェ素子です。

ペルチェ素子はその電流を流す方向、流す大きさを変えることにより、加熱・冷却する面、熱量の大きさを変えることができます。

ペルチェ素子の使われているもの

ペルチェ素子はその温度管理の容易さ、部品自体の体積の小ささ、また無音で作動することなどからさまざまな分野で使われています。

  • パソコンのCPUクーラー
  • ワイン専用の冷蔵庫
  • 自動販売機の加温・冷却
  • 天体撮影用CCDカメラ冷却
  • 空気清浄機のイオン発生部分
  • 温熱治療などの医療機器

またその特性から、一部の制御盤クーラーにもペルチェ素子が組み込まれています。

コンプレッサーを使用しないため静音性に優れ、冷却装置を小さく、軽くすることで制御盤の体積・重量を抑えることにつながります。また制御盤内の機器によっては、寒冷地において、氷点下の極低温では作動が悪化するものもあります。そのような環境下でも、ペルチェ素子を使った制御盤クーラーは、冷却だけでなくヒーターとしても機能するため、クーラーの枠を超えた温度管理ソリューションとして活躍します。

ペルチェ素子を使った研究開発

ペルチェ素子はまだ多くの可能性を秘めていると考えられており、ペルチェ素子を応用した研究開発が進んでいます。

乾燥地帯で水をつくる

ペルチェ素子を使って乾燥地帯に緑を根付かせることができないか-そんな研究が積水化学工業株式会社と早稲田大学環境総合研究センターにより共同で進められています。
この研究は、乾燥地帯においても空気中にはわずかに水分が含まれることから、ペルチェ素子によってそれを結露させ、その水によって緑化を進められるのではないかというものです。「自然の力を借りて、その場で水をつくって使い自然に返す」というコンセプトのもと、その手助けをする要素としてペルチェ素子が使われています。

自然エネルギー発電への応用

ペルチェ素子に期待を寄せる分野として、自然エネルギー発電への応用があります。
ドイツを中心に世界各国で進められるこの研究は、地熱、温泉熱、太陽熱を利用し、ペルチェ素子によって発電しようというものです。国内においては東芝が温泉熱での研究を進めているほか、パナソニックが配管にお湯を通すことで発電可能な「熱発電チューブ」を開発し、地熱・温泉熱発電に展開を想定しています。また産業技術総合研究所では、熱交換器用パイプ型モジュールを開発、自然エネルギーだけでなく、人類が発生させる排熱も利用し、再生可能エネルギーとして活かす取り組みを研究しています。

将来性が期待されるペルチェ素子

ペルチェ効果が発見されたのは1834年とその歴史は長いものの、ペルチェ素子はあまり大きな注目を集めることなく長い年月が過ぎてきました。しかし最近では、その特性からさまざまな分野への応用が期待されています。活用分野において周辺技術が向上し、ペルチェ素子に秘められた可能性を十分に活かすことができるようになってきたからと考えられるでしょう。
自然環境に大きな影響を与えないクリーンな温度管理装置として、また自然・再生可能エネルギーのソリューションとして、ペルチェ素子への期待が高まっています。

参考:

リタール公式Webサイト

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